嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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穏やかな日々

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 皇帝陛下からを賜ったハデス様は、毎日皇城に通われている。

 まさか伯爵位を賜るとは思わなかったわ。

 皇帝陛下曰く、ローゼン王国で伯爵令息だったんだから、ですって。

 ハデス様が皇帝陛下のお気に入りだと周知されていて、意外にも反対はなかったのだそう。

 不満に思われてても、それを払拭する働きをするからかまわないとハデス様はおっしゃっていた。

 そうね。
文句を言う人は何をしても言うから、功績で黙らせるしかないものね。

 私はというと、皇城にお邪魔して帝国の貴族について恐れ多くも皇妃様から教わっている。

 申し訳ないと思って他に教師の方をお願いしようと思ったのだけど、これから伯爵夫人としてそれぞれの立ち位置を理解するためには皇妃様から教わるのが最適だと言われたわ。

 時々、皇妃様の妹様であるリディア様もいらして色々と教えてくださる。

 ロロナ様の愚行を止める役目を果たしたということで、アッサム伯爵家は褒賞としてラディシュ侯爵家が手掛けていた事業を任されることになった。

 イライザ様とは、時々お茶をご一緒している。

 大人しい方だけど、物事の良し悪しをちゃんと理解している方で、その穏やかな性格が私と合った。

 帝国でお世話になっている人は多いけど、お友達はいなかったから素直に嬉しい。

 時々・・・
ルージュ様のことを思い出すけど、幽閉された中で婚約者と静かに暮らしているのかしら。

 もっと違う出会い方をしていたら。

 いいえ。

 マクラーレン王国の元王太子殿下に、扱われない強さが私にあったなら。

 本当のお友達になれたかもしれないわ。

 マクラーレン王国は、唯一の嫡子であった王太子殿下を幽閉したことで、後継がいなくなった。

 普通なら従兄弟のルイス様が継がれるんだろうけど、ご辞退なさったとか。

 国王陛下や王弟殿下の意向で、このエレメンタル帝国の末の殿下が王配になられるのだとか。

 優秀なご令嬢を女王とされるそうだ。

 エレメンタル帝国のいち伯爵夫人となる私がもうお会いすることはないだろうけど、私に道標を示してくださった公爵閣下や、親切にしてくださったルイス様が幸せに過ごしていける国になって欲しいと思う。

 五年も辛い王太子妃教育を受けたせいか、皇妃様の授業はとてもわかりやすいし、辛くない。

 むしろ楽しいくらいだった。

 帰りはいつもハデス様が迎えに来てくれて、一緒にハデス様の家に帰る。

 新しい屋敷は、現在建築中。
伯爵となると使用人も増えるし、陛下主導で場所も決められたわ。

 皇帝陛下笑ってしまった。

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