拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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そう思えば腹も立ちません。

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「ごめんなさいね?クロエ。すぐに婚約を解消させられたら良かったのだけど」

 お母様の謝罪に、気にしていないと首を横に振った。

「最初はびっくりしましたけど、全く交流をしなかった分、気楽でしたわ。中途半端にいい顔をされるより、良かったと思っています」

 おかげで、全く気にせずに学園生活を送れたもの。

「お父様に怒っていないの?」

「そうですね・・・嫌なら嫌だと私も言えば良かったのです。婚約を了承したのは私。ちょっと理由にドン引きしましたけど、アレは後継になってしかも自分を肯定ばかりする女性が側にいるようになったから、だと思うのです。あそこまで酷ければお父様も了承しなかったと思いますし」

 最初から素行が悪いとかなら、いくらなんでも婚約者にしなかったと思う。

 一応、お父様に大切にされている自覚はあるもの。

 それに、私が本気でシリルを好きだと感じたら、お父様は認めてくださったと思うわ。

 私の気持ちが、シリルが私を思うほどでないと思ったから、それならと婚約者を決めた気がする。

 そこまで思って・・・
私は周囲ほど、お父様に怒っていないのだと自覚した。

「正直言って、私はお父様に不快感を感じていません。お父様がシリルに出した婚約の条件に関しても、そのままで良いと思います。マキシミリオンの陛下のことをそこまでライバル視しているのはあれですけど、それだけお母様のことを好きだということなので、許容できます」

「そう・・・お父様は娘に恵まれたわね」

「お母様は・・・許せませんか?」

 私が許したからといって、お母様に許せと強要することはできない。

 お母様が私に強要しないように。

「そうね。もう少しお仕置きは続行するわ。お父様の気持ちは理解しているつもりだけど、それでもあの人が私を信用しきれていないという証拠だものね」

 うーん。
信用していないというより、アレは単なる嫉妬というか独占欲というか、うん。病気だと思うわ。

 お母様が大好きすぎる病気。

「別に擁護するわけではありませんが、お父様のアレは信用しきれていないのではなく、単なる嫉妬であり独占欲であり、病気です。お母様を好き過ぎる病気ですわ」

「病気・・・ふふっ。ふふふっ」

 あら?お母様のツボに入ったのかしら。

 でも、そう思えば腹も立たないでしょう?

 私は、元婚約者様と婚約したこと、別に不満に思っていないわ。

 おかげでアルトナー王家の学園に通えたし、友人も出来た。

「それに最後に面白いも見れましたし」

「オーロラが楽しんでたみたいね」

 ええ。それに勉強にもなったわ。
世の中には、常識が通じない相手もいるんだって。
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