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34話 最大の前に
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僕らは今、高校生の一大イベントを迎えようとしていた。
「明日から、修学旅行だぜー!!」
「拓人、声デカイって。」
「いいじゃ無えかよ、テンション上がってんだからよ!!」
「お前の熱血が鬱陶しいんだよ!!」
「何を!!」
「まったく、2人とも変わらないな……」
なんか、小学生の男子の喧嘩みたいだよな。自分の信念を曲げないで、相手の信念が間違っているという安直な考え方だし。
これだけ聞くとなんかかっこいい人達の争いごとみたいに捉えられるけど、実際はただノリでやってるだけなんだよな。
「それで、今日は何をやるのかしら~。もしかして、◯行為!?」
「何でそれをやると思ったんだよ、葉月は……」
「だって、ここの班男女3人ずつだし。人数的には丁度じゃない?」
「あのな……だったら、あそこの班は男子5人だけど、どうすんだよ。」
「そんなの分かってるじゃない!! 5◯に決まってるわよ!!」
「……なあ彩白。」
「……キー君、私たちが言いたいことは一緒だよ。」
2人揃ってせーの!!
「こいつと回るの嫌だ!!」
そう僕らは綺麗に声が揃った。流石の彩白もボケに乗り切れなかったみたいだった。
今日は事前準備という名目で、ロングホームルームを使って何やら作業を行うようだ。それが何なのか聞かされていないが、今来た担任の手にはどうやら白い便箋と、開封前のレポート用紙があった。
「今からこれを配るから、保護者への感謝の手紙を書いていくよ。」
僕らの思考回路は先生の指示を聞いて一斉に止まった。どうしてか、そんな事は簡単だった。
「えっ、何でそんなことする必要があるの?」
「まあ、私もよく分からないんだけどね……。毎年高2には書いてもらってるから、恒例的な感じだと思うよ。」
変な恒例があったものだ。そんなものは、やりたい人が勝手にやればいいと思う。特に今の時期、思春期で羞恥心が強く出るのに、それを強要するのはいかがなものかと。
まあ、僕らがいくら抗議しても覆ることない。とりあえず諦めて皆んな話しながらペンをすすめていった。中には書き途中の紙を勝手に取って、それを大声で朗読するという、拷問に似た事が行われていたりした。
皆んな笑っていたが、自分がやられたらと考えると、少し足がすくんだ。
「紫音お前、どういうつもりだよ!!」
「別に何だっていいでしょ!! 真斗には関係ないのよ!!」
目の前でいつものノリ喧嘩が巻き起こっていた。
「おいおい、今度はどうしたんだよ。」
拓人が冗談混じりに、少し笑いながらそう言った。
「拓人……一回黙ってくれ。」
あれ、真斗がマジレスした……。ん? 何が起こってるんだ?
「ちょ、2人ともどうしたんだよ。一回止まれ。」
「口挟まないで! 私は今真斗と話してるの!」
2人はそう言って、再び向き合い口論を続けた。どうやら様子がおかしかった。
「……2人とも。」
僕は、流石にマズイと声を出した。
「だから黙っててって……」
「2人は喧嘩してていいかもしれないけど、周りのこと考えてよ。そういうのは2人の時にしてくれないか?」
僕は諭すようにそう言った。
「……たしかにそうね。」
「……ああ、悪かった。」
そうして、少しだけ険悪なムードは解かれた。しかしそう簡単に払拭されるものではなく、一日中僕らのグループ内で流れ続けるのだった。
「明日から、修学旅行だぜー!!」
「拓人、声デカイって。」
「いいじゃ無えかよ、テンション上がってんだからよ!!」
「お前の熱血が鬱陶しいんだよ!!」
「何を!!」
「まったく、2人とも変わらないな……」
なんか、小学生の男子の喧嘩みたいだよな。自分の信念を曲げないで、相手の信念が間違っているという安直な考え方だし。
これだけ聞くとなんかかっこいい人達の争いごとみたいに捉えられるけど、実際はただノリでやってるだけなんだよな。
「それで、今日は何をやるのかしら~。もしかして、◯行為!?」
「何でそれをやると思ったんだよ、葉月は……」
「だって、ここの班男女3人ずつだし。人数的には丁度じゃない?」
「あのな……だったら、あそこの班は男子5人だけど、どうすんだよ。」
「そんなの分かってるじゃない!! 5◯に決まってるわよ!!」
「……なあ彩白。」
「……キー君、私たちが言いたいことは一緒だよ。」
2人揃ってせーの!!
「こいつと回るの嫌だ!!」
そう僕らは綺麗に声が揃った。流石の彩白もボケに乗り切れなかったみたいだった。
今日は事前準備という名目で、ロングホームルームを使って何やら作業を行うようだ。それが何なのか聞かされていないが、今来た担任の手にはどうやら白い便箋と、開封前のレポート用紙があった。
「今からこれを配るから、保護者への感謝の手紙を書いていくよ。」
僕らの思考回路は先生の指示を聞いて一斉に止まった。どうしてか、そんな事は簡単だった。
「えっ、何でそんなことする必要があるの?」
「まあ、私もよく分からないんだけどね……。毎年高2には書いてもらってるから、恒例的な感じだと思うよ。」
変な恒例があったものだ。そんなものは、やりたい人が勝手にやればいいと思う。特に今の時期、思春期で羞恥心が強く出るのに、それを強要するのはいかがなものかと。
まあ、僕らがいくら抗議しても覆ることない。とりあえず諦めて皆んな話しながらペンをすすめていった。中には書き途中の紙を勝手に取って、それを大声で朗読するという、拷問に似た事が行われていたりした。
皆んな笑っていたが、自分がやられたらと考えると、少し足がすくんだ。
「紫音お前、どういうつもりだよ!!」
「別に何だっていいでしょ!! 真斗には関係ないのよ!!」
目の前でいつものノリ喧嘩が巻き起こっていた。
「おいおい、今度はどうしたんだよ。」
拓人が冗談混じりに、少し笑いながらそう言った。
「拓人……一回黙ってくれ。」
あれ、真斗がマジレスした……。ん? 何が起こってるんだ?
「ちょ、2人ともどうしたんだよ。一回止まれ。」
「口挟まないで! 私は今真斗と話してるの!」
2人はそう言って、再び向き合い口論を続けた。どうやら様子がおかしかった。
「……2人とも。」
僕は、流石にマズイと声を出した。
「だから黙っててって……」
「2人は喧嘩してていいかもしれないけど、周りのこと考えてよ。そういうのは2人の時にしてくれないか?」
僕は諭すようにそう言った。
「……たしかにそうね。」
「……ああ、悪かった。」
そうして、少しだけ険悪なムードは解かれた。しかしそう簡単に払拭されるものではなく、一日中僕らのグループ内で流れ続けるのだった。
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