入れ替わり転生〜生まれ変わったら、私を殺した婚約者の最愛になっていました〜

みおな

文字の大きさ
29 / 88

王太子殿下が再来されました

しおりを挟む
 私が殿下の新たな婚約者を決めていただくようにお願いした三日後、王太子殿下がラミリス公爵邸にいらっしゃいました。

 おそらく、お見えになるとは思っていましたので、落ち着いてお会いすることができます。

「ユエ!」

「ジュリアーノ王太子殿下。聖女様は・・・娘は病み上がりです。それに、記憶がございません。せめてユエ嬢とお呼びください」

 おじ様が殿下に注意してくださいます。

 ええ。その通りです。
以前は恋人同士だったのかもしれませんが、それはではないのです。

 ウェンディという公の婚約者がいるのですから、少なくとも他人の前では繕うべきなのです。

「ッ!しかし、僕らは・・・」

娘は何も覚えておりません。それをお忘れなきようお願いします」

「・・・分かった」

 ジュリアーノ王太子殿下は、このような方でしたでしょうか。

 不貞腐れたような表情。
私の知らない殿下のお顔です。

 長く殿下の婚約者を務めてまいりましたが、私と殿下は本当に政略だったのだと改めて理解しました。

 ごめんなさい、殿下。

 殿下が心から想われている聖女様は、今ここにはいらっしゃらないのです。

 私にも聖女様の魂がどこに行かれたのか、わからないのです。

 私がウェンディに戻れば、聖女様も戻ってくださると思いたいのですが。

 そんなことを考えていたからか、知らない間に殿下に手を取られていました。

「ユエ・・・嬢。ユエ・・・本当に僕のことを忘れてしまったのか?」

「・・・」

 離して!と拒絶したいのに、泣きそうな殿下の様子に声が出ません。

 本当に殿下は、聖女様をお好きなのですね。

 でもそれなら、もっともっと試行錯誤なさればよろしかったのに。

 確かにいつこの世界からいなくなるかも分からない聖女様ですが、それでも殿下が懇願なされば陛下たちもお考えくださったはずですのに。

 王太子妃に相応しいマナーを身につけて、殿下がお支えするならば、王太子殿下の婚約者としてお隣に立っていただけたはずなのに。

 それを私を殺してという形で・・・

 そのせいで、貴方の愛する聖女様の行方が分からないのですよ?

 私が聖女様の体に宿った理由は分かりませんが、少なくともウェンディを殺したりしなければこの事態にはならなかったはず。

 私は、殿下の手を振り払いました。

「ユエ?」

「ごめんなさい、あなたが誰なのか思い出せません。両親・・・から、貴方には婚約者がいると聞きました。私は元の世界のことも思い出せませんけど、こういう関係は良くないと思います」

「ッ!」

 なるべく貴族令嬢らしさを出さないように言ったつもりですけど、怪しまれなかったかしら。

しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので隣国で働きます ~追放侯爵令嬢、才覚だけで王妃候補に成り上がる~

鷹 綾
恋愛
内容紹介 王宮改革は、英雄の一声では成し遂げられない。 王太子に招かれ、王宮顧問として改革に携わることになった ルビー・エルヴェール。 彼女が選んだ道は、力で押し切る改革でも、敵を断罪する粛清でもなかった。 評価制度の刷新、情報公開、説明責任、緊急時の判断、責任の分配―― 一つひとつの制度は正しくても、人の恐れや保身が、改革を歪めていく。 噂に揺れ、信頼が試され、 「正しさ」と「速さ」、 「個人の覚悟」と「組織の持続性」が、幾度も衝突する。 それでもルビーは、問い続ける。 ――制度は、誰のためにあるのか。 ――信頼とは、守るものか、耐えるものか。 ――改革者は、いつ去るべきなのか。 やがて彼女は、自らが築いた制度が 自分なしでも動き始めたことを確かめ、静かに王宮を去る。 残されたのは、名前の残らない改革。 英雄のいない成功。 だが確かに「生き続ける仕組み」。 これは、 誰かが称えられるための物語ではない。 考えることを許し、責任を分かち合う―― その文化を残すための、40話の改革譚。 静かで、重く、そして誠実な “大人のための王宮改革ファンタジー”。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

婚約破棄されたので、慰謝料で「国」を買うことにしました。~知識ゼロの私ですが、謎の魔導書(AI)に従ったら、いつの間にか王家のオーナーに~

ジョウジ
ファンタジー
「セレスティア、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーで王子に断罪された公爵令嬢セレスティア。 慰謝料も貰えず、腹いせに立ち寄った古道具屋のワゴンセール。 そこでたった銅貨数枚(100円)で買った「黒い手鏡(スマホ)」を起動した瞬間、運命が変わる。 『警告。3年後の国家破綻およびマスターの処刑確率は99.9%です』 「はあ!? 死ぬのは嫌! それに、戦争が起きたら推し(アルド様)が死んじゃうじゃない!」 知識ゼロ、あるのは魔力と行動力、そして推しへの愛だけ。 パニックになった彼女は、スマホに宿るAI(ジェミニ)の極悪な経済作戦を、自分に都合よく「超訳」して実行に移す。 「敵対的買収……? 要するに、お店の借金を肩代わりして『オーナー』になれば、商品は全部タダ(私のもの)ってことね!?」 これは、内心ガクブルの悪役令嬢が、AIの指示を「素敵なお買い物」と勘違いしたまま国を経済支配し、 結果的に「慈悲深い聖女」「経営の天才」と崇められていく、痛快・勘違い無双コメディ! ※全10話の短期集中連載です。お正月のお供にどうぞ! ※テンポを重視してダイジェスト10話版となります。反響があれば長編の執筆を開始します! ※本作は、物語の構想・執筆補助にAI技術を活用し制作されました。 ※小説家になろう・カクヨムにも投稿

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?

榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」 “偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。 地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。 終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。 そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。 けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。 「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」 全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。 すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく―― これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

処理中です...