59 / 233
59話 足先に触れたものの正体
しおりを挟む
菖蒲の水泳指導の末、顔に水をつけながら目を開けることが当たり前にできるようになった頃。
響は次の段階へ進もうとしていた。
「次はそこに掴まりながらバタ足です!」
「足離すのはまだ怖いんだが」
「私が支えますから、大舟に乗ったつもりで任せてください!」
菖蒲の体格的に、イカダぐらいの支えを頼りにバタ足を始める。
「もっと勢いよく足をバタバタさせてくださーい」
「…もう…きっつぃ」
響の沈みそうになる腹部を、菖蒲が優しく支え、限界を超えるまでバタ足をさせられた。
「一分休憩です!」
「スパルタすぎる…」
どこまでも青く、その奥から照らす太陽から目を逸らしながら身体を休める。
その横で菖蒲はプールに足を入れ、ちゃぷちゃぷと水遊びを楽しんでいた。
「もう一分経ちましたね、続きを始めます!」
次は支え無しでのバタ足をすることになり、一抹の不安を抱いていたが、以外にもしっかりと足を動かすことで、身体は浮力を持つ。
しかし、泳ぎが得意な菖蒲からすればまだまだらしく、響にアドバイスを送る。
「響さん足をもう少し伸ばしてください!私が響さんの後ろで確認をするので、気合い入れてくださいね!」
菖蒲は響の足元で浮き具を腕に着けながら、水の中で指南をする。
響はアドバイス通り、今までよりもめいいっぱい足を伸ばした。
「っひゃあ!」
響の足先に柔らかい感触が伝わった瞬間、菖蒲が甲高い声を上げる。
響は何事かと振り返ると、浮き具を着けながら水面に半分顔を出す菖蒲が目に入った。
「突然声上げてどうしたんだ?」
「…響さんは何でだと思いますか?」
「うーん…溺れかけたとか?」
菖蒲は続いて違った趣旨の質問を投げかける。
「さっき足に何かが触れませんでしたか?それはなんだったと思いますか?」
「さっきのか、弾力は少なかったけど柔らかさはあったし…こんにゃくとかか?」
すると菖蒲は、ゆっくりと陸にあがり浮き具を外すと、響目掛けて飛び込んできた。
「どこのプールにこんにゃくが浮いてるんですか!!」
「っうおぉ!!」
高い水しぶきが上がり、水の中で怒りを露わにする菖蒲が目に入った。
水の中で、先程の感触が脳裏を過ぎる。
足を伸ばした時に触れた柔らかいもの、後ろには菖蒲が水中を浮かんでいた。
「っぶぼぼ!!」
水中で点と点が線で繋がり、先程の感触の正体の検討がついた。
水中から顔を出すと、菖蒲がプールのレーンを区切るコースロープに掴まりながら、響を睨みつけていた。
「菖蒲さん…」
「なんですか響さん」
「さっきのはもしかして…」
菖蒲は響に大波の水しぶきをかけながら呟く。
「ロリコンさんは知らなくていいですっ!!」
今日だけでだいぶ水に揉まれ、水に対する恐怖心は和らいだ気がした。
休憩も兼ねて二人分のアイスを買いに行った響は、片方のアイスを菖蒲に献上する。
「お納めください」
菖蒲は言葉を発さずにアイスにかじりつく。
表情は険しく、まだまだ怒りは収まっていなそうだが、足先をクルクルと回していて、多少怒りは収まっているのかと安堵する。
アイスを食べきった菖蒲は、響から顔を逸らしたまま話しかける。
「…そういえばさっき少し泳げてましたね」
「あぁ、菖蒲のおかげで初めて泳げた」
菖蒲は上半身だけ振り返り、顔を朱色に染めて口角を上げる。
「なら良かったですっ!」
菖蒲の赤い顔と空の青さが対比となり、より綺麗に見えた。
そんな菖蒲は口をモゴモゴさせながら、突飛な質問をする。
「…他意は無いですけど、響さんは大きい胸と…小さい胸、どちらが…す、好きなんです…?」
男にとってこの質問は、必ず敵を作ってしまう難問だ。
オブラートを破り、言うのであれば菖蒲は小さい側、答え方によっては万死に値する。
響は迷いに迷い、偶然だが完璧な答えを捻り出す。
「好きになった子ならサイズは関係ないっ!」
「ふーんっ」
菖蒲は響の顔と、自分の胸部を交互に見つめて、視線を水面に向けながら囁く。
「なら今はまだ、現状維持でいいですっ」
何故か分からないが、菖蒲の中の響に対するロリコンメーターが高まった気がする。
