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聖女覚醒編
大好きな婚約者《マリウス視点》
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腕の中で、アニエスがフッと微笑った気がした。
ずっと自分を責めていたアニエスが、ほんの少しでも笑顔になってくれるなら、ローラに責められることなど何でもない。
大体、この妹は、昔からアニエスのことを崇拝していた。
アニエスに出会うまでは、お兄様お兄様と甘えて来ていたのに、出会って以降は、僕のことをこき下ろし続けている。
まぁ、アニエスを悪く言うのでなければ、どうでもいい。
父上も母上も、アニエスのことをとても気に入っている。
王家全員が、アニエスの魅力にやられてしまったということだろう。
アニエスは、天性の人タラシだと思う。
彼女を嫌うのは、あの男爵令嬢のような人としてどこかおかしい人間だけだ。
最初はおかしなことを言っていた脳筋のニコラスでさえ、今はアニエスに一目置いているくらいなのだ。
「アニエス?」
「マリ様、ローラ様、ありがとうございます」
「マリア嬢のことは心配だろうけど、アニエス無理をしないで。僕らに出来ることがあるなら、なんだってするから」
しかし僕ら男が近付くと、マリア嬢は怯えてしまう。
そして、無理をして平気なように装おうとする。
医師には、無理をさせると心が壊れてしまう可能性があると言われ、それで彼女には学園を休ませることにしたのだ。
学園では、教師やクラスメイトもいる。
周囲を常に女性だけで固めることも出来るが、何かの拍子で男に触れられるかもしれない。
マリア嬢は、聖女だが平民だ。
アニエスのように、高位貴族で婚約者がいる身なら、他の男がその手にすら触れることは叶わないが、相手が平民だからと親しげに触れて来る男もいると聞いた。
マリア嬢に起きたことは秘密だ。
だが今までと違う態度を取れば、妙な噂が広がるかもしれない。
「マリア嬢のことは、時間をかけて、解決するしかない。今までと違う態度を取れば、怪しまれるだろうし。彼女に婚約者でもいれば、それを逆手に取れるんだけど」
「あら、お兄様。それ、いいじゃないですか!婚約者が出来たから、その婚約者がお兄様並みに嫉妬深いから、男の方は先生でも近付かないようにって告知したらいいのですわ」
アニエスの髪を撫でながら話していたら、突然ローラが名案とばかりに手を叩く。
というか、まだいたのか。
婚約者を抱きしめている兄の目の前に、いつまでもいるというのはいかがなものかと思うよ。
そして、事実だが、僕並みに嫉妬深いって。いや。事実だが。
しかし、マリア嬢に婚約者か。
いい案かもしれない。架空の、他国の高位貴族か誰か、名を貸してくれそうな人間はいるだろうか。
ずっと自分を責めていたアニエスが、ほんの少しでも笑顔になってくれるなら、ローラに責められることなど何でもない。
大体、この妹は、昔からアニエスのことを崇拝していた。
アニエスに出会うまでは、お兄様お兄様と甘えて来ていたのに、出会って以降は、僕のことをこき下ろし続けている。
まぁ、アニエスを悪く言うのでなければ、どうでもいい。
父上も母上も、アニエスのことをとても気に入っている。
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アニエスは、天性の人タラシだと思う。
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「アニエス?」
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「マリア嬢のことは心配だろうけど、アニエス無理をしないで。僕らに出来ることがあるなら、なんだってするから」
しかし僕ら男が近付くと、マリア嬢は怯えてしまう。
そして、無理をして平気なように装おうとする。
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マリア嬢に起きたことは秘密だ。
だが今までと違う態度を取れば、妙な噂が広がるかもしれない。
「マリア嬢のことは、時間をかけて、解決するしかない。今までと違う態度を取れば、怪しまれるだろうし。彼女に婚約者でもいれば、それを逆手に取れるんだけど」
「あら、お兄様。それ、いいじゃないですか!婚約者が出来たから、その婚約者がお兄様並みに嫉妬深いから、男の方は先生でも近付かないようにって告知したらいいのですわ」
アニエスの髪を撫でながら話していたら、突然ローラが名案とばかりに手を叩く。
というか、まだいたのか。
婚約者を抱きしめている兄の目の前に、いつまでもいるというのはいかがなものかと思うよ。
そして、事実だが、僕並みに嫉妬深いって。いや。事実だが。
しかし、マリア嬢に婚約者か。
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