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転生王女の成長
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私は、16歳の誕生日をあと1ヶ月後に迎える。
この国の成人は16歳で、つまり、あと1ヶ月で私は魔国クリムゾンに花嫁として嫁ぐことが出来る年齢になるということだ。
12歳の誕生日に出会ってから、4年ー
魔王陛下の私への溺愛ぶりは、なんというか凄まじいものであった。
さすがに4年も自国をほったらかしにはできないようで、度々魔国へは帰られていた。
そう。度々なのだ。常には、サフィロスにいて、やむ得ない時にだけ帰るという・・・
国王がそれでいいのかと、フレイ様に尋ねたら、いいわけがないとあっさり返された。
いいわけがないが、魔王陛下のご機嫌を損ねたくはないのだと、だから、魔王陛下のお守りはお願いしますねと、それはそれは素晴らしい笑顔で言われた。
現在、魔王陛下アルフレッド様は、魔国へご帰還中である。
1ヶ月後、私が成人したら婚姻を結ぶため、準備があるとか何とか言っていた。
そして、私はというと、現在目の前には苦虫を噛み潰したような、まぁ平常運転の父様がいる。
「どうにかしろと言われましても」
私がため息をつきながらそう言うと、父様は片眉をピクリと上げた。
私は、父様の表情筋とお話しする能力に長けているわけではありませんよ。言葉でおっしゃってください。
「父様が命じれば、従うでしょうに」
「強制するつもりはない」
「父様は本当に、不器用なお方ですわね」
私は再びため息をついた。
今、私達の悩みの種は、カイルお兄様の婚姻に関してだ。
カイルお兄様の婚約者は、他国の第1王女様で、まぁあちらからの申し出であったけど、カイルお兄様もその王女様に好意は持っているようだった。
ただ婚姻にあたり、他国へ婿養子として行かねばならなくて、カイルお兄様がそれを渋った。
その状態で既に3年。あちらの国からも婚姻を迫られている。まぁ、当然のことだ。
カイルお兄様も王族の一員である。自分が我儘を言っていることはわかっているようだった。
だけど、今は婚姻したくない。その一点張りで。
その理由が、私と離れたくないということなのだから、目も当てられない。
私は父様に、カイルお兄様の説得を求められていた。
ちなみに、私を溺愛していたその1のルヒトお兄様は、サフィロスの公爵家ご令嬢を2年前に娶られた。
ルヒトお兄様は王太子だから、婚約も婚姻も何も渋ることなく、国の為に相応しい身分の方を選ばれた。
それでも、今仲睦まじく過ごされているから、とても良い婚姻だったのだろう。
そうそう。お義姉様は、昨年男の子をお産みになり、私は叔母になった。未来の王太子は、めっちゃ可愛い。
お爺様になった父様が、孫に実はメロメロなことは、私にしか気づかれていない。
まぁ、最近はルヒトお兄様やお義姉様は、何となくはわかっているみたいだけどね。
エリザベスお姉様は、去年、ルヒトお兄様のところに子供が生まれたあとに嫁がれた。
サフィロスの侯爵家の嫡男で、カイルお兄様の幼なじみの方だ。元々エリザベスお姉様とも面識があり、婚約自体は私が転生する前からされていた。
まぁ、長男であるお兄様が婚姻されるのを待っていたというのが正直なところだ。
あとは、カイルお兄様の婚姻を終えれば、私とアルフレッド様との婚姻のみになる。
というか、私も自分の婚姻の準備とかあるんだけど。
アルフレッド様曰く、「ローゼは身ひとつで僕のもとへ来てくれれば構わない」そうだが、王妃がそれではいかんでしょう。
私は花嫁修行に、4年間忙しく過ごしていた。
そんな中、アルフレッド様が帰国されたことで出来た時間に、父様に呼び出されたのだ。
「私にどうしろとおっしゃるのですか」
「あちらからは早々に婚姻をと言われている。カイルの婚姻が遅れれば、お前の婚姻も遅れる。そうなれば、わかるだろう」
ああ。アルフレッド様が面倒なことになりますね。
「しかし、すぐに婚姻できたりしますの?」
「向こうはすぐにでもと準備できているそうだ。カイル次第ということだ」
まぁ、3年も待たされてるのだものね。相手の王女様もさぞかしご心痛だろう。
全く、カイルお兄様は何を考えているんだか。私を溺愛してくれる気持ちはわかるけど、その私は来月には魔国へと嫁ぐのだ。
未来永劫、共にいてくれる王女様を大切にするべきではないのか。
私は、父様にうなづいた。
「わかりましたわ。カイルお兄様には、早々にお婿に行ってもらいます」
王女様の気持ちを思って、ちょっとイラついた私に、父様はため息混じりにうなづいて見せた。
この国の成人は16歳で、つまり、あと1ヶ月で私は魔国クリムゾンに花嫁として嫁ぐことが出来る年齢になるということだ。
12歳の誕生日に出会ってから、4年ー
魔王陛下の私への溺愛ぶりは、なんというか凄まじいものであった。
さすがに4年も自国をほったらかしにはできないようで、度々魔国へは帰られていた。
そう。度々なのだ。常には、サフィロスにいて、やむ得ない時にだけ帰るという・・・
国王がそれでいいのかと、フレイ様に尋ねたら、いいわけがないとあっさり返された。
いいわけがないが、魔王陛下のご機嫌を損ねたくはないのだと、だから、魔王陛下のお守りはお願いしますねと、それはそれは素晴らしい笑顔で言われた。
現在、魔王陛下アルフレッド様は、魔国へご帰還中である。
1ヶ月後、私が成人したら婚姻を結ぶため、準備があるとか何とか言っていた。
そして、私はというと、現在目の前には苦虫を噛み潰したような、まぁ平常運転の父様がいる。
「どうにかしろと言われましても」
私がため息をつきながらそう言うと、父様は片眉をピクリと上げた。
私は、父様の表情筋とお話しする能力に長けているわけではありませんよ。言葉でおっしゃってください。
「父様が命じれば、従うでしょうに」
「強制するつもりはない」
「父様は本当に、不器用なお方ですわね」
私は再びため息をついた。
今、私達の悩みの種は、カイルお兄様の婚姻に関してだ。
カイルお兄様の婚約者は、他国の第1王女様で、まぁあちらからの申し出であったけど、カイルお兄様もその王女様に好意は持っているようだった。
ただ婚姻にあたり、他国へ婿養子として行かねばならなくて、カイルお兄様がそれを渋った。
その状態で既に3年。あちらの国からも婚姻を迫られている。まぁ、当然のことだ。
カイルお兄様も王族の一員である。自分が我儘を言っていることはわかっているようだった。
だけど、今は婚姻したくない。その一点張りで。
その理由が、私と離れたくないということなのだから、目も当てられない。
私は父様に、カイルお兄様の説得を求められていた。
ちなみに、私を溺愛していたその1のルヒトお兄様は、サフィロスの公爵家ご令嬢を2年前に娶られた。
ルヒトお兄様は王太子だから、婚約も婚姻も何も渋ることなく、国の為に相応しい身分の方を選ばれた。
それでも、今仲睦まじく過ごされているから、とても良い婚姻だったのだろう。
そうそう。お義姉様は、昨年男の子をお産みになり、私は叔母になった。未来の王太子は、めっちゃ可愛い。
お爺様になった父様が、孫に実はメロメロなことは、私にしか気づかれていない。
まぁ、最近はルヒトお兄様やお義姉様は、何となくはわかっているみたいだけどね。
エリザベスお姉様は、去年、ルヒトお兄様のところに子供が生まれたあとに嫁がれた。
サフィロスの侯爵家の嫡男で、カイルお兄様の幼なじみの方だ。元々エリザベスお姉様とも面識があり、婚約自体は私が転生する前からされていた。
まぁ、長男であるお兄様が婚姻されるのを待っていたというのが正直なところだ。
あとは、カイルお兄様の婚姻を終えれば、私とアルフレッド様との婚姻のみになる。
というか、私も自分の婚姻の準備とかあるんだけど。
アルフレッド様曰く、「ローゼは身ひとつで僕のもとへ来てくれれば構わない」そうだが、王妃がそれではいかんでしょう。
私は花嫁修行に、4年間忙しく過ごしていた。
そんな中、アルフレッド様が帰国されたことで出来た時間に、父様に呼び出されたのだ。
「私にどうしろとおっしゃるのですか」
「あちらからは早々に婚姻をと言われている。カイルの婚姻が遅れれば、お前の婚姻も遅れる。そうなれば、わかるだろう」
ああ。アルフレッド様が面倒なことになりますね。
「しかし、すぐに婚姻できたりしますの?」
「向こうはすぐにでもと準備できているそうだ。カイル次第ということだ」
まぁ、3年も待たされてるのだものね。相手の王女様もさぞかしご心痛だろう。
全く、カイルお兄様は何を考えているんだか。私を溺愛してくれる気持ちはわかるけど、その私は来月には魔国へと嫁ぐのだ。
未来永劫、共にいてくれる王女様を大切にするべきではないのか。
私は、父様にうなづいた。
「わかりましたわ。カイルお兄様には、早々にお婿に行ってもらいます」
王女様の気持ちを思って、ちょっとイラついた私に、父様はため息混じりにうなづいて見せた。
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