113 / 128
番外編
ウェディングドレス《マリア視点》
しおりを挟む
「そろそろ、俺と結婚してくれませんか?」
アニエス様と王太子殿下に双子のお子様が産まれて、数ヶ月たった頃、公園で私の作ったお弁当を食べ終わったカイさんが、世間話の続きのようにそう言った。
平民は、貴族の方々のように早くから婚約者を作ることもなく、結婚適齢期も比較的遅めだ。
だけど、私とお付き合いしてくれているカイさんは私より5歳年上で、そろそろ結婚したいのかもしれない。
「別に俺は女性のように、適齢期など気にはしませんけど、日々、綺麗になっていく貴女を誰かに奪われるのではないかと、心配なのですよ」
「!!」
カイさんは私のことを綺麗になったとか、可愛いとかいつも言ってくれるけど、私こそカッコ良いカイさんが、他の人のことを好きになってしまうんじゃないかって、いつも不安なのに。
「それで、答えを聞いても?」
「私、まだ全然お料理とかも上手に出来なくて・・・」
「今日のお弁当、美味しかったですよ?それに、料理なら俺も多少はできますし」
「カイさん、何でも出来るんですね」
思わず、本音が出た。
カイさんにできないことってあるのかな。
「アニエスお嬢・・・王太子妃殿下が、お菓子作りをしたり、色々される方でしたのでね。どうしても覚えるようになったのですよ。それに、何でも出来るわけではありませんよ」
「そうなんですか?なんだか出来ない事がない気がして・・・」
「現に今、最愛の人にプロポーズしても、頷いてもらえていません。何が足りないんでしょうかね?」
ズルい。
そんな風に言われたら、頷かずにいられない。
「カイさん・・・ズルいです」
「大人の男はズルいものなんですよ。それに、王太子妃殿下からマリアのウェディングドレスは、是非自分に準備させて欲しいと言われていましてね」
「アニエス様が?でも、そんなご迷惑をかけるわけには・・・」
「どうやら、ご自分の時に迷ったデザインがあるらしくて、マリアに着て欲しいそうです。あの方はマリアのことをとても大切な友人だと思っていらっしゃいますからね。ありがたくお受けすると良いと思いますよ」
きっと、私が気にしないようにそう言ってくれてるんだと思う。
アニエス様はいつもいつも、そうやって私のことを大切に扱ってくれる。
「近々、王太子妃殿下をお訪ねしましょうか。アーク様とマーガレット様のお顔も見たいですし」
「あ、はいっ!赤ん坊が大きくなるのは早いですし、楽しみですね」
あれ?
私、いつのまにか、結婚をお受けしたことになってない?
後日、アニエス様にお会いした時、何故か王妃様まで私のウェディングドレスについて色々と案を出してくださったのは、また別の話。
アニエス様と王太子殿下に双子のお子様が産まれて、数ヶ月たった頃、公園で私の作ったお弁当を食べ終わったカイさんが、世間話の続きのようにそう言った。
平民は、貴族の方々のように早くから婚約者を作ることもなく、結婚適齢期も比較的遅めだ。
だけど、私とお付き合いしてくれているカイさんは私より5歳年上で、そろそろ結婚したいのかもしれない。
「別に俺は女性のように、適齢期など気にはしませんけど、日々、綺麗になっていく貴女を誰かに奪われるのではないかと、心配なのですよ」
「!!」
カイさんは私のことを綺麗になったとか、可愛いとかいつも言ってくれるけど、私こそカッコ良いカイさんが、他の人のことを好きになってしまうんじゃないかって、いつも不安なのに。
「それで、答えを聞いても?」
「私、まだ全然お料理とかも上手に出来なくて・・・」
「今日のお弁当、美味しかったですよ?それに、料理なら俺も多少はできますし」
「カイさん、何でも出来るんですね」
思わず、本音が出た。
カイさんにできないことってあるのかな。
「アニエスお嬢・・・王太子妃殿下が、お菓子作りをしたり、色々される方でしたのでね。どうしても覚えるようになったのですよ。それに、何でも出来るわけではありませんよ」
「そうなんですか?なんだか出来ない事がない気がして・・・」
「現に今、最愛の人にプロポーズしても、頷いてもらえていません。何が足りないんでしょうかね?」
ズルい。
そんな風に言われたら、頷かずにいられない。
「カイさん・・・ズルいです」
「大人の男はズルいものなんですよ。それに、王太子妃殿下からマリアのウェディングドレスは、是非自分に準備させて欲しいと言われていましてね」
「アニエス様が?でも、そんなご迷惑をかけるわけには・・・」
「どうやら、ご自分の時に迷ったデザインがあるらしくて、マリアに着て欲しいそうです。あの方はマリアのことをとても大切な友人だと思っていらっしゃいますからね。ありがたくお受けすると良いと思いますよ」
きっと、私が気にしないようにそう言ってくれてるんだと思う。
アニエス様はいつもいつも、そうやって私のことを大切に扱ってくれる。
「近々、王太子妃殿下をお訪ねしましょうか。アーク様とマーガレット様のお顔も見たいですし」
「あ、はいっ!赤ん坊が大きくなるのは早いですし、楽しみですね」
あれ?
私、いつのまにか、結婚をお受けしたことになってない?
後日、アニエス様にお会いした時、何故か王妃様まで私のウェディングドレスについて色々と案を出してくださったのは、また別の話。
193
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる