41 / 82
第四十一話 あの時の言葉
しおりを挟む
翌日の朝、早速市場に薬草を買いに行ったのだけど、どれだけの数が必要かわらかなくて、持っていった麻袋がパンパンになるくらい買ってきてしまった。
これだけあれば、多分大丈夫だと思うが、もし足りなかったらどうしよう。念の為、あと五袋ぐらい買っておいた方がよかったかしら……?
『おかえり! おかえり!』
『薬草、たくさん! 多すぎ!』
「そ、そうなのですか?」
外まで出迎えてくれたホウキ達は、薬草の入った袋を見て、若干引き気味だ。なにやら顔? を見合わせながら、多いよねーなんて言い合っている。
「ほ、ほら……あれですわ。足りないよりも多い方が、また買いに行く手間が省けるでしょう?」
『たしかに! たしかに!』
『シャーロット、かしこい! ご主人、いっしょ!』
なんとか誤魔化すことが出来てよかった。とはいっても、後でルーク様に、さすがに買いすぎだと怒られるかもしれない。
怒られること自体は、もう数えるのが嫌になるくらい、家族にされてきたとはいえ、それがルーク様となれば話は別だ。考えるだけで、気分が落ち込んでくる。
『ご主人、起きた! 起きた! シャーロット、行く!』
「本当ですか!? すぐに行きますわ!」
小屋の窓から飛び出てきたホウキに連れられて中に入ると、体を起こしてボーっとしているルーク様の姿があった。
「シャーロット……」
「よかった、目が覚めたのですね! 良かった……!」
「僕は、どうしてここにいるんだ? 確か、君の部屋にいたはずだが……」
事情を知らないルーク様に、あの後何があったのか説明をすると、ルーク様はバツが悪そうに苦笑いをした。
「あはは……助けに行っておいて迷惑をかけているようじゃ、僕もまだまだだね」
「迷惑だなんて、そんな……! 助けに来てくださって、本当にありがとうございました! ルーク様が来てくださらなければ、私は……」
あのままだったら、私の多くの初めてが、アルバート様に奪われていた。そう思うと、背筋が一瞬にして冷たくなった。
「すまない、まさかハリーとアルバートが、こんなことをするとは思ってもみなかった。完全に、僕の見立てが甘かった。城の方が快適に過ごせるかと思っていたのに、とんだミスだった……これからはこっちで生活してほしい」
「いいのですか? あっ、でもベッドは一つしかありませんよ?」
「その辺は臨機応変に対応するから大丈夫。もし君が嫌なら、新しい部屋を用意するよ」
「いえ、嫌では無いのですが……私がここで寝泊まりをしたら、研究の邪魔になりませんか?」
小屋に置かれているベッドは、いつも研究に使っている部屋に置かれている。時間と体力があれば、ルーク様はいつも研究をされているから、私がここで生活することで、邪魔にならないかが不安なの。
「大丈夫だよ。むしろ、近くにいてくれたほうが、何かあった時に対応できる。なによりも、少しでも君と一緒にいたいからね」
いつもの様に微笑むルーク様の言葉に、胸の奥が大きく跳ねた。
ルーク様にドキドキするようなことを言われたからというのもあるが、先日のルーク様の言葉を思い出してしまったからだ。
「あの、ルーク様……助けてくださった時の言葉って……本当なのですか?」
「言葉?」
「私のこと、愛しているとか……その……」
「……なんのことだい? あの時、疲弊しすぎて意識が朦朧としててね……話したことを、覚えていないんだ」
「そ、そうなのですね……」
「……いや……ごめん、嘘をついてしまった」
嘘って……何が嘘なのだろう? もしかして、あの場で私のことを愛していると言ったことだろうか?
