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第五十六話 回復魔法の真実
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■ジーク視点■
シエルの力が更に解放された影響か、シエルの体が更に光を帯びていく。すると、シエルの様子が突然変化した。雰囲気もそうだが……表情がとても冷たい。
「ふむ、実体を持つのは何百年……いや、何千年振りか。あまりにも長い時が過ぎたせいで、全てが曖昧になっている……」
「何だ、急に変な喋り方になりやがって……ぜぇ……ぜぇ……まあいい、治しちまったなら、また同じ様にぶっ殺すだけよ!」
「黙れ、小僧」
シエルの言葉とは思えない程のプレッシャーに屈したアンドレは、その場から動けなくなった。まるで、蛇に睨まれた蛙のように。
「愚かなる男よ、我が魔法の判決を受けよ」
「な、なにをする気だ……!?」
シエルの体を包んでいた光は、一筋の光として集まっていき……アンドレの体を照らした。すると、アンドレの指先や足の先端から、ボロボロと崩壊を始めた。
な、なにが起こっている……? 今のは何かの攻撃魔法か? だが、シエルは回復魔法以外を使う事は出来ないはずだ。
「お、オレ様の体が……崩れていく!? てめえ、何をした!?」
「我の魔法が、汝が国や民にとって悪と判断し、排除しようとしているのだ」
「排除……!? ふざけんな! オレ様は世界に選ばれた天才だ! そんなオレ様にこのような不敬を働いて……どうなるかわかっているんだろうな!?」
「よく口の回る男だ。まあ良い。残り少ない時間の中、存分に話すと良い。どうせもう逃れられん」
シエルの言葉通り、どんどんとアンドレの体は崩壊していく。このまま放っておけば、数分と持たずにアンドレは完全に消滅するだろう。
「い、嫌だ……こんな死に方など……! オレ様の人生を奪った奴らと共に、オレ様は地獄に行くんだ! こんな……こんな死に方……!」
何とかこの場から逃れようとするアンドレだが、もう足が完全に無くなってしまっていて、その場から動く事が出来なくなっていた。
それでも何とかしようと、手で必死に体を持ち上げて進もうとするが……その手すらも完全に消え去ってしまった。
「あ、あぁ……! オレ様の体が……! い、嫌だ! やっぱり死にたくない! あいつらを地獄に叩き落として、オレ様はこれから……も……いき……!!」
最後の最後で本音を漏らしながら、アンドレは跡形もなく消滅していった。
……散々悪行の限りを尽くしてきた男だったが、最後は何とも醜く、そして哀れな終わり方としか言えないな。
「ふむ、終わったか」
「……シエル、ではないね。あなたは一体?」
「我は純白の聖女。汝らの事は、シエルの中から見ていた」
「純白の聖女、だと? あの伝説の……?」
「ど、どういう事ですか? 私、チンプンカンプンなんですけど!?」
全く話についていけない俺らの為に、純白の聖女と名乗った彼女は、己の事やシエルの事について、簡潔に語ってくれた。
話としてはわかったが……にわかには信じがたい話だ。シエルが純白の聖女の子孫で、魔法に刻まれた意志が目覚めたとは……。
「あなたの事はよくわかりました。ですが、肝心のシエルの意識はどこに行ったのでしょうか?」
「案ずる必要は無い。シエルの意識は我の中で眠っておる……時期に目を覚ます。本来なら彼女に最後までやらせるべきだったが……こうなる未来は予測がついていた。心の優しい彼女にこのような事をやらせたと知られたら、自分は殺人鬼だと一生後悔するだろう」
「えっと、つまり……シエルさんが責任を感じないように、聖女様がわざわざやってくれたって認識で良いですか?」
「それでよい」
