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58話 スク水も有咲なのか?
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響はクーラーが効いた部屋の中、アイスをかじりながら時間が経つのを待っていた。
「まだ二時間もあるのか」
数時間前、響は菖蒲からの着信で目を覚ました。
『もしもし、響さん!ついに夏休みですよ!』
『夏休みだな』
菖蒲は意気揚々と声を弾ませ言葉を続ける。
『夏休みは海に行くじゃないですか?』
『その予定だな』
『肝心なこと忘れてませんか?』
菖蒲は、響が正解を出すのを待つように言葉を溜めたが、なかなか正解を出さない響に痺れを切らし、正解を告げる。
『響さん、泳げませんよね?』
『っは!!』
前に菖蒲と一夜を明かした際、響は菖蒲をコーチとし、泳ぎを教えてもらうことになっていた。
それを前提に海に行く話を進めていたが、いつの間にか夏休みが始まってしまっていた。
『ですから、善は急げです!今日お時間あったらプールに行きませんか?』
『…ご指導ご鞭撻よろしくお願いします』
響は急いでプールに行く準備を始め、時間になるまで部屋でゴロゴロと過ごし、今に至る。
「プールってことは、菖蒲も水着なのか…」
前回、有咲に楽しみに取っておくようにと、どんな水着なのかは聞かされておらず、想像が捗る。
王道のフリル系や、ワンピースも有り得る。なんならビキニの可能性も否めない。
「っはぁー、キモすぎるな…俺」
自分の想像力の豊かさと、その想像力故のキモさを枕を抱きながら呟く。
そんなことを考えていると、そろそろ出掛ける時間になった。
響は荷物を一式持つと、菖蒲の家へ向かう。
「響だ、開けてくれー」
『今行きます!』
インターホン越しに、菖蒲がバタバタしている音が聞こえ『またか』と少し距離を置く。
「っおっとっと!あ、こんにちは響さん!」
「ようっ、菖蒲はいつも慌ただしいな」
「バタバタしてたのバレてました?」
響の耳にとっては、容易いことだと伝え『いい趣味してますね…』と若干引かれながら、猛暑の中を歩いていく。
菖蒲の家から歩いて十数分、市民プールが目に入ってきた。
プール内は外から見るだけで、そこそこ人が居ることが分かるほど、人口密度が高かった。
「人多いな…」
「子どものレーンは混んでると思いますが、大人の方はそこまでじゃないと思いますよ」
菖蒲の言う通り、少し水深が深い方にはあまり人が居なく、練習するにはもってこいだった。
「じゃあ響さん、更衣室出たとこで待っててくださいね!」
「おぅ…」
服を脱ぎ、海パンに着替えるだけの作業を終え、言われた通り更衣室の外で菖蒲を待つ。
高鳴る鼓動を押さえつけ、子どもたちを眺めながら、平常心を取り戻す。
「響さん、お待たせしました!」
菖蒲の声に様々な期待を込め、顔を上げる。
「どうしたんです?そんなに残念そうな顔をして?」
菖蒲は、水中ゴーグルを装着し髪の毛をお団子にしていた。ここまでは良いのだが、肝心の水着は胸元に『あやめ』と書かれたスク水だった。
「…水着は、それを買ったのか?」
「いえ?これは家にあったやつです。水着は海まで楽しみに取っておきます!」
主張が控えめな菖蒲には、似合いすぎているスク水姿に新たな扉を開きそうになった響だったが、その扉に固く施錠をし難を逃れた。
「まず最初はストレッチからです!」
菖蒲と並びながら、全身のストレッチを始める。
ストレッチは、一華と散々してきたため難なく終える。
「次は早速プールに入りましょう!」
プールの深さは百五十センチ程で、響の肩よりは低い水深だった。
「おぉ…やっぱり足が着くとはいえ、少し怖いな」
「恐怖心が…ある方がいい…ですよ、慢心する…方が怖いです…からねっ」
菖蒲の身長的に、小刻みにジャンプをしなければ喋ることが出来ず、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「一旦…私だけ上が…りますね」
「その方がいいな」
菖蒲はハシゴを使い、陸に上がっていく。
「よいしょっ、よいしょっ」
菖蒲は響に背中を向けながら登っていくのだが、水に濡れたことによりスク水が艶めき、身体のラインがくっきりとし、その姿に目を奪われてしまう。
「よいしょっ!ふぅー、響さん早速始め…響さんっ?」
「ぶはっ!」
菖蒲のことを凝視していたことがバレ、足で水をかけられた。
「じゃあ、気を取り直してっ、まず水に慣れることから始めましょう。一度、水に潜ってみましょうか」
「…分かった」
響は、その場で水に潜り、数十秒後に顔を上げる。
「響さん潜ってる時、目開けてましたか?」
「いや、閉じてたな」
「水中ゴーグル着けてたら、ほとんど水が入ってくることはないので、次は開けてみてください!」
菖蒲はお手本を見せるように、水中に潜った。
その後を追うように響も潜り、恐る恐る目を開ける。
『ひびきさん』
目を開けると、数十センチの距離に菖蒲の顔があり、口パクで名前を呼ばれる。
「あやめ」
響も同じように口パクで名前を呼ぶと、菖蒲はニコニコとしながら微笑みを浮かべる。