響は次の段階へ進もうとしていた。
「次はそこに掴まりながらバタ足です!」
「足離すのはまだ怖いんだが」
「私が支えますから、大舟に乗ったつもりで任せてください!」
菖蒲の体格的に、イカダぐらいの支えを頼りにバタ足を始める。
「もっと勢いよく足をバタバタさせてくださーい」
「…もう…きっつぃ」
響の沈みそうになる腹部を、菖蒲が優しく支え、限界を超えるまでバタ足をさせられた。
「一分休憩です!」
「スパルタすぎる…」
どこまでも青く、その奥から照らす太陽から目を逸らしながら身体を休める。
その横で菖蒲はプールに足を入れ、ちゃぷちゃぷと水遊びを楽しんでいた。
「もう一分経ちましたね、続きを始めます!」
次は支え無しでのバタ足をすることになり、一抹の不安を抱いていたが、以外にもしっかりと足を動かすことで、身体は浮力を持つ。
しかし、泳ぎが得意な菖蒲からすればまだまだらしく、響にアドバイスを送る。
「響さん足をもう少し伸ばしてください!私が響さんの後ろで確認をするので、気合い入れてくださいね!」
菖蒲は響の足元で浮き具を腕に着けながら、水の中で指南をする。
響はアドバイス通り、今までよりもめいいっぱい足を伸ばした。
「っひゃあ!」
響の足先に柔らかい感触が伝わった瞬間、菖蒲が甲高い声を上げる。
響は何事かと振り返ると、浮き具を着けながら水面に半分顔を出す菖蒲が目に入った。
「突然声上げてどうしたんだ?」
「…響さんは何でだと思いますか?」
「うーん…溺れかけたとか?」
菖蒲は続いて違った趣旨の質問を投げかける。
「さっき足に何かが触れませんでしたか?それはなんだったと思いますか?」
「さっきのか、弾力は少なかったけど柔らかさはあったし…こんにゃくとかか?」
すると菖蒲は、ゆっくりと陸にあがり浮き具を外すと、響目掛けて飛び込んできた。
「どこのプールにこんにゃくが浮いてるんですか!!」
「っうおぉ!!」
高い水しぶきが上がり、水の中で怒りを露わにする菖蒲が目に入った。
水の中で、先程の感触が脳裏を過ぎる。
足を伸ばした時に触れた柔らかいもの、後ろには菖蒲が水中を浮かんでいた。
「っぶぼぼ!!」
水中で点と点が線で繋がり、先程の感触の正体の検討がついた。
水中から顔を出すと、菖蒲がプールのレーンを区切るコースロープに掴まりながら、響を睨みつけていた。
「菖蒲さん…」
「なんですか響さん」
「さっきのはもしかして…」
菖蒲は響に大波の水しぶきをかけながら呟く。
「ロリコンさんは知らなくていいですっ!!」
今日だけでだいぶ水に揉まれ、水に対する恐怖心は和らいだ気がした。
休憩も兼ねて二人分のアイスを買いに行った響は、片方のアイスを菖蒲に献上する。
「お納めください」
菖蒲は言葉を発さずにアイスにかじりつく。
表情は険しく、まだまだ怒りは収まっていなそうだが、足先をクルクルと回していて、多少怒りは収まっているのかと安堵する。
アイスを食べきった菖蒲は、響から顔を逸らしたまま話しかける。
「…そういえばさっき少し泳げてましたね」
「あぁ、菖蒲のおかげで初めて泳げた」
菖蒲は上半身だけ振り返り、顔を朱色に染めて口角を上げる。
「なら良かったですっ!」
菖蒲の赤い顔と空の青さが対比となり、より綺麗に見えた。
そんな菖蒲は口をモゴモゴさせながら、突飛な質問をする。
「…他意は無いですけど、響さんは大きい胸と…小さい胸、どちらが…す、好きなんです…?」
男にとってこの質問は、必ず敵を作ってしまう難問だ。
オブラートを破り、言うのであれば菖蒲は小さい側、答え方によっては万死に値する。
響は迷いに迷い、偶然だが完璧な答えを捻り出す。
「好きになった子ならサイズは関係ないっ!」
「ふーんっ」
菖蒲は響の顔と、自分の胸部を交互に見つめて、視線を水面に向けながら囁く。
「なら今はまだ、現状維持でいいですっ」
何故か分からないが、菖蒲の中の響に対するロリコンメーターが高まった気がする。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる