嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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貴方と出会えて良かった

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「と、陛下に言われたんだが、ジュエルはどう思う?」

 ハデス様が、私に相談してくれたことが嬉しい。

 爵位をいただけるのはハデス様なのだから、ハデス様の望むようにしても私は文句を言うつもりはないけれど、私の気持ちを気遣ってくださることが嬉しい。

「私は平民でも・・・と言いたいところですが、いつも誰かに手を貸してもらって生きてきた身としては、子爵か男爵位をいただけるなら、と思います。出来る限り自分でも色々と出来るように努力はしますが」

 自分のことくらいなら、平民の方々はコルセットを付けることもないし、髪も少し短くすれば良いと思うのだけど・・・

 料理とかしたことないもの。
不安しかないわ。

 もちろん平民になるなら、練習はするつもりだけど、その間ハデス様に消し炭とか生煮えとか食べさせるわけにいかないじゃない!

 そう言ったら、ハデス様に笑われてしまったわ。

「俺も料理の経験はないしな。分かった。その方向で陛下と話してみる」

「でも、ハデス様は平民になるおつもりだったのでしょう?」

「いや、確かに貴族の面倒さに平民になろうと考えていたが、陛下が許してはくれなさそうだし、それに俺もずっと誰かの世話になって生きてきたから子爵くらいがちょうどいいと思うんだ」

 確かに、平民となれば皇帝陛下とは簡単にお会いできなくなるでしょうし、それを皇帝陛下がお許しにはならない気がするわ。

 だって皇帝陛下、ハデスさまのことが大好きですもの。

「子爵か男爵かの爵位をいただくことでかまわないか?」

「はい。いつまでも皇城でお世話になっているわけにもいかないですし、そろそろハデス様のお家に戻りたいですけど、爵位を賜るならもう少し大きなお屋敷が必要でしょうか」

「そうだな。使用人も増やさなければならないかもだし。それから、結婚の準備もしなくてはな」

 ハデス様の言葉に、顔が赤くなるのを感じる。

 私が成人するまで、後一年。
でも貴族の結婚は準備に一年近くかかるから、今から準備するくらいでちょうどいい。

「結婚式はこちらでになるのでしょうか?」

「あー、陛下がなぁ。何ならローゼン王国と両方でするか?も産後になるし、エレメンタル帝国まで来てもらうのもな。その傾向で陛下にも話しておく」

「ありがとうございます。あの・・・ハデス様」

「どうした?」

「私・・・ハデス様と出会えて、本当に幸せです」

 私の告白に、ハデス様は一瞬ポカンとしたお顔をなさって・・・そして珍しくそのお顔を赤くされた。

「ものすごい破壊力だな。そんな嬉しい台詞は結婚式の夜に言ってくれ」

 結婚式の夜・・・それって。
今度は私の顔が真っ赤になった。
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