「っぶは!っはぁ!」
危うく菖蒲に見とれて溺れかけた響は、ゆっくりと呼吸を整えた。
「まだ二時間もあるのか」
数時間前、響は菖蒲からの着信で目を覚ました。
『もしもし、響さん!ついに夏休みですよ!』
『夏休みだな』
菖蒲は意気揚々と声を弾ませ言葉を続ける。
『夏休みは海に行くじゃないですか?』
『その予定だな』
『肝心なこと忘れてませんか?』
菖蒲は、響が正解を出すのを待つように言葉を溜めたが、なかなか正解を出さない響に痺れを切らし、正解を告げる。
『響さん、泳げませんよね?』
『っは!!』
前に菖蒲と一夜を明かした際、響は菖蒲をコーチとし、泳ぎを教えてもらうことになっていた。
それを前提に海に行く話を進めていたが、いつの間にか夏休みが始まってしまっていた。
『ですから、善は急げです!今日お時間あったらプールに行きませんか?』
『…ご指導ご鞭撻よろしくお願いします』
響は急いでプールに行く準備を始め、時間になるまで部屋でゴロゴロと過ごし、今に至る。
「プールってことは、菖蒲も水着なのか…」
前回、有咲に楽しみに取っておくようにと、どんな水着なのかは聞かされておらず、想像が捗る。
王道のフリル系や、ワンピースも有り得る。なんならビキニの可能性も否めない。
「っはぁー、キモすぎるな…俺」
自分の想像力の豊かさと、その想像力故のキモさを枕を抱きながら呟く。
そんなことを考えていると、そろそろ出掛ける時間になった。
響は荷物を一式持つと、菖蒲の家へ向かう。
「響だ、開けてくれー」
『今行きます!』
インターホン越しに、菖蒲がバタバタしている音が聞こえ『またか』と少し距離を置く。
「っおっとっと!あ、こんにちは響さん!」
「ようっ、菖蒲はいつも慌ただしいな」
「バタバタしてたのバレてました?」
響の耳にとっては、容易いことだと伝え『いい趣味してますね…』と若干引かれながら、猛暑の中を歩いていく。
菖蒲の家から歩いて十数分、市民プールが目に入ってきた。
プール内は外から見るだけで、そこそこ人が居ることが分かるほど、人口密度が高かった。
「人多いな…」
「子どものレーンは混んでると思いますが、大人の方はそこまでじゃないと思いますよ」
菖蒲の言う通り、少し水深が深い方にはあまり人が居なく、練習するにはもってこいだった。
「じゃあ響さん、更衣室出たとこで待っててくださいね!」
「おぅ…」
服を脱ぎ、海パンに着替えるだけの作業を終え、言われた通り更衣室の外で菖蒲を待つ。
高鳴る鼓動を押さえつけ、子どもたちを眺めながら、平常心を取り戻す。
「響さん、お待たせしました!」
菖蒲の声に様々な期待を込め、顔を上げる。
「どうしたんです?そんなに残念そうな顔をして?」
菖蒲は、水中ゴーグルを装着し髪の毛をお団子にしていた。ここまでは良いのだが、肝心の水着は胸元に『あやめ』と書かれたスク水だった。
「…水着は、それを買ったのか?」
「いえ?これは家にあったやつです。水着は海まで楽しみに取っておきます!」
主張が控えめな菖蒲には、似合いすぎているスク水姿に新たな扉を開きそうになった響だったが、その扉に固く施錠をし難を逃れた。
「まず最初はストレッチからです!」
菖蒲と並びながら、全身のストレッチを始める。
ストレッチは、一華と散々してきたため難なく終える。
「次は早速プールに入りましょう!」
プールの深さは百五十センチ程で、響の肩よりは低い水深だった。
「おぉ…やっぱり足が着くとはいえ、少し怖いな」
「恐怖心が…ある方がいい…ですよ、慢心する…方が怖いです…からねっ」
菖蒲の身長的に、小刻みにジャンプをしなければ喋ることが出来ず、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「一旦…私だけ上が…りますね」
「その方がいいな」
菖蒲はハシゴを使い、陸に上がっていく。
「よいしょっ、よいしょっ」
菖蒲は響に背中を向けながら登っていくのだが、水に濡れたことによりスク水が艶めき、身体のラインがくっきりとし、その姿に目を奪われてしまう。
「よいしょっ!ふぅー、響さん早速始め…響さんっ?」
「ぶはっ!」
菖蒲のことを凝視していたことがバレ、足で水をかけられた。
「じゃあ、気を取り直してっ、まず水に慣れることから始めましょう。一度、水に潜ってみましょうか」
「…分かった」
響は、その場で水に潜り、数十秒後に顔を上げる。
「響さん潜ってる時、目開けてましたか?」
「いや、閉じてたな」
「水中ゴーグル着けてたら、ほとんど水が入ってくることはないので、次は開けてみてください!」
菖蒲はお手本を見せるように、水中に潜った。
その後を追うように響も潜り、恐る恐る目を開ける。
『ひびきさん』
目を開けると、数十センチの距離に菖蒲の顔があり、口パクで名前を呼ばれる。
「あやめ」
響も同じように口パクで名前を呼ぶと、菖蒲はニコニコとしながら微笑みを浮かべる。
「っぶは!っはぁ!」
危うく菖蒲に見とれて溺れかけた響は、ゆっくりと呼吸を整えた。
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