嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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僅かな胸の痛み

 ラウンディ様がリエナイ男爵令嬢から庇って下さったことで、私は一学年上のダニエル・マクラーレン王太子殿下と、王弟殿下である大公閣下ウイングバード公爵子息であるルイス様と親しくさせていただくことになった。

 正直言って・・・
あまり嬉しくない。

 ラウンディ様と仲良くさせていただけることは、嬉しい。

 私はあまり、ローゼン王国では友人と呼べるご令嬢はいなかったから・・・

 だから、ラウンディ様との出会いはとても嬉しいのだけど・・・

 王太子殿下や大公ご子息とは、できるならご挨拶する程度の関係でいたい。

 あの男爵令嬢じゃないけど、他国から来た伯爵令嬢が王族や高位貴族と仲良くしているのを見るのは、彼らと親しくなりたい方々からすれば気持ちのいいものじゃないでしょう?

 私は、この国では穏やかに過ごしたいの。

 そのうちに、身の丈に合った相手と婚約して、その人と穏やかな関係を築けたら、って考えてる。

 王太子殿下にはラウンディ様がいらっしゃるし、大公ご子息にも婚約者がいると思うけど、あまり関わりたくない。

 婚約者のご令嬢に睨まれたくはないわ。
 ラウンディ様はそんなことなさらないだろうけど、内心気分は良くないだろうし。

 まぁ、王太子殿下はラウンディ様のことを、それこそちょっと引くくらい溺愛されているみたいだから、大丈夫かもしれないけど。

 そんなことを考えて、適度な距離を置こうと思ってたのに、何故か毎日のようにお昼をご一緒しなければならないのは、どうしてかしら?

「ジュエル様。こちらも美味しいですわよ」

「あ、ありがとうございます、ルージュ様」

 自分のお皿から、おすすめのデザートを分けてくださるのは嬉しいけど、ちょっとお隣の王太子殿下が怖いわ。

 お昼をご一緒するようになって、ラウンディ様にはお名前で呼ぶようお願いされた。

 何故か、王太子殿下と大公ご子息にも。

 ものすごく、ものすごくお断りしたかった。
 正直言って、今でも撤回して欲しいくらい。

 でもお二人とも、圧がすごいのよ。

 ハァ。婚約者でも家族でもないご子息の、しかも王太子殿下とそれに連なる方をお名前で呼ぶことになるなんて。

 私がシリウス殿下と婚約したのは十歳の時だったけど、すぐにはお名前で呼べなかった。

 王妃様が・・・私を認めてくださらなかったから。

 だからずっと「殿下」とお呼びしていた。
 二人きりの時は「シリウス様」と呼ばせていただけたけど。

 学園に入学する前に、ほとんどの教育を終えたから、ようやく王妃様がいらっしゃっても「シリウス様」とお呼びできるようになったんだったわ。

 それを思い出して、また胸の奥が痛んだ。
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