囁き少女のシークレットボイス

うみだぬき

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57話 水着見れます!

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 いつもと違い、朝から皆が教科書を凝視しながら、勉学に勤しむ。

「響…俺大丈夫かな?大丈夫だよな!?」
「大丈夫なんじゃないか」
「せめてこっちを見て話してくれよぉ」

 響が座る席に、机を挟み佑馬が声をかける。

「源さんからも何か言ってくれよぉ」
「響さん!佑馬さんが可哀想です!!」
「『こんなやつに時間を割く必要はないですよー』ってさ」

 聞こえていないことをいいことに、適当なことを伝え、二人からツッコミを入れられる。
 そんな響たちの元に、目元に隈を作った透子がやって来る。

「道元ーここって出ると思う?」
「そこは今からやっても間に合わないし、出たとしても配点低いから大丈夫だ」
「りょーかいっ」

 この赤点候補者たちは当初、やる気も学も無かったが、今はどちらも見違えるほど上がっている。

「菖蒲ちゃん、あたしを元気付けてぇ」
『よーしっよしよしよしぃー』

 菖蒲は、大型犬とじゃれるように透子のことを撫で、それに対し透子も『くぅーん』と犬のような声を上げていた。
 それを羨ましそうに見る佑馬は、響に頭を差し出す。

「響!俺も俺も!」
「よーしっよしよしよしー」
「痛い痛いっ!」

 響は、そんな佑馬の頭を火が出そうな勢いで思い切り撫でた。
 佑馬は自分の頭を優しく撫で、熱くなった頭皮を冷ます。
 そんな中、ワイシャツを着崩した四郎が教室に入ってきた。

「よーし、待ちに待ったテストだ。俺もこのクラスから補習出したくないから頑張れよー、ホームルームはやらないから勉強しろな」

 四郎のものぐさな性格が、こんなところで役に立つと思っていなかった。
 伸びた勉強時間を有意義に使い、その日のテストに全力を尽くした。


 数時間後、テストが終わり響の机にデジャブを感じるメンバーが集まっていた。

「響!今回は行けた気がする!」
「おぉ!」
「道元!今回はなんかいい感じ!」
「おぉ!!」

 前回は、死相漂う顔で言い訳を並べていた二人だったが、今回はどちらも自信に満ち溢れた顔をしていた。


 そして数週間後、いつものメンバーでテスト結果の確認をしていた。

「…まじか」
「…水着写真送ってくれな」
「…菖蒲ちゃんのはあたしにも」

 二人の自信と実力的に、まず赤点は取らないだろうと思っていたのだが、二人のテストには一つずつボーダーラインを下回る点数があった。

「うちも今回は、二人大丈夫だと思ってたんだけどなー」
「有咲ちゃん!それは今の二人にはめちゃくちゃ刺さるよっ」

 言葉の矢が刺さった二人は、互いに慰めあっていた。

『皆さん!ちょっと待ってください!!』

 突然、菖蒲が手を広げながらジャンプをし、皆の注意を引く。

『お二人のテストをよく見てください!!』
「テスト?よく見てっ…て…」
 
 二人のテストは何度見ても赤点。今更、何も変わらないと思っていたが、有咲がある発見をする。

「あ、透子の採点間違ってる」
「え!?」

 透子のテストを確認すると、正解しているはずの問題にペケが付けられていた。

「ってことは、この点数足したら…っギリ赤点回避だ!」
「おぉ!!」

 透子はテスト用紙を持ち、勢いよく職員室へ向かって行った。

「透子さんも行ってしまうのか…俺を置いて…」
「佑馬…」

 佑馬は響の膝に顔を埋め、補習に一人残されたことに悲しみを爆発させていた。
 すると、菖蒲が佑馬のテストを凝視しながら、『これは!』と声を上げる。

「どうした菖蒲?」
「これよく見てください!!!」

 佑馬のテストは『21』と書かれているが、よく見ると『2』と『1』が離れて見えていただけで、くっつけると十の位は『4』のようにも見える。
 そして、その横には元々ミミズのような書き間違えがあったのだが、こうなってくるとミミズではなく『2』である可能性が出てきた。

「これ、ワンチャンあるぞ!早く職員室行って聞いてこい!」
「おぉっ!い、行ってくる!!源さん信じてて!!」
『はい!信じてます!』

 佑馬は、ドアを勢いよく開き、職員室向かって行った。


 思いがけない気付きのおかげで、二人には未来が生まれた。
 そして、補習を免れそうな二人が満を持して戻ってきた。

「…どうだった?」

 透子は、机の上に勢いよくテストを叩きつける。

「…、赤点回避でした!」
「「「おぉ!!!」」」

 透子のテスト用紙の点数には、修正が入っており、そこにはボーダーラインを超える点数が刻まれていた。

「っで、ゆまはどうだったん?」

 佑馬は、「勝訴!」のようにテスト用紙を顔の前に広げる。

「この夏目佑馬…
「「「おぉ!!!」」」

 佑馬の点数の横には汚い字で『ごめんよぉ』と書かれていた。
 今思えば、この先生は字が汚いことで有名だった。

「ということは…?」


 菖蒲の勢いのある文字に皆が喜びを炸裂させる。

 待ちに待った夏休みが、ここに約束された。
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