もしそうなら、とてもショックではあるけど、受け入れなくてはいけない。変なことを言って、ルーク様を困らせたくないもの。
「はい、わかっております。あの土壇場で咄嗟についた嘘なのですよね……ごめんなさい、勝手に勘違いして、一人で勝手に盛り上がってしまって……」
「……? 僕が言っているのは、照れ隠しで覚えていないと、嘘をついてしまったことだ」
「えっ? そ、それじゃあ……私のことを……あ、愛しているって……」
「改めて言われると少し照れくさいけど……本当だよ。もしかして、気づいていなかった?」
「大切にしていただいているのはわかっておりましたが……ま、まさか本当に愛してもらえてるだなんて……」
「好きでもなければ、頬にキスなんてしないさ」
……よく考えれば、確かにあの時に気づくべきだった。あんな大胆なことを、何とも思っていない異性にするはずがないもの。下手したら、ビンタが飛んでもおかしくない。
「あはは、迷惑だったかな。ごめんよ、疲労であまり頭が働いていなかったのは本当でね。いつもなら口に出さないような本音を、言ってしまったんだ」
「…………」
ルーク様は、私のことを愛してくれている。私のような人間を……そう思ったら、自然と涙が頬を濡らしていた。
「しゃ、シャーロット!? どうしたんだ!? もしかして、泣くほど嫌だったのかい!?」
「いいえ、違います……う、嬉しくて……私も、ルーク様のことが好きで……誰かの、ことを……こんなに好きになったこと、なくて……嬉しくて……!」
嗚咽で言葉を詰まらせながら、ずっと心の奥底にしまっていたルーク様への言葉を紡いでいく。
すると、ルーク様は慈愛に満ちた頬笑みを私に向けながら、そっと涙を拭ってくれた。
「僕も嬉しいよ。君が僕のことを好きだと言ってくれただけで、僕の心はこんなに満たされている」
「ルーク様……」
「シャーロット・ベルナール様。僕は君を愛してます。僕の一生をかけて幸せにしますから、僕と結婚してください」
「はい。不束者ですが……よろしくお願いいたします……!」
『おめでとう! おめでとう!』
『ご主人、シャーロット、結婚!』
『うれしい! みんな、幸せ!』
両手を握り合い、何の着飾りもしていない愛のプロポーズをすると、ホウキ達が一斉に私達に祝福の言葉と、軽快なダンスを贈ってくれた。
――その後、ホウキ達が私達を祝福するために、料理をしてくれたり、踊ってくれたりと、とても楽しい時間を過ごした。
「まったく、何もあそこまで大事にする必要は無いのにね」
「いいではありませんか。私はとても楽しかったですわ」
一通りパーティーも終わり、静かになった湖のほとりで寄り添いながら、静かに語り合う。
昨日はあんな大騒動があったというのに、今日になったらこんな幸せな気持ちで過ごせるなんて、思ってもなかったわ。
「今日みたいな、楽しくて幸せな時間を、誰もがずっと過ごせるような国を作りたいと、改めて感じたよ」
「私もです。私も出来ることは何でもいたしますから、必ず王になってください。そして……これからもずっと支えさせてください」
「シャーロット……ありがとう。君に出会えて、僕は本当に幸せ者だ」
自然とルーク様と視線がぶつかり、どちらからともなく顔が近づき……互いの唇が重なった。
ずっと復讐をすることだけが、私の生きる意味だと思ってたけど……ルーク様と出会って、愛してもらう幸せ、愛することの幸せを教えてもらった。
お母様……私、まだお母様の敵をうててないけど……心の底から幸せだって思えるようになれましたわ……!
これだけあれば、多分大丈夫だと思うが、もし足りなかったらどうしよう。念の為、あと五袋ぐらい買っておいた方がよかったかしら……?