確かにシエルなら、いくら相手が悪人であろうとも、自分が命を奪ったと知れば責任を感じるだろう。
だから……きっとこれで良かったんだ。あのままアンドレを逃がしていたら、それこそまた何をしてくるかわからないからな。
「さて、そろそろ我の意識も限界のようだ。再び長き眠りにつくとしよう」
「そうですか……残念です。あなたとはもっとゆっくり話をして、感謝を伝えたかった」
「話をしても有益な時間にはならないだろう。我はあくまで純白の聖女本人ではないのだからな」
「本人とか、そういうのはどうでもいいです! シエルさんや私達を助けてくれて、ありがとうございました!」
「礼には及ばぬ。愛しき民を守るのは、我の使命なのだから」
俺達が感謝の意を込めて頭を下げると、シエルの体を纏っていた光がゆっくりと消え……シエルは操り人形の糸が切れたように、その場に倒れた。
息はあるし、怪我も無い。純白の聖女が言った通り……時期に目を覚ますだろう。
なんにせよ、これで……ようやく奴との因縁に決着がついたんだな。
****
「……うぅん……」
目が覚めると、そこは私の部屋ではありませんでした。ですが、見慣れた天井に部屋の作り……あれ、ここって……。
「ジーク様のお部屋……どうして私、こんな所に?」
昨日……そうだ、確かアンドレ様が襲って来て、皆様が倒れて……私も斬られて……それで、純白の聖女様の力をお借りして……そこから覚えていません。
「皆様は無事だったのでしょうか?」
私はベッドから起き上がり、部屋を出ていこうとすると、丁度部屋の中にジーク様が入ってきました。何処も怪我をしていませんし、顔色もとても良いです。
「シエル、起きていたか。体が痛いとか――」
「ジーク様!!」
私を庇って倒れたジーク様の元気な姿に安心した私は、嬉しさを爆発させながら強く抱きつきました。
ああ、よかった……ジーク様の熱を感じる。鼓動を感じる。ちゃんと……生きてます……!
「俺は大丈夫だ。シエルのおかげで、誰も怪我人はいない。それよりも、シエルは大丈夫か?」
「私も大丈夫です。本当に……無事でよかった……そうだ、純白の聖女様は? アンドレ様は?」
「純白の聖女は、再び眠りにつくと言っていた」
「そうだったんですね……それで、アンドレ様は……」
ジーク様の顔を見上げて問いかけますが、そこには気まずそうに顔を背けるジーク様のお顔があるだけでした。
一体あの後に、何があったのでしょう……全然記憶が無いので、私にはなにもわかりません。
「アンドレは、純白の聖女に恐れをなして逃げていった。泣きながら、もう二度と来ないと言っていたから、きっともう会う事は無いだろう」
「……そうですか」
アンドレ様が、そんな事を言うのでしょうか? あの時のアンドレ様を見ていたら、石にかじりついてでも私達に復讐をしてきそうな雰囲気でしたが……。
そういえば、純白の聖女様がご自身の魔法の説明をしていた際に、消滅とか仰っていました。まさか……アンドレ様は……さ、さすがにそんな事はしませんよね。
ちゃんと聞きたいですけど、ジーク様の様子からして、これ以上教えてはくれそうもありません。聞くのも正直怖いですし。
なんにせよ、これで……本当に平和に暮らせるようになるって認識で良さそうです。本当によかった……。
「それと、シエルの部屋だが……アンドレの襲撃でボロボロになってしまった。だから、俺の部屋で寝かせた」
「あれだけの騒ぎになれば、壊れるのも仕方ないですよね……あれ? それじゃ、ジーク様はどこで休まれたんですか?」
「ベッドだが」
「あ、そうですよねー…………へ?」
平然と答えられたから、そのまま普通にしてしまうところでしたが……すぐにそれがおかしな事に気づきました。
だって、男女が同じベッドに寝るなんて……そんなの私には早すぎます! お付き合いはしてるとはいえ……ああ、もう!
「いずれ結婚する予定なのだから問題無いだろう?」
「大有りです!!」
「そ、そうなのか。別に手を出したわけでもないし、今回は非常時だったからな。すまなかった」
「あ、その……怒ってるわけじゃなくて、恥ずかしいだけで……」
自分の気持ちを完璧に言語化できなくてモジモジしていると、唐突にジーク様に強く抱きしめられました。
あまりにも突然だったので……嬉しいとかドキドキよりも、驚きの方が勝ってしまい、私の頭は真っ白になってしまいました。
「すまない、シエルが愛らしすぎて……昨日の夜もずっと我慢していたのもあって、気持ちを抑えられなかった」
「愛らしいだなんて、そんな……んっ!?」
反論しようとしたら、それを封じるように唇を奪われてしまいました。
こうなってしまうと、もうどうでもよくなっちゃいます。前のキスもそうでしたが、こうしてると頭がフワフワしちゃって……不思議な気分になるんです。気持ちいいというか、幸せって言えばいいんでしょうか?
「さて、それじゃそろそろ大広間に行くぞ。帰ってきた父上達が待っている」
「あ、はい……その、も……もう一回だけ……」
「シエル……しょうがないやつだ」
今度は不意打ちではなく、しっかりと抱き合い、愛を交わすキスをしました。しかも、ジーク様のハグもおまけ付きです。
こんなの……女の子が駄目になっちゃいます……ふにゃふにゃです……。
「ふう、もういい――」
「んっ……!!」
まだ全然満足していなかった私は、そのままジーク様を押し倒してしまいました。当然、キスは続行です。
自分の行動に、自分が驚いていますが……やっと心配事が無くなり、皆様も生きて、幸せになれると思ったら……タカが外れちゃいました。
「ふー……ふー……」
「落ち着いたか」
「なんとか……」
気の済むまでキスをしたから、少しは気分がスッキリしました。触れるだけではなく、舌同士を絡ませるのは中々ビックリしましたけど、それでも……なんていうか、一つになれてるという喜びがありました。
「ジーク様、もういなくならないでくださいね。ずっと一緒に幸せになってください」
「ああ。だがシエルは少々抱え込む節がある。それを共有してもらわなければな」
「うっ……善処します」
いつもよりもフランクで、楽しい会話をしながら、私達はコツンッとおでこ同士をぶつけました。そしてそのまま、笑顔で何度目かのキスを交わしました。
えへへ……私、幸せです……!
シエルの力が更に解放された影響か、シエルの体が更に光を帯びていく。すると、シエルの様子が突然変化した。雰囲気もそうだが……表情がとても冷たい。
「ふむ、実体を持つのは何百年……いや、何千年振りか。あまりにも長い時が過ぎたせいで、全てが曖昧になっている……」
「何だ、急に変な喋り方になりやがって……ぜぇ……ぜぇ……まあいい、治しちまったなら、また同じ様にぶっ殺すだけよ!」
「黙れ、小僧」
シエルの言葉とは思えない程のプレッシャーに屈したアンドレは、その場から動けなくなった。まるで、蛇に睨まれた蛙のように。
「愚かなる男よ、我が魔法の判決を受けよ」
「な、なにをする気だ……!?」
シエルの体を包んでいた光は、一筋の光として集まっていき……アンドレの体を照らした。すると、アンドレの指先や足の先端から、ボロボロと崩壊を始めた。
な、なにが起こっている……? 今のは何かの攻撃魔法か? だが、シエルは回復魔法以外を使う事は出来ないはずだ。
「お、オレ様の体が……崩れていく!? てめえ、何をした!?」
「我の魔法が、汝が国や民にとって悪と判断し、排除しようとしているのだ」
「排除……!? ふざけんな! オレ様は世界に選ばれた天才だ! そんなオレ様にこのような不敬を働いて……どうなるかわかっているんだろうな!?」
「よく口の回る男だ。まあ良い。残り少ない時間の中、存分に話すと良い。どうせもう逃れられん」
シエルの言葉通り、どんどんとアンドレの体は崩壊していく。このまま放っておけば、数分と持たずにアンドレは完全に消滅するだろう。
「い、嫌だ……こんな死に方など……! オレ様の人生を奪った奴らと共に、オレ様は地獄に行くんだ! こんな……こんな死に方……!」
何とかこの場から逃れようとするアンドレだが、もう足が完全に無くなってしまっていて、その場から動く事が出来なくなっていた。
それでも何とかしようと、手で必死に体を持ち上げて進もうとするが……その手すらも完全に消え去ってしまった。
「あ、あぁ……! オレ様の体が……! い、嫌だ! やっぱり死にたくない! あいつらを地獄に叩き落として、オレ様はこれから……も……いき……!!」
最後の最後で本音を漏らしながら、アンドレは跡形もなく消滅していった。
……散々悪行の限りを尽くしてきた男だったが、最後は何とも醜く、そして哀れな終わり方としか言えないな。
「ふむ、終わったか」
「……シエル、ではないね。あなたは一体?」
「我は純白の聖女。汝らの事は、シエルの中から見ていた」
「純白の聖女、だと? あの伝説の……?」
「ど、どういう事ですか? 私、チンプンカンプンなんですけど!?」
全く話についていけない俺らの為に、純白の聖女と名乗った彼女は、己の事やシエルの事について、簡潔に語ってくれた。
話としてはわかったが……にわかには信じがたい話だ。シエルが純白の聖女の子孫で、魔法に刻まれた意志が目覚めたとは……。
「あなたの事はよくわかりました。ですが、肝心のシエルの意識はどこに行ったのでしょうか?」
「案ずる必要は無い。シエルの意識は我の中で眠っておる……時期に目を覚ます。本来なら彼女に最後までやらせるべきだったが……こうなる未来は予測がついていた。心の優しい彼女にこのような事をやらせたと知られたら、自分は殺人鬼だと一生後悔するだろう」
「えっと、つまり……シエルさんが責任を感じないように、聖女様がわざわざやってくれたって認識で良いですか?」
「それでよい」
確かにシエルなら、いくら相手が悪人であろうとも、自分が命を奪ったと知れば責任を感じるだろう。
だから……きっとこれで良かったんだ。あのままアンドレを逃がしていたら、それこそまた何をしてくるかわからないからな。
「さて、そろそろ我の意識も限界のようだ。再び長き眠りにつくとしよう」
「そうですか……残念です。あなたとはもっとゆっくり話をして、感謝を伝えたかった」
「話をしても有益な時間にはならないだろう。我はあくまで純白の聖女本人ではないのだからな」
「本人とか、そういうのはどうでもいいです! シエルさんや私達を助けてくれて、ありがとうございました!」
「礼には及ばぬ。愛しき民を守るのは、我の使命なのだから」
俺達が感謝の意を込めて頭を下げると、シエルの体を纏っていた光がゆっくりと消え……シエルは操り人形の糸が切れたように、その場に倒れた。
息はあるし、怪我も無い。純白の聖女が言った通り……時期に目を覚ますだろう。
なんにせよ、これで……ようやく奴との因縁に決着がついたんだな。
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「……うぅん……」
目が覚めると、そこは私の部屋ではありませんでした。ですが、見慣れた天井に部屋の作り……あれ、ここって……。
「ジーク様のお部屋……どうして私、こんな所に?」
昨日……そうだ、確かアンドレ様が襲って来て、皆様が倒れて……私も斬られて……それで、純白の聖女様の力をお借りして……そこから覚えていません。
「皆様は無事だったのでしょうか?」
私はベッドから起き上がり、部屋を出ていこうとすると、丁度部屋の中にジーク様が入ってきました。何処も怪我をしていませんし、顔色もとても良いです。
「シエル、起きていたか。体が痛いとか――」
「ジーク様!!」
私を庇って倒れたジーク様の元気な姿に安心した私は、嬉しさを爆発させながら強く抱きつきました。
ああ、よかった……ジーク様の熱を感じる。鼓動を感じる。ちゃんと……生きてます……!
