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第六十二話 あなたの傍に
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「に、人形は……?」
視線の先では、人形は片腕と片足が取れてしまい、動けなくなっていた。これは、きっと壊れたという判定になると思う。
「くっ……ま、守れませんでしたわ……でもっ!」
あれが、もし本当の人間だったら、これ以上傷つけさせなければ、助かるかもしれない。
だから……壊れた人形だって、守り続けてみせる! 偽善だと思われてもいい! 私は、宮廷魔術師になって、ルーク様と一緒に国と民を守る! もう憎しみに囚われたりしない! これは、その意思表示だ!
「これ以上、みなさまを傷つけることは致しません!」
「…………」
この人形は喋れないようで、黙って私のことを見つめる。そして、ペコペコと頭を下げて、私に何か伝えようとしていた。
「お礼なんていいのに……大丈夫、後はお任せくださいまし!」
偉そうに任せろと言ったはいいものの、このままではジリ貧になってしまいそうだ。まだ人形達の障壁が生きている、今がチャンスなのに。
「迎撃……属性……そうだわ! あまりスマートなやり方じゃありませんが……!」
私は、先程と同じように、杖を使って地脈の力を集める。違うところといえば、さっきよりもかなり多くの力を集めていることだ。
この力の量を相手に、さっきと同じことをすれば、間違いなく失敗する。それくらい、今からやろうとしている魔法は、コントロールが繊細過ぎる。ルーク様に、自然と魔法が使えるように特訓してもらってなかったら、きっと会得できていなかったでしょうね。
「この力を……! えーいっ!!」
私は、杖を空に向かって大きく振ることで、杖の先に集めた地脈の力が球体となり、投げとばされる。
その球体はどんどんと空高く飛んでいき、魔法陣に当たるか当たらないかといった位置まで行くと、突然巨大な障壁となり、私達――ではなく、魔法陣をすっぽりと囲った。
「――――」
当然の様に、魔法陣は攻撃をして障壁を破壊しようとするが、中々壊すことは出来ずにいた。
「この障壁は、どの属性にも属さない、特殊な魔法! これなら、属性の相性なんて関係ありません! 純粋な火力と耐久力の勝負ですわ! みなさん、一つの場所に集まってください! そうすれば、互いの障壁魔法が守り合ってくれますし、突風で吹き飛びにくくなりますわ!」
「……!!」
逃げ惑っていた人形達は、私の言うことを聞いて、試験場の隅っこで体を寄せ合った。
あれならそれぞれにかけた障壁が大きくなってくれるし、突風や爆風が来ても、互いを守り合えるはずだわ。
「さあ、ここからは体力と根性勝負です!」
これでも一応、私は貴族の人間だ。そんな人間に、体力と根性の勝負なんて似合わないかもしれないが、そんなのは知ったことではない。これで試験が合格できるなら、手足が引きちぎれてもやり遂げてやる!
「くっ……ヒビが……」
集中しているうえに、属性のことを考えずに、全て正面から受ければ良いようにはなったけど、それでも激しい攻撃を抑えるのは、至難の業だ。実際に、既に障壁の一部にヒビが入ってしまっている。
「はぁっ!」
すぐにヒビの修復を行うが、何度も何度も障壁を破壊されそうになる。その度にしっさり食い止めて、修復を繰り返す。
このままいけば、抑えきれる。そう思っていったのに、先に私の体力が尽きてしまい……その場で膝から崩れ落ちてしまった。
「ぜぇ……ぜぇ……」
息もうまく出来なくなっている。こんな状態では、これ以上障壁は――
「もう少し、持ち堪えて……!」
私という存在が揺らいだことで、私の言葉も虚しく、障壁は破壊されてしまい、再び人形に攻撃が襲い掛かる。
人形の障壁は残っているから、もしかしたら耐えるかもしれないが、絶対とは言い切れない。
絶対に何か方法はあるはず。考えて、考えるのよ私!
「なにか良い手は……!」
『シャーロット! 諦めないで!』
「この声は……?」
『あなたなら出来るわ! さあ、杖に力を込めて! 一緒に最後の大仕事をしましょう!』
明るくて、優しくて、聞いているだけで自然と涙が零れ落ちる声の指示通りに、私は杖を天に掲げ、ギュッと握る。
すると、ぼんやりとした存在感ではあったが、人の手のような感覚が、私の手を包み込んだ。
「この声……この手……この温もり……そっか……ごめんね……私、まだまだ半人前だから……心配ばっかりかけちゃってるね……」
この不思議な存在の正体が、誰かはすぐにわかった。すると、私の目から自然と涙が零れ落ちた。
「ありがとう……本当に、ありがとう……!」
私の手に乗る暖かい手を通して、私の中にとても大きな力が芽生えていくのを感じる。これがあれば、絶対に行ける!
「はぁぁ!!」
私は、最後の力を振り絞り、杖を地面に突き刺す。すると、集まっている人形達をすっぽり覆うくらいの大きさの障壁が出現し、魔法陣の攻撃を防ぎ始める。
私のことを、大切な人が見守ってくれている。おかげで、もう負ける気がしないわ!
