2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

文字の大きさ
51 / 122

恋はするものではなくおちるもの?

しおりを挟む
「そう。私のお姫様はずっと王家に縛られていて、婚約者と交流することもままならなかったものね。それはエリック殿下も同じだったのかもしれないけど、彼が何とかするべきだったわね。幼い頃ならともかく、ね」

 確かにわたくしは、王家の指示での教育に時間を取られ、エリック殿下とご一緒できるのは限られておりました。

 それに

「王太子妃とはこうあるべき」

「エリック殿下は尊きお方だということを忘れないように」

「エリック殿下を煩わせることのないように」

 常に微笑みを浮かべ、エリック殿下に反論するなど許されない、そんなふうな教育をずっとされて来ました。

 あの市井での塗料事件も、お母様たちには言えませんでしたが、王宮では王妃様はもちろんのこと、教育係の先生方から叱られましたわ。

 王太子妃になろうという者が髪を切る羽目になるなど、注意散漫だと。

 市井に出かけるなど、どれだけエリック殿下を困らせれば済むのだと。

 楽しかった気持ちが萎んでしまったことを覚えています。

 わたくしにとって、たったひとつの我儘でした。

 ずっと、王家のため、国のため、エリック殿下のため、公爵家のために生きて来たわたくしが言った、ただひとつの我儘。

 だからエリック殿下は叶えてくださったのです。

 あんな時間をもっと持てていたなら、わたくしはエリック殿下に恋をしたかもしれません。

 お母様にそう言うと、お母様はわたくしの髪を優しく撫でて下さいます。

「そうね。結局アリスティアという王妃に相応しい存在を失う原因を作ったのは、セオドア王家。自業自得というやつね」

「きっとエリック殿下のことをお好きなユリア様ですもの。王太子妃教育を頑張ってくださいますわ」

「ふふっ。私の可愛いお姫様は、本当に優しい子ね。まぁ、あの国がどうなろうともう私たちには関係ないこと。私のお姫様はこの国で、今まで出来なかったことをたくさんしなさい」

 今まで出来なかったこと。

 一番欲しかった、ご令嬢のお友達もできましたわ。

 お菓子作りも、まだまだ下手ですけど、少しは不恰好でないものができるようになりました。

 好きな本もたくさん読む時間ができました。

 お母様やキャスリーン様、シャルロット様とお買い物に出かけることも、カフェでお茶をいただくこともできました。

「わたくし、恋をしてみたいです。お母様、どうすればできますか?」

 わたくしも、エリック殿下のように、ユリア様のように、ジークハルト様のように、誰かに恋をしてみたいです。

 わたくしがそう申し上げると、お母様は困ったように微笑まれました。

「私の可愛いお姫様。恋はね、しようと思ってできるものではないの。恋は知らないうちに落ちるものなのよ」

 


しおりを挟む
感想 248

あなたにおすすめの小説

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

婚約破棄?ああ、どうぞお構いなく。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢アミュレットは、その完璧な美貌とは裏腹に、何事にも感情を揺らさず「はぁ、左様ですか」で済ませてしまう『塩対応』の令嬢。 ある夜会で、婚約者であるエリアス王子から一方的に婚約破棄を突きつけられるも、彼女は全く動じず、むしろ「面倒な義務からの解放」と清々していた。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】 白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語 ※他サイトでも投稿中

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。 溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。 名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。 名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。 登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*) 第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中

処理中です...