嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

文字の大きさ
146 / 215

みんな言うことは同じね

しおりを挟む
「先に捕らえられれば良かったのだが、さすがに怪我をさせたとはいえ相手は平民だし、怪我の具合もさほど重くなかったこともあり、離縁はしたが怪我をした娘と示談は済んでいる」

 ああ。
 侯爵家が示談金を払ったのかしら。

 それに、最初の契約で恋人の存在を話してお互いが納得の上とはいえ、第三者には分からないから、伯爵家としても大事にはしたくなかったのでしょうね。

「ここは居住区だから、許可の与えられていない人間が入ってくることは基本的にないけれど、彼女にそういう常識は通じないから、必ずハンナと一緒にいて欲しい。ハンナは、武術の嗜みがあるから、一般的な騎士程度になら負けない」

「まぁ!」

 私とさほど体格の変わらないハンナが、騎士の方よりも強いだなんて。

「でも示談が終わっているなら、今の状態では捕えることはできないのでは?単に離縁して戻られただけですし」

「ああ。だが、絶対にジュエルに絡んでくる。俺とジュエルが婚約したことを、皇妃様の妹君から聞いて絶対に城にやってくる。常識が通じないから、皇妃様に会いに来たと言って、立ち入り禁止の居住区にやって来るはずだ」

「・・・」

 なんだか、そういうことに絶対的な信頼?を持たれるのって・・・

 本当に規格外な方なのね。

 離縁されて戻って来たのだから、大人しくしていればいいのに。

 皇帝陛下が甘い方でないことくらい、理解っていらっしゃると思うけど。

 それから三日。
エレメンタル帝国について勉強したり、お部屋で刺繍をしたりしながら過ごした。

「ハンナ、図書室へ行くわ」

「はい」

 私はエレメンタル帝国について学ぶため、お城の図書室に通っていた。

 昨日と一昨日はハデス様もご一緒してくださったけど、今日は皇帝陛下に呼ばれていて私ひとりだ。

「ちょっと!」

 図書室まであと少しというところで、突然声をかけられた。

 立ち止まり振り返ると、金髪縦ロールのご令嬢が立っていた。

 ちょっとキツめの金色の瞳。
銀色一色のドレス。

 ああ。
この方が、皇妃様の姪御様のロロナ様ね。

 夜会じゃあるまいし、銀色のドレスなんて。
 最近は、刺繍や小物で色を取り入れるのが流行なのに。

 ハデス様は自分のものだと言いたいのかしら?

 こういうご令嬢は、シリウス殿下の時にもたくさんいたわ、

 自分の方が殿下には相応しい。

 身の程知らず。

 殿下を誑かした悪女。

 そんな悪意に五年も耐えた私は、背筋をピンと伸ばして、ご令嬢に向かい合った。

「どちら様でしょうか」

「あなた、ハデス様の婚約者の座を辞退しなさい!あの方は!」

 何度も聞いた台詞だわ。
みんな言うことは同じなのね。
しおりを挟む
感想 577

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【完結】愛してました、たぶん   

たろ
恋愛
「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。 「愛してる」 「わたしも貴方を愛しているわ」 ・・・・・ 「もう少し我慢してくれ。シャノンとは別れるつもりだ」 「いつまで待っていればいいの?」 二人は、人影の少ない庭園のベンチで抱き合いながら、激しいキスをしていた。 木陰から隠れて覗いていたのは男の妻であるシャノン。  抱き合っていた女性アイリスは、シャノンの幼馴染で幼少期からお互いの家を行き来するぐらい仲の良い親友だった。 夫のラウルとシャノンは、政略結婚ではあったが、穏やかに新婚生活を過ごしていたつもりだった。 そんな二人が夜会の最中に、人気の少ない庭園で抱き合っていたのだ。 大切な二人を失って邸を出て行くことにしたシャノンはみんなに支えられてなんとか頑張って生きていく予定。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。 地位や名誉……権力でさえ。 否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。 望んだものは、ただ一つ。 ――あの人からの愛。 ただ、それだけだったというのに……。 「ラウラ! お前を廃妃とする!」 国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。 隣には妹のパウラ。 お腹には子どもが居ると言う。 何一つ持たず王城から追い出された私は…… 静かな海へと身を沈める。 唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは…… そしてパウラは…… 最期に笑うのは……? それとも……救いは誰の手にもないのか *************************** こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。

嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。 「さっさと死んでくれ」 フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。 愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。 嘘つきな貴方なんて、要らない。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 11/27HOTランキング5位ありがとうございます。 ※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。 1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。 完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

処理中です...