「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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学園卒業編

新たな物語の幕開け《本編最終話》

「にいたま、まって」

「ほらっ、てをつなごぉ」

 銀髪の少年と、金髪の少女が庭を駆け回っている。

 転ぶのではないかとハラハラしているマリウスに、私はクスクスと微笑う。

「転んでも、大した怪我ではありませんわよ」

「だっ、だが、マーガレットは女の子だし、顔に傷でも出来たら」

「そしたら、お嫁にやらなくて済みますわね?」

 私の言葉に、マリウスは黙り込む。
怪我はさせたくないが、嫁にもやりたくないらしい。

 双子の、アークとマーガレットは、大きな病気もせずに3歳の誕生日を迎えた。

 2人ともまだ婚約者は決めていない。
同じ年頃の子供たちはいるのだけれど、マリウスがマーガレットに婚約者を作ることを渋ったのだ。

 ちなみに、国王陛下と王妃様までがそれをよしとした。
 すっかり孫にメロメロになったお2人は、急がない急がないとマリウスの味方をするのだ。

 しかし、2人とももう3歳。そろそろ婚約者を決める必要がある。

「そろそろ婚約者を決めるために、お茶会を開かなければなりませんね」

「ま、まだ早いのではないかい?」

「わたくしとマリウス様が、初顔合わせをしたのは4歳でしたわね。早かったと後悔されていますの?」

 私たちは生まれた時から婚約者だったけど、アークたちは父親であるマリウスの意思を尊重して、決めてないのだ。

「え?そんなわけない!僕にとってはアニエスと出会えたことが最大の幸運だよ!」

「ふふっ。ありがとうございます。わたくしもマリウス様に出会えて、本当に幸せですわ」

「おとーしゃま、おかあしゃま、ちゅー?」

「おとーしゃまだけずるい。ぼくもおかあしゃまにちゅーする!」

 いつのまにか戻ってきていたアークとマーガレットが、キラキラとした青い瞳で、私たちを見ていた。

「そうね、はい。アークにもちゅー」

「おかあしゃま、マーにもー」

「はい。マーガレットにもちゅーね」

「きゃーっ」

 アークとマーガレットの頬にキスをしていたら、マリウスがそれを微笑ましそうに、でもほんの少し拗ねたように見ていた。

 本当に、困った人。

「旦那様にもちゅーね?」

 マリウスの頬にも、チュッとキスを落とす。嬉しそうに微笑んだマリウスは、アークとマーガレットを抱き上げて、2人にキスをしている。

 幸せ。
あの日、ラノベの中に転生したと思った時は、本当に絶望した。

 それなのに、アニエスを断罪するはずのマリウスから溺愛され、ヒロインであるはずのマリアとも仲良くなり、そして私もマリウスのことが大好きになった。

 こんな未来が来るとは、あの頃思いもしなかった。

「おかあしゃま、だっこ」

「マーガレット、お母様のお腹には、マーガレットの弟が妹がいるんだよ。だから、お父様の抱っこで我慢してくれるかい?」

「いもうと!マーね、いもうとがいい!」

「えー!ぼくはおとうとがほしい」

 マーガレットは妹が、アークは弟が欲しいみたいで、マリウスの膝の上で2人して揉めている。

 どちらが生まれても、きっと2人は可愛がってくれるだろう。

「じゃあ、男の子だったら、女の子が生まれるまで頑張らないと」

「は?」

 マリウスの言葉に、私は目を丸くした。
何を言ってるのかしら?

「マーもがんばる~」

「ぼくも!」

「そうだな。みんなで頑張ろうな」

 困ったわ。どうも男の子と女の子、両方産まなきゃいけないみたい。

 私は、幸せな困り事に微笑みを浮かべながら、最愛の家族を見つめるのだったー


****end****


 これにて本編完結です。
この後、マリアやレイノルドたちの番外編を更新します。
 この作品は、ランキング1位を取れた大切な作品となりました。
 これもひとえに、読んでくださる皆様のおかげです。
 少しずつでも、皆様に面白いと思っていただける作品を書けるように、頑張っていきたいと思います。
 本当にありがとうございました。
 
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