『おかえり! おかえり!』
『薬草、たくさん! 多すぎ!』
「そ、そうなのですか?」
外まで出迎えてくれたホウキ達は、薬草の入った袋を見て、若干引き気味だ。なにやら顔? を見合わせながら、多いよねーなんて言い合っている。
「ほ、ほら……あれですわ。足りないよりも多い方が、また買いに行く手間が省けるでしょう?」
『たしかに! たしかに!』
『シャーロット、かしこい! ご主人、いっしょ!』
なんとか誤魔化すことが出来てよかった。とはいっても、後でルーク様に、さすがに買いすぎだと怒られるかもしれない。
怒られること自体は、もう数えるのが嫌になるくらい、家族にされてきたとはいえ、それがルーク様となれば話は別だ。考えるだけで、気分が落ち込んでくる。
『ご主人、起きた! 起きた! シャーロット、行く!』
「本当ですか!? すぐに行きますわ!」
小屋の窓から飛び出てきたホウキに連れられて中に入ると、体を起こしてボーっとしているルーク様の姿があった。
「シャーロット……」
「よかった、目が覚めたのですね! 良かった……!」
「僕は、どうしてここにいるんだ? 確か、君の部屋にいたはずだが……」
事情を知らないルーク様に、あの後何があったのか説明をすると、ルーク様はバツが悪そうに苦笑いをした。
「あはは……助けに行っておいて迷惑をかけているようじゃ、僕もまだまだだね」
「迷惑だなんて、そんな……! 助けに来てくださって、本当にありがとうございました! ルーク様が来てくださらなければ、私は……」
あのままだったら、私の多くの初めてが、アルバート様に奪われていた。そう思うと、背筋が一瞬にして冷たくなった。
「すまない、まさかハリーとアルバートが、こんなことをするとは思ってもみなかった。完全に、僕の見立てが甘かった。城の方が快適に過ごせるかと思っていたのに、とんだミスだった……これからはこっちで生活してほしい」
「いいのですか? あっ、でもベッドは一つしかありませんよ?」
「その辺は臨機応変に対応するから大丈夫。もし君が嫌なら、新しい部屋を用意するよ」
「いえ、嫌では無いのですが……私がここで寝泊まりをしたら、研究の邪魔になりませんか?」
小屋に置かれているベッドは、いつも研究に使っている部屋に置かれている。時間と体力があれば、ルーク様はいつも研究をされているから、私がここで生活することで、邪魔にならないかが不安なの。
「大丈夫だよ。むしろ、近くにいてくれたほうが、何かあった時に対応できる。なによりも、少しでも君と一緒にいたいからね」
いつもの様に微笑むルーク様の言葉に、胸の奥が大きく跳ねた。
ルーク様にドキドキするようなことを言われたからというのもあるが、先日のルーク様の言葉を思い出してしまったからだ。
「あの、ルーク様……助けてくださった時の言葉って……本当なのですか?」
「言葉?」
「私のこと、愛しているとか……その……」
「……なんのことだい? あの時、疲弊しすぎて意識が朦朧としててね……話したことを、覚えていないんだ」
「そ、そうなのですね……」
「……いや……ごめん、嘘をついてしまった」
嘘って……何が嘘なのだろう? もしかして、あの場で私のことを愛していると言ったことだろうか?
もしそうなら、とてもショックではあるけど、受け入れなくてはいけない。変なことを言って、ルーク様を困らせたくないもの。
「はい、わかっております。あの土壇場で咄嗟についた嘘なのですよね……ごめんなさい、勝手に勘違いして、一人で勝手に盛り上がってしまって……」
「……? 僕が言っているのは、照れ隠しで覚えていないと、嘘をついてしまったことだ」
「えっ? そ、それじゃあ……私のことを……あ、愛しているって……」
「改めて言われると少し照れくさいけど……本当だよ。もしかして、気づいていなかった?」
「大切にしていただいているのはわかっておりましたが……ま、まさか本当に愛してもらえてるだなんて……」
「好きでもなければ、頬にキスなんてしないさ」
……よく考えれば、確かにあの時に気づくべきだった。あんな大胆なことを、何とも思っていない異性にするはずがないもの。下手したら、ビンタが飛んでもおかしくない。
「あはは、迷惑だったかな。ごめんよ、疲労であまり頭が働いていなかったのは本当でね。いつもなら口に出さないような本音を、言ってしまったんだ」
「…………」
ルーク様は、私のことを愛してくれている。私のような人間を……そう思ったら、自然と涙が頬を濡らしていた。
