【完結】お飾りの婚約者としての価値しかない令嬢ですが、少し変わった王子様に気に入られて溺愛され始めました

ゆうき

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第四十一話 あの時の言葉

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 翌日の朝、早速市場に薬草を買いに行ったのだけど、どれだけの数が必要かわらかなくて、持っていった麻袋がパンパンになるくらい買ってきてしまった。

 これだけあれば、多分大丈夫だと思うが、もし足りなかったらどうしよう。念の為、あと五袋ぐらい買っておいた方がよかったかしら……?

『おかえり! おかえり!』

『薬草、たくさん! 多すぎ!』

「そ、そうなのですか?」

 外まで出迎えてくれたホウキ達は、薬草の入った袋を見て、若干引き気味だ。なにやら顔? を見合わせながら、多いよねーなんて言い合っている。

「ほ、ほら……あれですわ。足りないよりも多い方が、また買いに行く手間が省けるでしょう?」

『たしかに! たしかに!』

『シャーロット、かしこい! ご主人、いっしょ!』

 なんとか誤魔化すことが出来てよかった。とはいっても、後でルーク様に、さすがに買いすぎだと怒られるかもしれない。

 怒られること自体は、もう数えるのが嫌になるくらい、家族にされてきたとはいえ、それがルーク様となれば話は別だ。考えるだけで、気分が落ち込んでくる。

『ご主人、起きた! 起きた! シャーロット、行く!』

「本当ですか!? すぐに行きますわ!」

 小屋の窓から飛び出てきたホウキに連れられて中に入ると、体を起こしてボーっとしているルーク様の姿があった。

「シャーロット……」

「よかった、目が覚めたのですね! 良かった……!」

「僕は、どうしてここにいるんだ? 確か、君の部屋にいたはずだが……」

 事情を知らないルーク様に、あの後何があったのか説明をすると、ルーク様はバツが悪そうに苦笑いをした。

「あはは……助けに行っておいて迷惑をかけているようじゃ、僕もまだまだだね」

「迷惑だなんて、そんな……! 助けに来てくださって、本当にありがとうございました! ルーク様が来てくださらなければ、私は……」

 あのままだったら、私の多くの初めてが、アルバート様に奪われていた。そう思うと、背筋が一瞬にして冷たくなった。

「すまない、まさかハリーとアルバートが、こんなことをするとは思ってもみなかった。完全に、僕の見立てが甘かった。城の方が快適に過ごせるかと思っていたのに、とんだミスだった……これからはこっちで生活してほしい」

「いいのですか? あっ、でもベッドは一つしかありませんよ?」

「その辺は臨機応変に対応するから大丈夫。もし君が嫌なら、新しい部屋を用意するよ」

「いえ、嫌では無いのですが……私がここで寝泊まりをしたら、研究の邪魔になりませんか?」

 小屋に置かれているベッドは、いつも研究に使っている部屋に置かれている。時間と体力があれば、ルーク様はいつも研究をされているから、私がここで生活することで、邪魔にならないかが不安なの。

「大丈夫だよ。むしろ、近くにいてくれたほうが、何かあった時に対応できる。なによりも、少しでも君と一緒にいたいからね」

 いつもの様に微笑むルーク様の言葉に、胸の奥が大きく跳ねた。

 ルーク様にドキドキするようなことを言われたからというのもあるが、先日のルーク様の言葉を思い出してしまったからだ。

「あの、ルーク様……助けてくださった時の言葉って……本当なのですか?」

「言葉?」

「私のこと、愛しているとか……その……」

「……なんのことだい? あの時、疲弊しすぎて意識が朦朧としててね……話したことを、覚えていないんだ」

「そ、そうなのですね……」

「……いや……ごめん、嘘をついてしまった」

 嘘って……何が嘘なのだろう? もしかして、あの場で私のことを愛していると言ったことだろうか?

 もしそうなら、とてもショックではあるけど、受け入れなくてはいけない。変なことを言って、ルーク様を困らせたくないもの。

「はい、わかっております。あの土壇場で咄嗟についた嘘なのですよね……ごめんなさい、勝手に勘違いして、一人で勝手に盛り上がってしまって……」

「……? 僕が言っているのは、照れ隠しで覚えていないと、嘘をついてしまったことだ」

「えっ? そ、それじゃあ……私のことを……あ、愛しているって……」

「改めて言われると少し照れくさいけど……本当だよ。もしかして、気づいていなかった?」

「大切にしていただいているのはわかっておりましたが……ま、まさか本当に愛してもらえてるだなんて……」

「好きでもなければ、頬にキスなんてしないさ」

 ……よく考えれば、確かにあの時に気づくべきだった。あんな大胆なことを、何とも思っていない異性にするはずがないもの。下手したら、ビンタが飛んでもおかしくない。

「あはは、迷惑だったかな。ごめんよ、疲労であまり頭が働いていなかったのは本当でね。いつもなら口に出さないような本音を、言ってしまったんだ」

「…………」

 ルーク様は、私のことを愛してくれている。私のような人間を……そう思ったら、自然と涙が頬を濡らしていた。

「しゃ、シャーロット!? どうしたんだ!? もしかして、泣くほど嫌だったのかい!?」

「いいえ、違います……う、嬉しくて……私も、ルーク様のことが好きで……誰かの、ことを……こんなに好きになったこと、なくて……嬉しくて……!」

 嗚咽で言葉を詰まらせながら、ずっと心の奥底にしまっていたルーク様への言葉を紡いでいく。
 すると、ルーク様は慈愛に満ちた頬笑みを私に向けながら、そっと涙を拭ってくれた。

「僕も嬉しいよ。君が僕のことを好きだと言ってくれただけで、僕の心はこんなに満たされている」

「ルーク様……」

「シャーロット・ベルナール様。僕は君を愛してます。僕の一生をかけて幸せにしますから、僕と結婚してください」

「はい。不束者ですが……よろしくお願いいたします……!」

『おめでとう! おめでとう!』

『ご主人、シャーロット、結婚!』

『うれしい! みんな、幸せ!』

 両手を握り合い、何の着飾りもしていない愛のプロポーズをすると、ホウキ達が一斉に私達に祝福の言葉と、軽快なダンスを贈ってくれた。

 ――その後、ホウキ達が私達を祝福するために、料理をしてくれたり、踊ってくれたりと、とても楽しい時間を過ごした。

「まったく、何もあそこまで大事にする必要は無いのにね」

「いいではありませんか。私はとても楽しかったですわ」

 一通りパーティーも終わり、静かになった湖のほとりで寄り添いながら、静かに語り合う。

 昨日はあんな大騒動があったというのに、今日になったらこんな幸せな気持ちで過ごせるなんて、思ってもなかったわ。

「今日みたいな、楽しくて幸せな時間を、誰もがずっと過ごせるような国を作りたいと、改めて感じたよ」

「私もです。私も出来ることは何でもいたしますから、必ず王になってください。そして……これからもずっと支えさせてください」

「シャーロット……ありがとう。君に出会えて、僕は本当に幸せ者だ」

 自然とルーク様と視線がぶつかり、どちらからともなく顔が近づき……互いの唇が重なった。

 ずっと復讐をすることだけが、私の生きる意味だと思ってたけど……ルーク様と出会って、愛してもらう幸せ、愛することの幸せを教えてもらった。

 お母様……私、まだお母様の敵をうててないけど……心の底から幸せだって思えるようになれましたわ……!
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