「私が……勝ちますのよ!!」
私の声と思いに応えるように、障壁は段々と巨大になっていき、魔法陣の攻撃を押し返していき、再び魔法陣を覆いつくした。
当然、魔法陣は再び障壁を破壊しようと攻撃をするが、破壊には至らず……ついに時間いっぱいまで生き残ることが出来た。
視線の先では、人形は片腕と片足が取れてしまい、動けなくなっていた。これは、きっと壊れたという判定になると思う。
「くっ……ま、守れませんでしたわ……でもっ!」
あれが、もし本当の人間だったら、これ以上傷つけさせなければ、助かるかもしれない。
だから……壊れた人形だって、守り続けてみせる! 偽善だと思われてもいい! 私は、宮廷魔術師になって、ルーク様と一緒に国と民を守る! もう憎しみに囚われたりしない! これは、その意思表示だ!
「これ以上、みなさまを傷つけることは致しません!」
「…………」
この人形は喋れないようで、黙って私のことを見つめる。そして、ペコペコと頭を下げて、私に何か伝えようとしていた。
「お礼なんていいのに……大丈夫、後はお任せくださいまし!」
偉そうに任せろと言ったはいいものの、このままではジリ貧になってしまいそうだ。まだ人形達の障壁が生きている、今がチャンスなのに。
「迎撃……属性……そうだわ! あまりスマートなやり方じゃありませんが……!」
私は、先程と同じように、杖を使って地脈の力を集める。違うところといえば、さっきよりもかなり多くの力を集めていることだ。
この力の量を相手に、さっきと同じことをすれば、間違いなく失敗する。それくらい、今からやろうとしている魔法は、コントロールが繊細過ぎる。ルーク様に、自然と魔法が使えるように特訓してもらってなかったら、きっと会得できていなかったでしょうね。
「この力を……! えーいっ!!」
私は、杖を空に向かって大きく振ることで、杖の先に集めた地脈の力が球体となり、投げとばされる。
その球体はどんどんと空高く飛んでいき、魔法陣に当たるか当たらないかといった位置まで行くと、突然巨大な障壁となり、私達――ではなく、魔法陣をすっぽりと囲った。
「――――」
当然の様に、魔法陣は攻撃をして障壁を破壊しようとするが、中々壊すことは出来ずにいた。
「この障壁は、どの属性にも属さない、特殊な魔法! これなら、属性の相性なんて関係ありません! 純粋な火力と耐久力の勝負ですわ! みなさん、一つの場所に集まってください! そうすれば、互いの障壁魔法が守り合ってくれますし、突風で吹き飛びにくくなりますわ!」
「……!!」
逃げ惑っていた人形達は、私の言うことを聞いて、試験場の隅っこで体を寄せ合った。
あれならそれぞれにかけた障壁が大きくなってくれるし、突風や爆風が来ても、互いを守り合えるはずだわ。
「さあ、ここからは体力と根性勝負です!」
これでも一応、私は貴族の人間だ。そんな人間に、体力と根性の勝負なんて似合わないかもしれないが、そんなのは知ったことではない。これで試験が合格できるなら、手足が引きちぎれてもやり遂げてやる!
「くっ……ヒビが……」
集中しているうえに、属性のことを考えずに、全て正面から受ければ良いようにはなったけど、それでも激しい攻撃を抑えるのは、至難の業だ。実際に、既に障壁の一部にヒビが入ってしまっている。
「はぁっ!」
すぐにヒビの修復を行うが、何度も何度も障壁を破壊されそうになる。その度にしっさり食い止めて、修復を繰り返す。
このままいけば、抑えきれる。そう思っていったのに、先に私の体力が尽きてしまい……その場で膝から崩れ落ちてしまった。
「ぜぇ……ぜぇ……」
息もうまく出来なくなっている。こんな状態では、これ以上障壁は――
「もう少し、持ち堪えて……!」
私という存在が揺らいだことで、私の言葉も虚しく、障壁は破壊されてしまい、再び人形に攻撃が襲い掛かる。
人形の障壁は残っているから、もしかしたら耐えるかもしれないが、絶対とは言い切れない。
絶対に何か方法はあるはず。考えて、考えるのよ私!
「なにか良い手は……!」
『シャーロット! 諦めないで!』
「この声は……?」
『あなたなら出来るわ! さあ、杖に力を込めて! 一緒に最後の大仕事をしましょう!』
明るくて、優しくて、聞いているだけで自然と涙が零れ落ちる声の指示通りに、私は杖を天に掲げ、ギュッと握る。
すると、ぼんやりとした存在感ではあったが、人の手のような感覚が、私の手を包み込んだ。
「この声……この手……この温もり……そっか……ごめんね……私、まだまだ半人前だから……心配ばっかりかけちゃってるね……」
この不思議な存在の正体が、誰かはすぐにわかった。すると、私の目から自然と涙が零れ落ちた。
「ありがとう……本当に、ありがとう……!」
私の手に乗る暖かい手を通して、私の中にとても大きな力が芽生えていくのを感じる。これがあれば、絶対に行ける!
「はぁぁ!!」
私は、最後の力を振り絞り、杖を地面に突き刺す。すると、集まっている人形達をすっぽり覆うくらいの大きさの障壁が出現し、魔法陣の攻撃を防ぎ始める。
私のことを、大切な人が見守ってくれている。おかげで、もう負ける気がしないわ!
「私が……勝ちますのよ!!」
私の声と思いに応えるように、障壁は段々と巨大になっていき、魔法陣の攻撃を押し返していき、再び魔法陣を覆いつくした。
当然、魔法陣は再び障壁を破壊しようと攻撃をするが、破壊には至らず……ついに時間いっぱいまで生き残ることが出来た。
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