119 / 215
帰国
しおりを挟む
ローゼン王国の新たな王太子殿下とその婚約者の婚姻が目前となった。
北の塔に幽閉されていたシリウス殿下は病死されて、その後を追うように王妃様も亡くなられたらしい。
多分、だけど、お二人とも病死という名の元に処分されたのだと思う。
シリウス殿下は男性としての機能は失われているけど、それでもまだ私に執着されていた。
国王陛下としては、新たな王太子殿下であるサリオン王太子殿下の治世に、もしものことをやりかねないあのお二人を残しておきたくなかったのでしょうね。
それでも、父親として夫として、死なせたくはなかったはず。
シリウス殿下が大人しくコンフォート公爵家に婿入りし、子は成せなくてもエミリ様と仲睦まじく生きていれば、そうすれば陛下も辛い決断をなさらなくて済んだのに。
私は、サリオン殿下の婚約者であるセーラ・ホリグラフ侯爵令嬢とは面識がない。
サリオン殿下が、コンフォート公爵夫人の実家に養子に出されていた時からの婚約者らしいのだけど。
金髪碧眼の、とても可愛らしいご令嬢だそうで、サリオン殿下との仲も良好なのだとか。
私は殿下ともご令嬢とも面識がないから、成婚パーティーに参加したときに初めてご挨拶することになる。
ちょっと、複雑ではあるのよね。
シリウス殿下がエミリ様と浮気などなさらなかったら、私はシリウス殿下と婚姻して王太子妃になっていただろうし、サリオン殿下も養子先の侯爵家を継いで、セーラ様は侯爵夫人になられていたはず。
別に王太子妃という座には全くちっとも心残りはないのだけど、私とシリウス殿下の婚約解消のせいで、二人に面倒な役割を押し付けた気持ちなのよ。
「どうした?」
私が微妙な表情をしていたせいか、ハデス様が不思議そうに私の顔を覗き込んできた。
今私たちは、ローゼン王国に向かっている馬車の中である。
「いえ。王太子や王太子妃になることを、嫌だと思われていないかと思いまして」
「ああ、わかった。自分が婚約解消したせいだとか考えているんだな?」
「いえ、まぁ、解消は必然だったと今では思いますけど、侯爵家を継ぐのと王太子になるのとでは、全く学ぶことも違いますし、ご負担をかけたなと思っただけです」
私が悪いわけではなくて、浮気したシリウス殿下が悪いのだけど、少し申し訳ないと思っただけよ。
「優秀だから王太子となったんだろ。陛下もいらっしゃるんだから、心配しなくても大丈夫だと思うぞ。それよりも本当にリビエラ伯爵家に滞在して良いのか?」
「ええ。ルークお兄様も楽しみにされていると思います」
ハデス様は、ご実家に滞在されたくないそうで、宿に泊まるとおっしゃっていたのだけど、それならうちにとお誘いしたのよね。
北の塔に幽閉されていたシリウス殿下は病死されて、その後を追うように王妃様も亡くなられたらしい。
多分、だけど、お二人とも病死という名の元に処分されたのだと思う。
シリウス殿下は男性としての機能は失われているけど、それでもまだ私に執着されていた。
国王陛下としては、新たな王太子殿下であるサリオン王太子殿下の治世に、もしものことをやりかねないあのお二人を残しておきたくなかったのでしょうね。
それでも、父親として夫として、死なせたくはなかったはず。
シリウス殿下が大人しくコンフォート公爵家に婿入りし、子は成せなくてもエミリ様と仲睦まじく生きていれば、そうすれば陛下も辛い決断をなさらなくて済んだのに。
私は、サリオン殿下の婚約者であるセーラ・ホリグラフ侯爵令嬢とは面識がない。
サリオン殿下が、コンフォート公爵夫人の実家に養子に出されていた時からの婚約者らしいのだけど。
金髪碧眼の、とても可愛らしいご令嬢だそうで、サリオン殿下との仲も良好なのだとか。
私は殿下ともご令嬢とも面識がないから、成婚パーティーに参加したときに初めてご挨拶することになる。
ちょっと、複雑ではあるのよね。
シリウス殿下がエミリ様と浮気などなさらなかったら、私はシリウス殿下と婚姻して王太子妃になっていただろうし、サリオン殿下も養子先の侯爵家を継いで、セーラ様は侯爵夫人になられていたはず。
別に王太子妃という座には全くちっとも心残りはないのだけど、私とシリウス殿下の婚約解消のせいで、二人に面倒な役割を押し付けた気持ちなのよ。
「どうした?」
私が微妙な表情をしていたせいか、ハデス様が不思議そうに私の顔を覗き込んできた。
今私たちは、ローゼン王国に向かっている馬車の中である。
「いえ。王太子や王太子妃になることを、嫌だと思われていないかと思いまして」
「ああ、わかった。自分が婚約解消したせいだとか考えているんだな?」
「いえ、まぁ、解消は必然だったと今では思いますけど、侯爵家を継ぐのと王太子になるのとでは、全く学ぶことも違いますし、ご負担をかけたなと思っただけです」
私が悪いわけではなくて、浮気したシリウス殿下が悪いのだけど、少し申し訳ないと思っただけよ。
「優秀だから王太子となったんだろ。陛下もいらっしゃるんだから、心配しなくても大丈夫だと思うぞ。それよりも本当にリビエラ伯爵家に滞在して良いのか?」
「ええ。ルークお兄様も楽しみにされていると思います」
ハデス様は、ご実家に滞在されたくないそうで、宿に泊まるとおっしゃっていたのだけど、それならうちにとお誘いしたのよね。
487
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
【完結】愛してました、たぶん
たろ
恋愛
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
「愛してる」
「わたしも貴方を愛しているわ」
・・・・・
「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」
「いつまで待っていればいいの?」
二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。
木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。
抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。
夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。
そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。
大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
【完結】裏切られたあなたにもう二度と恋はしない
たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。
あなたに相応しくあろうと努力をした。
あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。
なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。
そして聖女様はわたしを嵌めた。
わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。
大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。
その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。
知らずにわたしはまた王子様に恋をする。
あなたの愛はもう要りません。
たろ
恋愛
15歳の時にニ歳年上のダイガットと結婚したビアンカ。
この結婚には愛などなかった。
16歳になったビアンカはできるだけ目立たないように学校でも侯爵家でも大人しくしていた。
侯爵家で肩身の狭い思いをしながらも行くところがないビアンカはできるだけ問題を起こさないように過ごすしかなかった。
でも夫であるダイガットには恋人がいた。
その恋人にちょっかいをかけられ、ビアンカは我慢の限界を超える。
そして学園を卒業さえすればさっさと離縁して外国で暮らす。
その目標だけを頼りになんとか今の暮らしに耐えていた。
そして、卒業を控え「離縁して欲しい」その言葉を何度となく夫に告げた。
✴︎今回は短めの話を投稿していく予定です。
(作者の時間の都合により)
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる