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77話 夢で出会った少女と再会
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高校生になってからの初めての夏休みは濃密だったが、あっという間に終わりを告げる。
いつも通りの起床時間に同じメニューの朝食、変わらない登校ルートと相も変わらず同じ日々が始まる。
「…響さん、おはようございますっ」
「今日も早起きだな」
しかし一つ、今までと違うところがあるとしたら、それは二人の関係性だろう。
夏祭りの花火の際、初めてお互いの好意を直接伝え、なし崩し的に男女の仲へと発展していった。
「…今日も天気がいいな」
「今日一日中曇りですけど」
いつもなら何気ない距離感だが、今の二人にとってはこの数センチの距離にペースを乱されてしまう。
「き、今日の給食ってなんでしたっけ…?」
「給食は中学までだと思うぞ」
そこはかとなく会話もぎこちなく、歩く際に手が触れるだけでドギマギしてしまう。
教室へ着いてからもそれが解消されることは無かった。
「っ響!おはよう!!源さんもっ」
「朝から元気だな」
『おはようございます!』
こういう時に、底抜けに明るい佑馬にはいつも助けられる。
佑馬は課題をギリギリで終わらせた話を終えると、夏祭りの件を聞かれる。
「あの後、源さんとは合流できたのか?」
「お、おかげさまで…」
響の煮え切らない反応に、疑念を感じたのか菖蒲にも質問をする。
「源さんもあの花火見ただろ?あれは凄かったよな!」
『とても綺麗でした』
菖蒲のガクガクな文字に佑馬は、二人の顔を見比べると机で寝ていた有咲を起こす。
「…何ー寝てたんだけど?」
「有咲さん…この二人何か変だと思わないか?」
「変って…あ、なるほど…なるほどー」
有咲は『分かんなーい』と言い終えると、再び机に顔を埋める。
「有咲さんも分かんないなら何でもないかー」
完全に切り出すタイミングを逃し、菖蒲とアイコンタクトを取り、いいタイミングが来るまで隠そうと決める。
すると、そこに友人と話しながら一華が教室へ入ってくる。
「でねっ!あ、続きはまた後でっ」
一華は友人と別れると響たちの元へやってくる。
「みんなおはよっ!」
一華は、佑馬から先程までの響たちの反応について相談され、『なるほどー』と有咲と同じことを呟く。
「二人は夏祭り楽しめた?」
「…人並みに」
「へぇーっ」
全てを見透かすような一華に、内心ソワソワしながらも平然を装う。
「噂で聞いただけだけど…あの花火ってなんかのジンクスあるらしいよねー」
「俺も聞いたことあるな、確か恋が成就するとかだったよな」
響と菖蒲は分かりやすく動揺する。
佑馬は何かに気づいたように核心に迫る質問をする。
「あの後合流出来たなら、二人は花火一緒に見たのか?ってことは…」
佑馬の少ない容量の脳みそが、ピースをはめ込む前に透子が声を掛ける。
「おはー、二人って付き合ったん?」
あまりにもストレートすぎる問に、響たちは観念した。
「なんだよー!そういうことは俺に言えよなー」
「いつかは言おうとしてたよ」
「菖蒲ちゃんごめん!あたし空気読めなすぎたよね…」
幸か不幸か、透子の問のおかげで無理に隠さずに済んだところは感謝すべきところである。
「響君は素直になるのが遅いんだよっ」
「素直って…」
「響っちもあやっちも分かりやすかったよ」
一華たちに夏祭りのことを根掘り葉掘り聞かれ、黙秘権を貫いたが、尋問上手の有咲たちにはほとんどバレてしまった。
「菖蒲ちゃん大胆っ!」
『違いますよ!?響さんからですよ!?』
「へ、変なこと言うなよ!?」
佑馬と透子に交互に身体を揺すられながら、火が出るほど恥ずかしい質問を何個も投げかけられる。
そんな時間はドアが開く音によって終わりを迎える。
夏休み明けの四郎は、無精髭を伸ばしたままいつも通りのテンション感で話を始める。
「あい…話すことは一つ、転校生が来るぞ」
四郎は廊下に首だけ出すと、教室に一人の少女が入ってくる。
黒く長めの髪に目元を隠し、片手を包帯で包んでおり、モジモジとしながら黒板の前へ立つ。
その姿にはどこか見覚えがある気がした。
「響さん、どうしたんですか?」
「いや、そんなわけないしな…なんでもない」
少女は黒板に名前を書き終えると、伏し目がちな目をクラスに向ける。
ふと目が合うと、その少女は前髪を上げ大きな目をより大きく開き、響を数秒ほど見つめる。
「響君!?」
「え?」
突然名前を呼ばれ、クラス中の注目を集める響だったが、その少女との面識は記憶には無く、首を傾げる。
「響君であるか!?」
見た目とは裏腹に、癖のある言葉遣いに一つの憶測が思い浮かぶ。
「もしかして、中学の…?」
すると少女はウンウンと首を上下に振り、正解であるように目を輝かせる。
「旧友…とは言えなくとも、再び出会えたこと幸運に思うぞ!」
まさかこの少女が夢に出てきたあの黒髪の子、そして響が中学時代に庇った子だとは夢にも思わなかった。
いつも通りの起床時間に同じメニューの朝食、変わらない登校ルートと相も変わらず同じ日々が始まる。
「…響さん、おはようございますっ」
「今日も早起きだな」
しかし一つ、今までと違うところがあるとしたら、それは二人の関係性だろう。
夏祭りの花火の際、初めてお互いの好意を直接伝え、なし崩し的に男女の仲へと発展していった。
「…今日も天気がいいな」
「今日一日中曇りですけど」
いつもなら何気ない距離感だが、今の二人にとってはこの数センチの距離にペースを乱されてしまう。
「き、今日の給食ってなんでしたっけ…?」
「給食は中学までだと思うぞ」
そこはかとなく会話もぎこちなく、歩く際に手が触れるだけでドギマギしてしまう。
教室へ着いてからもそれが解消されることは無かった。
「っ響!おはよう!!源さんもっ」
「朝から元気だな」
『おはようございます!』
こういう時に、底抜けに明るい佑馬にはいつも助けられる。
佑馬は課題をギリギリで終わらせた話を終えると、夏祭りの件を聞かれる。
「あの後、源さんとは合流できたのか?」
「お、おかげさまで…」
響の煮え切らない反応に、疑念を感じたのか菖蒲にも質問をする。
「源さんもあの花火見ただろ?あれは凄かったよな!」
『とても綺麗でした』
菖蒲のガクガクな文字に佑馬は、二人の顔を見比べると机で寝ていた有咲を起こす。
「…何ー寝てたんだけど?」
「有咲さん…この二人何か変だと思わないか?」
「変って…あ、なるほど…なるほどー」
有咲は『分かんなーい』と言い終えると、再び机に顔を埋める。
「有咲さんも分かんないなら何でもないかー」
完全に切り出すタイミングを逃し、菖蒲とアイコンタクトを取り、いいタイミングが来るまで隠そうと決める。
すると、そこに友人と話しながら一華が教室へ入ってくる。
「でねっ!あ、続きはまた後でっ」
一華は友人と別れると響たちの元へやってくる。
「みんなおはよっ!」
一華は、佑馬から先程までの響たちの反応について相談され、『なるほどー』と有咲と同じことを呟く。
「二人は夏祭り楽しめた?」
「…人並みに」
「へぇーっ」
全てを見透かすような一華に、内心ソワソワしながらも平然を装う。
「噂で聞いただけだけど…あの花火ってなんかのジンクスあるらしいよねー」
「俺も聞いたことあるな、確か恋が成就するとかだったよな」
響と菖蒲は分かりやすく動揺する。
佑馬は何かに気づいたように核心に迫る質問をする。
「あの後合流出来たなら、二人は花火一緒に見たのか?ってことは…」
佑馬の少ない容量の脳みそが、ピースをはめ込む前に透子が声を掛ける。
「おはー、二人って付き合ったん?」
あまりにもストレートすぎる問に、響たちは観念した。
「なんだよー!そういうことは俺に言えよなー」
「いつかは言おうとしてたよ」
「菖蒲ちゃんごめん!あたし空気読めなすぎたよね…」
幸か不幸か、透子の問のおかげで無理に隠さずに済んだところは感謝すべきところである。
「響君は素直になるのが遅いんだよっ」
「素直って…」
「響っちもあやっちも分かりやすかったよ」
一華たちに夏祭りのことを根掘り葉掘り聞かれ、黙秘権を貫いたが、尋問上手の有咲たちにはほとんどバレてしまった。
「菖蒲ちゃん大胆っ!」
『違いますよ!?響さんからですよ!?』
「へ、変なこと言うなよ!?」
佑馬と透子に交互に身体を揺すられながら、火が出るほど恥ずかしい質問を何個も投げかけられる。
そんな時間はドアが開く音によって終わりを迎える。
夏休み明けの四郎は、無精髭を伸ばしたままいつも通りのテンション感で話を始める。
「あい…話すことは一つ、転校生が来るぞ」
四郎は廊下に首だけ出すと、教室に一人の少女が入ってくる。
黒く長めの髪に目元を隠し、片手を包帯で包んでおり、モジモジとしながら黒板の前へ立つ。
その姿にはどこか見覚えがある気がした。
「響さん、どうしたんですか?」
「いや、そんなわけないしな…なんでもない」
少女は黒板に名前を書き終えると、伏し目がちな目をクラスに向ける。
ふと目が合うと、その少女は前髪を上げ大きな目をより大きく開き、響を数秒ほど見つめる。
「響君!?」
「え?」
突然名前を呼ばれ、クラス中の注目を集める響だったが、その少女との面識は記憶には無く、首を傾げる。
「響君であるか!?」
見た目とは裏腹に、癖のある言葉遣いに一つの憶測が思い浮かぶ。
「もしかして、中学の…?」
すると少女はウンウンと首を上下に振り、正解であるように目を輝かせる。
「旧友…とは言えなくとも、再び出会えたこと幸運に思うぞ!」
まさかこの少女が夢に出てきたあの黒髪の子、そして響が中学時代に庇った子だとは夢にも思わなかった。
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