嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

文字の大きさ
135 / 215

告白

しおりを挟む
 ウェルズ元公爵夫妻との話し合いの翌日、ハデス様は我が家を訪れてくださった。

「・・・というわけで、俺は身分は一応伯爵令息となりますが、ウェルズ伯爵家は弟ゼウスが継ぐので、立場としては平民と同じになります」

 そのことは前もって聞いていたし、ハデス様がすっきりとした表情をされているから・・・結論として良かったのだと思う。

「そうか。それで弟君は?」

「親戚が成人まで後見に付きますが、爵位はゼウスが継ぐと国王陛下が公言して下さいました。元々伯爵位を持っている親戚なので、領地経営や伯爵家当主としての心得など教えてくれるそうです」

「陛下が目を光らせて下さるのなら、大丈夫だろう。同じ伯爵家だ。何かあればいつでも相談してくれていい。私もフレグランスに爵位を譲れば隠居の身だ」

「ありがとうございます。リビエラ伯爵がお力になって下さるなら、俺も安心です」

 ローゼン王国では、結婚して次代が生まれた時点で爵位を譲ることが多い。

 両親が健在なうちに引き継ぎをして、ちゃんとやれるのを確認する意味があるからだ。

 そして問題があった場合には爵位を戻すことがあるから、早いうちに譲渡するのだ。

 お父様に頭を下げたハデス様が、斜め前に座る私と目を合わすと・・・

 私の前までやって来ると跪いた。

「ハデス・・・様?」

「ジュエル・リビエラ伯爵令嬢。君のことが好きだ。エレメンタル帝国に戻る俺と一緒に来てくれないか?俺を知って、俺を選んでもらえるように大切にする。だから、この手を取って欲しい」

 私に差し出された手は、大きくて。剣ダコがあって。

 私を守り、支え、そして導いてくれる手。

 シリウス殿下に婚約者にと求められた時、この手を取ってもいいのかと迷った。

 伯爵令嬢の私が、王太子殿下の婚約者になってもいいのかって。

 でも、もし・・・

 ハデス様が王太子殿下だったとしても、私はこの手を取りたい。

 ハデス様と一緒にいると、私はもっと頑張れる気がするの。

 胸を張って、いられるの。

「私も・・・ハデス様をお慕いしております。どうぞ宜しくお願いします」

 そっとその手に右手を重ねると、ハデス様はギュッと握ってくれた。

「リビエラ伯爵。ジュエル嬢を・・・絶対に幸せにします。婚約を認めて下さいませんか」

「そう言ってくれて、ホッとしたよ。ジュエル君と一緒にいたいと言っていたからね。ジュエルには苦労させて来たから、ジュエルの望む相手と一緒にさせたかったんだ」

 お父様!

しおりを挟む
感想 577

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

【完結】愛してました、たぶん   

たろ
恋愛
「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。 「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

処理中です...