「しゃ、シャーロット!? どうしたんだ!? もしかして、泣くほど嫌だったのかい!?」
「いいえ、違います……う、嬉しくて……私も、ルーク様のことが好きで……誰かの、ことを……こんなに好きになったこと、なくて……嬉しくて……!」
嗚咽で言葉を詰まらせながら、ずっと心の奥底にしまっていたルーク様への言葉を紡いでいく。
すると、ルーク様は慈愛に満ちた頬笑みを私に向けながら、そっと涙を拭ってくれた。
「僕も嬉しいよ。君が僕のことを好きだと言ってくれただけで、僕の心はこんなに満たされている」
「ルーク様……」
「シャーロット・ベルナール様。僕は君を愛してます。僕の一生をかけて幸せにしますから、僕と結婚してください」
「はい。不束者ですが……よろしくお願いいたします……!」
『おめでとう! おめでとう!』
『ご主人、シャーロット、結婚!』
『うれしい! みんな、幸せ!』
両手を握り合い、何の着飾りもしていない愛のプロポーズをすると、ホウキ達が一斉に私達に祝福の言葉と、軽快なダンスを贈ってくれた。
――その後、ホウキ達が私達を祝福するために、料理をしてくれたり、踊ってくれたりと、とても楽しい時間を過ごした。
「まったく、何もあそこまで大事にする必要は無いのにね」
「いいではありませんか。私はとても楽しかったですわ」
一通りパーティーも終わり、静かになった湖のほとりで寄り添いながら、静かに語り合う。
昨日はあんな大騒動があったというのに、今日になったらこんな幸せな気持ちで過ごせるなんて、思ってもなかったわ。
「今日みたいな、楽しくて幸せな時間を、誰もがずっと過ごせるような国を作りたいと、改めて感じたよ」
「私もです。私も出来ることは何でもいたしますから、必ず王になってください。そして……これからもずっと支えさせてください」
「シャーロット……ありがとう。君に出会えて、僕は本当に幸せ者だ」
自然とルーク様と視線がぶつかり、どちらからともなく顔が近づき……互いの唇が重なった。
ずっと復讐をすることだけが、私の生きる意味だと思ってたけど……ルーク様と出会って、愛してもらう幸せ、愛することの幸せを教えてもらった。
お母様……私、まだお母様の敵をうててないけど……心の底から幸せだって思えるようになれましたわ……!
25
あなたにおすすめの小説
お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た
【完】婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
さこの
恋愛
婚約者の侯爵令嬢セリーナが好きすぎて話しかけることができなくさらに近くに寄れないジェフェリー。
そんなジェフェリーに嫌われていると思って婚約をなかった事にして、自由にしてあげたいセリーナ。
それをまた勘違いして何故か自分が選ばれると思っている平民ジュリアナ。
あくまで架空のゆる設定です。
ホットランキング入りしました。ありがとうございます!!
2021/08/29
*全三十話です。執筆済みです
拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。
さこの
恋愛
ある日婚約者の伯爵令息に王宮に呼び出されました。そのあと婚約破棄をされてその立会人はなんと第二王子殿下でした。婚約破棄の理由は性格の不一致と言うことです。
その後なぜが第二王子殿下によく話しかけられるようになりました。え?殿下と私に婚約の話が?
婚約破棄をされた時に立会いをされていた第二王子と婚約なんて無理です。婚約破棄の責任なんてとっていただかなくて結構ですから!
最後はハッピーエンドです。10万文字ちょっとの話になります(ご都合主義な所もあります)
田舎者とバカにされたけど、都会に染まった婚約者様は破滅しました
さこの
恋愛
田舎の子爵家の令嬢セイラと男爵家のレオは幼馴染。両家とも仲が良く、領地が隣り合わせで小さい頃から結婚の約束をしていた。
時が経ちセイラより一つ上のレオが王立学園に入学することになった。
手紙のやり取りが少なくなってきて不安になるセイラ。
ようやく学園に入学することになるのだが、そこには変わり果てたレオの姿が……
「田舎の色気のない女より、都会の洗練された女はいい」と友人に吹聴していた
ホットランキング入りありがとうございます
2021/06/17
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる