嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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彼女の望むとおりに〜ハデス視点〜

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「は?マクラーレン王国の王太子殿下が単独で?」

 エレメンタル帝国の皇帝陛下に呼び出されたと思ったら、いきなり告げられたのがコレだ。

 マクラーレン王国の王太子殿下が、自分の婚約者のためにジュエル・ローゼン嬢を欲している。

 そのこと自体はジュエル嬢からも聞いていたし、彼女の義兄になったルークからも聞いていた。

 王太子妃教育を終えているからだとジュエル嬢は思っているようだが、もちろんそれも理由のひとつだろうが、彼女自身の魅力のせいだと俺は思っている。

 皇帝陛下は、王太子殿下が来る日付もルートも接触してくる状況も推測した上で、俺の望むようにしろと言った。

 ジュエル嬢を守りたいなら、騎士たちを貸すし、連れて行かせたいなら、マクラーレン王国に着くまで影護衛を付ける、と。

 そんなのは一択だ。
俺はジュエル嬢の自由を守ってやりたい。

 そう言うと、陰から騎士に見守らせてやるから、守りきれないと思ったら合図を出せと言われた。

 一応これでも、それなりに剣術は嗜んでいるが、相手は一国の王太子。

 その配慮がありがたかった。

 そして、確認のためにジュエル嬢にもこの件を告げた。
 俺の独りよがりでは困るからだ。

 告げたと言った時の陛下が「意気地なしめ」とか言ってたが、無視だ。

「守っていただいてもよろしいですか?」

「もちろん。俺の婚約者だと言ってもいいか?」

「はい。それで引いてくれるといいのですが」

 それで引かない場合は、捕縛してマクラーレン王国に送り返すことになる。

 そうなれば、処罰は免れないだろう。
ジュエル嬢としては、王太子殿下はどうでもいいが婚約者のご令嬢のことは気がかりらしい。

 それに、マクラーレン王国自体が乱れることになるのは、ジュエル嬢の望むところではないのだとか。

「でも、どうして単独なのでしょう?」

「ああ。それは多分だが、騎士たちを連れて来たら侵略だと思われるせいだろう。それに目立つ。陛下には聞かなかったが、もしかしたら騎士たちを動かす権限を奪われているのかもしれない」

「そうですか。そこまで私にこだわらなくても、時がたてば友人としてルージュ様にお会いしましたのに」

 ジュエル嬢はあくまでも、王太子殿下の存在でいたくないだけで、友人関係まで壊したいとは考えてないのだろう。

 マクラーレン王国の国王陛下や王弟殿下に言われたから会わずにローゼン王国に帰っただけで、二度と会わないとか考えてはいないらしい。

 彼女の気持ちを思うと、大人しく引き下がって欲しい、そう思った。
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