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番外編
恋愛感情じゃなくても《レイノルド視点》
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僕が愛しているのは、イザベラだけだ。
そこは、絶対に揺るがないところだと言える。
だけど、ほんの少しだけアニエス嬢のことは気に入っている。
あの、完全無欠?な王太子殿下を相手にしていないところが、特にいい。
ニコラスの筋肉バカは、マリウス殿下や弟だけでなく、自分や僕にまで色目を使うとか言ってたけど、あの筋肉バカは目まで筋肉なんだろうか。
アニエス嬢のどこが殿下に色目を使ってるって?
しかも、挨拶程度で色目だというのなら、ほとんどのご令嬢は色目を使ってることになるだろうが。
大体、殿下の方が是非とも、色目を使って欲しいと願ってると思う。
それに気付かないから、脳まで筋肉だというんだ。
もっとも、その発言で、筋肉バカは婚約者にガッツリ叱られてたけど。
あの、全く殿下を相手にしていなかったアニエス嬢が、いつのまにか殿下といい感じになっていたことには、びっくりした。
マリウス殿下の、粘り勝ちってことなんだろうか。
別に僕は、アニエス嬢に恋愛感情は抱いていないから構わないけど、何だか胸の奥がモヤモヤする。
「レイノルド様、来年の誕生日に、ケーキを作ったら食べて下さる?」
「イザベラの手作りを食べないなんて有り得ないよ。でも、またアニエス嬢から教わるの?」
「ええ。レイノルド様とのお茶会で出しているお菓子は、全てアニエス様に教わったものですのよ。次は、やっとケーキですの」
イザベラはどうやら、僕の知らないところで、アニエス嬢を師としているらしい。
というか、アニエス嬢。よくそんな時間があるな。王太子妃教育だってあるだろうに。
「イザベラが楽しいなら止めないけど、怪我はしないでね」
「ええ。そこはアニエス様にもキツく言われてますわ。私が怪我をしたら、レイノルド様に叱られるから絶対にしないでねって」
困ったように言うイザベラに、僕は苦笑いをする。
アニエス嬢だって怪我をしたらマリウス殿下が大騒ぎするだろうに。
僕は可愛いイザベラの髪をゆっくりと撫でると、ちょっと意地悪を言ってみた。
「あまり、アニエス嬢とばかり仲良くしていると、僕は嫉妬してしまうよ?」
「まぁ!おかしなレイノルド様。王太子殿下と同じことをおっしゃいますのね」
「なに、それ?」
「アニエス様も殿下に、同じことをおっしゃられたのですって。レイノルド様、殿下とお揃いですわね」
あんな溺愛執着殿下と同じ・・・
僕が、よほど嫌そうな顔をしていたのだろう。イザベラは楽しそうに、クスクスと笑う。
まぁ、イザベラが楽しそうだからいいか。
アニエス嬢に教わったという焼き菓子を食べながら、僕は今日も愛しい婚約者とのお茶会を楽しむのだったー
そこは、絶対に揺るがないところだと言える。
だけど、ほんの少しだけアニエス嬢のことは気に入っている。
あの、完全無欠?な王太子殿下を相手にしていないところが、特にいい。
ニコラスの筋肉バカは、マリウス殿下や弟だけでなく、自分や僕にまで色目を使うとか言ってたけど、あの筋肉バカは目まで筋肉なんだろうか。
アニエス嬢のどこが殿下に色目を使ってるって?
しかも、挨拶程度で色目だというのなら、ほとんどのご令嬢は色目を使ってることになるだろうが。
大体、殿下の方が是非とも、色目を使って欲しいと願ってると思う。
それに気付かないから、脳まで筋肉だというんだ。
もっとも、その発言で、筋肉バカは婚約者にガッツリ叱られてたけど。
あの、全く殿下を相手にしていなかったアニエス嬢が、いつのまにか殿下といい感じになっていたことには、びっくりした。
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別に僕は、アニエス嬢に恋愛感情は抱いていないから構わないけど、何だか胸の奥がモヤモヤする。
「レイノルド様、来年の誕生日に、ケーキを作ったら食べて下さる?」
「イザベラの手作りを食べないなんて有り得ないよ。でも、またアニエス嬢から教わるの?」
「ええ。レイノルド様とのお茶会で出しているお菓子は、全てアニエス様に教わったものですのよ。次は、やっとケーキですの」
イザベラはどうやら、僕の知らないところで、アニエス嬢を師としているらしい。
というか、アニエス嬢。よくそんな時間があるな。王太子妃教育だってあるだろうに。
「イザベラが楽しいなら止めないけど、怪我はしないでね」
「ええ。そこはアニエス様にもキツく言われてますわ。私が怪我をしたら、レイノルド様に叱られるから絶対にしないでねって」
困ったように言うイザベラに、僕は苦笑いをする。
アニエス嬢だって怪我をしたらマリウス殿下が大騒ぎするだろうに。
僕は可愛いイザベラの髪をゆっくりと撫でると、ちょっと意地悪を言ってみた。
「あまり、アニエス嬢とばかり仲良くしていると、僕は嫉妬してしまうよ?」
「まぁ!おかしなレイノルド様。王太子殿下と同じことをおっしゃいますのね」
「なに、それ?」
「アニエス様も殿下に、同じことをおっしゃられたのですって。レイノルド様、殿下とお揃いですわね」
あんな溺愛執着殿下と同じ・・・
僕が、よほど嫌そうな顔をしていたのだろう。イザベラは楽しそうに、クスクスと笑う。
まぁ、イザベラが楽しそうだからいいか。
アニエス嬢に教わったという焼き菓子を食べながら、僕は今日も愛しい婚約者とのお茶会を楽しむのだったー
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