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第六十三話 試験は無事に終わり……
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「そこまで!」
試験の終わりを告げる掛け声に合わせて、私は魔法を解除すると、魔法陣も人形も、まるでそこにいなかったかのように、スッと消えていった。
「お、終わった……あれ……?」
最後の最後に私を励ましてくれた人に、お礼を言いたかったのに、彼女も人形達と同じように、いつの間にかいなくなってしまっていた。
「……ううん、違いますわよね。ずっと……一緒に」
私は、手に持っていた杖に呟きながら、ギュッと強く抱きしめると、一瞬だけきらりと光ったように見えた。もしかしたら、返事をしてくれたのかもしれない。
「凄かったぞー!」
「良いものを見させてもらいましたわ~!」
一人で感傷にふけっていると、観客席で見物している人や、運営として動いている人から、惜しみない拍手の雨が降り注ぐ。
それが、まるでずっと無能と言われていた自分が認められたみたいで、嬉しくて。涙を流しながら、何度も何度も頭を下げた。
「シャーロット様、お疲れ様でした。とても素晴らしい魔法でした」
「ありがとうございます」
「これより、委員会の方で合格者を決めさせていただきます。結果は一週間後となりますので、本日はごゆっくりお休みください」
一週間後? てっきり、すぐに結果を教えてもらえるものだと勘違いをしていた。
でも、冷静に考えれば、そんなのすぐわかることだ。なにせ、国にとって重要な宮廷魔術師を決めるのだから、色々と話し合わないといけないもの。
「では、一度控室にお戻りください」
「わかりました。本日はありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそでございます」
今日一日ずっと進行をしてくれた男性に深く感謝をしてから、控室に向かう途中、とてもつまらなさそうに舌打ちをするマーガレットと目が合った。
「ふ、ふん……まあ? お姉様にしては、頑張った方じゃないの? でも、あたしほどじゃないってことは変わらない! 合格して勝つのはあたし! 今のうちに、束の間の喜びを味わっておくといいよ!」
まるで負け惜しみみたいなことを言い残して、マーガレットは私の前から去っていった。
わざわざそんなことを言わなければいいのに……私に少しでも絡まないと、何か問題が起こるとでも言いたいのかしら。付き合わされるこっちの気持ちにもなってほしいものだわ。
まあいい。こんなことは日常茶飯事だったから、慣れてしまっている。早く控室に戻って、家に帰りましょう。
「お疲れ様でした。本日はこれにて終了となります。お帰りはいつでも結構ですので」
「はい。ありがとうございます」
ここまで案内してくれた女性が控室を後にするのを見届けた私は、椅子に腰を下ろして、深く溜息をした。
なんだか、終わったと思ったら、疲れが押し寄せてきた。もしかしたら、先程のようにまた誰かが私に手を出してくるかもしれないのだから、気を抜いてはいけないわよね。
「シャーロット、いるかい?」
「ルーク様?」
部屋のノックの音と共に、部屋の外からルーク様の声が聞こえてきた。
もう疲れて一歩も動きたくないくらいなのに、ルーク様となれば話は別。私はなるべく急いで立ち上がると、控室のドアを開けてルーク様を出迎えた。
「来てくださったのですね。ありがとうござ――」
ルーク様は、私がお礼を言う前に部屋に入ってくると、そのまま私を抱きしめた。
「よく頑張ったね。本当に立派だった。君は、僕の自慢の恋人だよ」
「る、ルーク様……大げさですわ。それに、少々苦しいです……」
「す、すまない。君の勇姿に感極まってしまって」
ルーク様の言葉には、嘘偽りはないみたい。だって、私から少し離れたルーク様の目からは、キラリと輝く涙が伝っていたのだから。
「魔法が使えなかった頃が嘘だと思うくらい、立派に成長して……僕は嬉しいよ。特に最終試験なんて、感極まって声が出なかったくらいさ」
「ルーク様が教えてくださったり、見守ってくださったおかげです。それに……もう一人、勇気をくださいました」
机の上に置かれた杖を慈しむように見つめると、ルーク様はそうか……と呟きながら、小さく頷いた。
「ところでルーク様、お仕事はよろしいのですか?」
「ああ。今しなくちゃいけないことは、大した内容じゃないからね。父上や委員会の人から許可を貰って、人形に任せてきた。とはいっても、少ししたら合格者を決める会議が開かれるから、忙しくなるけどね」
そうなのね……家に帰ったら、ルーク様と一緒に過ごしたかったけれど、仕事があるなら仕方がない。
「もう少ししたら、馬車の用意が出来るはずだから、そうしたら一緒に一度城に行って、裂け目を通って小屋に帰ろうか」
「わかりました」
「お待たせしました。お迎えにあがりました」
まさに噂をすればというのにぴったりなタイミングで、王家に仕える人が迎えに来てくれた。その人について外に出ると、立派な馬車が準備されていた。
「それじゃあ、帰ろうか」
「はい」
ルーク様にリードしてもらいながら馬車に乗りこむと、ガタガタと音を立てながら、ゆっくりと馬車が動き出す。その揺れがなんだか心地よくて、強い睡魔が襲ってきた。
「シャーロット、疲れただろう? 休んでも大丈夫だよ」
「いえ、まだ家についておりませんから……」
「大丈夫、僕がちゃんとベッドまで運んであげるから」
「そういうわけには……ルーク様、に……ご迷惑は……」
言葉とは裏腹に、瞼はどんどんと重くなり……私はルーク様に体を預けながら、ゆっくりと眠りについた。
試験の終わりを告げる掛け声に合わせて、私は魔法を解除すると、魔法陣も人形も、まるでそこにいなかったかのように、スッと消えていった。
「お、終わった……あれ……?」
最後の最後に私を励ましてくれた人に、お礼を言いたかったのに、彼女も人形達と同じように、いつの間にかいなくなってしまっていた。
「……ううん、違いますわよね。ずっと……一緒に」
私は、手に持っていた杖に呟きながら、ギュッと強く抱きしめると、一瞬だけきらりと光ったように見えた。もしかしたら、返事をしてくれたのかもしれない。
「凄かったぞー!」
「良いものを見させてもらいましたわ~!」
一人で感傷にふけっていると、観客席で見物している人や、運営として動いている人から、惜しみない拍手の雨が降り注ぐ。
それが、まるでずっと無能と言われていた自分が認められたみたいで、嬉しくて。涙を流しながら、何度も何度も頭を下げた。
「シャーロット様、お疲れ様でした。とても素晴らしい魔法でした」
「ありがとうございます」
「これより、委員会の方で合格者を決めさせていただきます。結果は一週間後となりますので、本日はごゆっくりお休みください」
一週間後? てっきり、すぐに結果を教えてもらえるものだと勘違いをしていた。
でも、冷静に考えれば、そんなのすぐわかることだ。なにせ、国にとって重要な宮廷魔術師を決めるのだから、色々と話し合わないといけないもの。
「では、一度控室にお戻りください」
「わかりました。本日はありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそでございます」
今日一日ずっと進行をしてくれた男性に深く感謝をしてから、控室に向かう途中、とてもつまらなさそうに舌打ちをするマーガレットと目が合った。
「ふ、ふん……まあ? お姉様にしては、頑張った方じゃないの? でも、あたしほどじゃないってことは変わらない! 合格して勝つのはあたし! 今のうちに、束の間の喜びを味わっておくといいよ!」
まるで負け惜しみみたいなことを言い残して、マーガレットは私の前から去っていった。
わざわざそんなことを言わなければいいのに……私に少しでも絡まないと、何か問題が起こるとでも言いたいのかしら。付き合わされるこっちの気持ちにもなってほしいものだわ。
まあいい。こんなことは日常茶飯事だったから、慣れてしまっている。早く控室に戻って、家に帰りましょう。
「お疲れ様でした。本日はこれにて終了となります。お帰りはいつでも結構ですので」
「はい。ありがとうございます」
ここまで案内してくれた女性が控室を後にするのを見届けた私は、椅子に腰を下ろして、深く溜息をした。
なんだか、終わったと思ったら、疲れが押し寄せてきた。もしかしたら、先程のようにまた誰かが私に手を出してくるかもしれないのだから、気を抜いてはいけないわよね。
「シャーロット、いるかい?」
「ルーク様?」
部屋のノックの音と共に、部屋の外からルーク様の声が聞こえてきた。
もう疲れて一歩も動きたくないくらいなのに、ルーク様となれば話は別。私はなるべく急いで立ち上がると、控室のドアを開けてルーク様を出迎えた。
「来てくださったのですね。ありがとうござ――」
ルーク様は、私がお礼を言う前に部屋に入ってくると、そのまま私を抱きしめた。
「よく頑張ったね。本当に立派だった。君は、僕の自慢の恋人だよ」
「る、ルーク様……大げさですわ。それに、少々苦しいです……」
「す、すまない。君の勇姿に感極まってしまって」
ルーク様の言葉には、嘘偽りはないみたい。だって、私から少し離れたルーク様の目からは、キラリと輝く涙が伝っていたのだから。
「魔法が使えなかった頃が嘘だと思うくらい、立派に成長して……僕は嬉しいよ。特に最終試験なんて、感極まって声が出なかったくらいさ」
「ルーク様が教えてくださったり、見守ってくださったおかげです。それに……もう一人、勇気をくださいました」
机の上に置かれた杖を慈しむように見つめると、ルーク様はそうか……と呟きながら、小さく頷いた。
「ところでルーク様、お仕事はよろしいのですか?」
「ああ。今しなくちゃいけないことは、大した内容じゃないからね。父上や委員会の人から許可を貰って、人形に任せてきた。とはいっても、少ししたら合格者を決める会議が開かれるから、忙しくなるけどね」
そうなのね……家に帰ったら、ルーク様と一緒に過ごしたかったけれど、仕事があるなら仕方がない。
「もう少ししたら、馬車の用意が出来るはずだから、そうしたら一緒に一度城に行って、裂け目を通って小屋に帰ろうか」
「わかりました」
「お待たせしました。お迎えにあがりました」
まさに噂をすればというのにぴったりなタイミングで、王家に仕える人が迎えに来てくれた。その人について外に出ると、立派な馬車が準備されていた。
「それじゃあ、帰ろうか」
「はい」
ルーク様にリードしてもらいながら馬車に乗りこむと、ガタガタと音を立てながら、ゆっくりと馬車が動き出す。その揺れがなんだか心地よくて、強い睡魔が襲ってきた。
「シャーロット、疲れただろう? 休んでも大丈夫だよ」
「いえ、まだ家についておりませんから……」
「大丈夫、僕がちゃんとベッドまで運んであげるから」
「そういうわけには……ルーク様、に……ご迷惑は……」
言葉とは裏腹に、瞼はどんどんと重くなり……私はルーク様に体を預けながら、ゆっくりと眠りについた。
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