「俺は大丈夫だ。シエルのおかげで、誰も怪我人はいない。それよりも、シエルは大丈夫か?」
「私も大丈夫です。本当に……無事でよかった……そうだ、純白の聖女様は? アンドレ様は?」
「純白の聖女は、再び眠りにつくと言っていた」
「そうだったんですね……それで、アンドレ様は……」
ジーク様の顔を見上げて問いかけますが、そこには気まずそうに顔を背けるジーク様のお顔があるだけでした。
一体あの後に、何があったのでしょう……全然記憶が無いので、私にはなにもわかりません。
「アンドレは、純白の聖女に恐れをなして逃げていった。泣きながら、もう二度と来ないと言っていたから、きっともう会う事は無いだろう」
「……そうですか」
アンドレ様が、そんな事を言うのでしょうか? あの時のアンドレ様を見ていたら、石にかじりついてでも私達に復讐をしてきそうな雰囲気でしたが……。
そういえば、純白の聖女様がご自身の魔法の説明をしていた際に、消滅とか仰っていました。まさか……アンドレ様は……さ、さすがにそんな事はしませんよね。
ちゃんと聞きたいですけど、ジーク様の様子からして、これ以上教えてはくれそうもありません。聞くのも正直怖いですし。
なんにせよ、これで……本当に平和に暮らせるようになるって認識で良さそうです。本当によかった……。
「それと、シエルの部屋だが……アンドレの襲撃でボロボロになってしまった。だから、俺の部屋で寝かせた」
「あれだけの騒ぎになれば、壊れるのも仕方ないですよね……あれ? それじゃ、ジーク様はどこで休まれたんですか?」
「ベッドだが」
「あ、そうですよねー…………へ?」
平然と答えられたから、そのまま普通にしてしまうところでしたが……すぐにそれがおかしな事に気づきました。
だって、男女が同じベッドに寝るなんて……そんなの私には早すぎます! お付き合いはしてるとはいえ……ああ、もう!
「いずれ結婚する予定なのだから問題無いだろう?」
「大有りです!!」
「そ、そうなのか。別に手を出したわけでもないし、今回は非常時だったからな。すまなかった」
「あ、その……怒ってるわけじゃなくて、恥ずかしいだけで……」
自分の気持ちを完璧に言語化できなくてモジモジしていると、唐突にジーク様に強く抱きしめられました。
あまりにも突然だったので……嬉しいとかドキドキよりも、驚きの方が勝ってしまい、私の頭は真っ白になってしまいました。
「すまない、シエルが愛らしすぎて……昨日の夜もずっと我慢していたのもあって、気持ちを抑えられなかった」
「愛らしいだなんて、そんな……んっ!?」
反論しようとしたら、それを封じるように唇を奪われてしまいました。
こうなってしまうと、もうどうでもよくなっちゃいます。前のキスもそうでしたが、こうしてると頭がフワフワしちゃって……不思議な気分になるんです。気持ちいいというか、幸せって言えばいいんでしょうか?
「さて、それじゃそろそろ大広間に行くぞ。帰ってきた父上達が待っている」
「あ、はい……その、も……もう一回だけ……」
「シエル……しょうがないやつだ」
今度は不意打ちではなく、しっかりと抱き合い、愛を交わすキスをしました。しかも、ジーク様のハグもおまけ付きです。
こんなの……女の子が駄目になっちゃいます……ふにゃふにゃです……。
「ふう、もういい――」
「んっ……!!」
まだ全然満足していなかった私は、そのままジーク様を押し倒してしまいました。当然、キスは続行です。
自分の行動に、自分が驚いていますが……やっと心配事が無くなり、皆様も生きて、幸せになれると思ったら……タカが外れちゃいました。
「ふー……ふー……」
「落ち着いたか」
「なんとか……」
気の済むまでキスをしたから、少しは気分がスッキリしました。触れるだけではなく、舌同士を絡ませるのは中々ビックリしましたけど、それでも……なんていうか、一つになれてるという喜びがありました。
「ジーク様、もういなくならないでくださいね。ずっと一緒に幸せになってください」
「ああ。だがシエルは少々抱え込む節がある。それを共有してもらわなければな」
「うっ……善処します」
いつもよりもフランクで、楽しい会話をしながら、私達はコツンッとおでこ同士をぶつけました。そしてそのまま、笑顔で何度目かのキスを交わしました。
えへへ……私、幸せです……!
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