55 / 105
55.特別じゃなかった〜フランチェスカ視点〜
しおりを挟む
王太子レオナルド様に、第二王子アスラン。
本当は、同い年のアスランと婚約する予定だったと聞いた。
でも王太子妃になる資質のある令嬢はわたくしだけだから、レオナルド様の婚約者になるべくなったって。
ふふん。
当然よね。わたくしはアイボリー公爵令嬢で、自分で言うのもなんだけど、容姿だって家格だって淑女としての能力だってダントツだもの。
アスランはきっと残念がってると思ってた。
なのにレオナルド様が言うには、アスランは幼い頃の初恋の相手をいまだに密かに想っているって。
信じられない。
幼い頃って、そんなカビの生えたような思い出にわたくしが負けたって言うの?
子供の頃にどんなに可愛くても、今綺麗だとは限らないわ。
マデリーン王国の王太子殿下の生まれた時からの婚約者?
フローレンス公爵家の令嬢?
銀髪に銀の瞳で・・・すごく綺麗な子だと噂に聞いたわ。
た、確かに綺麗かもしれないけど!で、でも、わたくしは王太子妃に相応しいと望まれて王太子殿下の婚約者になったのよ。
逃した魚は大きかったのよ!悔しいでしょう?
王太子殿下のレオナルド様は、とてもお優しい。
婚約者として贈り物もエスコートも、ちゃんとしてくださる。
でも、物足りなかった。
わたくしを好きだと、わたくしに自分だけを見ていろと、もっと求めて欲しい。
だから、アスランと親しくした。
わざとアスランと様もつけずに呼び捨てにして、アスランにもフランと呼ばせた。
王妃様には眉を顰められたけど、レオナルド様がかまわないと言ったことで、私は気を良くした。
わたくしに嫌われたくないのね?
だから、嫉妬したのを気取られないようにしてるんだわ。
それでも不貞だと言われることがないように、侍女は側においたし、疑われるような触れ合いはしないようにした。
そんなある日。
「え?アスランが?」
「ああ。フローレンス公爵令嬢が婚約解消された。だから急いで婚約の申し込みにマデリーン王国に向かったんだよ」
レオナルド様から聞いた内容に、驚きを隠せない。
男爵令嬢に恋した?嘘でしょ。男爵令嬢が王太子妃になれるわけがないじゃない。
えっ!マデリーン王国の王太子殿下って、馬鹿なの?
しかも、アスランもアスランよ。
相手が馬鹿とはいえ、王太子殿下との婚約を解消させられたキズモノの令嬢に婚約の申し込みって。
ああ。分かったわ。
わたくしを手に入れられないから、仕方なくマデリーン王国の公爵家という地位を欲することにしたのね?
そんな馬鹿な王太子のいる国だけど、アスランは第二王子だから、婿入り先がいるものね。
本当は、同い年のアスランと婚約する予定だったと聞いた。
でも王太子妃になる資質のある令嬢はわたくしだけだから、レオナルド様の婚約者になるべくなったって。
ふふん。
当然よね。わたくしはアイボリー公爵令嬢で、自分で言うのもなんだけど、容姿だって家格だって淑女としての能力だってダントツだもの。
アスランはきっと残念がってると思ってた。
なのにレオナルド様が言うには、アスランは幼い頃の初恋の相手をいまだに密かに想っているって。
信じられない。
幼い頃って、そんなカビの生えたような思い出にわたくしが負けたって言うの?
子供の頃にどんなに可愛くても、今綺麗だとは限らないわ。
マデリーン王国の王太子殿下の生まれた時からの婚約者?
フローレンス公爵家の令嬢?
銀髪に銀の瞳で・・・すごく綺麗な子だと噂に聞いたわ。
た、確かに綺麗かもしれないけど!で、でも、わたくしは王太子妃に相応しいと望まれて王太子殿下の婚約者になったのよ。
逃した魚は大きかったのよ!悔しいでしょう?
王太子殿下のレオナルド様は、とてもお優しい。
婚約者として贈り物もエスコートも、ちゃんとしてくださる。
でも、物足りなかった。
わたくしを好きだと、わたくしに自分だけを見ていろと、もっと求めて欲しい。
だから、アスランと親しくした。
わざとアスランと様もつけずに呼び捨てにして、アスランにもフランと呼ばせた。
王妃様には眉を顰められたけど、レオナルド様がかまわないと言ったことで、私は気を良くした。
わたくしに嫌われたくないのね?
だから、嫉妬したのを気取られないようにしてるんだわ。
それでも不貞だと言われることがないように、侍女は側においたし、疑われるような触れ合いはしないようにした。
そんなある日。
「え?アスランが?」
「ああ。フローレンス公爵令嬢が婚約解消された。だから急いで婚約の申し込みにマデリーン王国に向かったんだよ」
レオナルド様から聞いた内容に、驚きを隠せない。
男爵令嬢に恋した?嘘でしょ。男爵令嬢が王太子妃になれるわけがないじゃない。
えっ!マデリーン王国の王太子殿下って、馬鹿なの?
しかも、アスランもアスランよ。
相手が馬鹿とはいえ、王太子殿下との婚約を解消させられたキズモノの令嬢に婚約の申し込みって。
ああ。分かったわ。
わたくしを手に入れられないから、仕方なくマデリーン王国の公爵家という地位を欲することにしたのね?
そんな馬鹿な王太子のいる国だけど、アスランは第二王子だから、婿入り先がいるものね。
732
あなたにおすすめの小説
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした
カレイ
恋愛
子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き……
「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」
ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
諦めていた自由を手に入れた令嬢
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢シャーロットは婚約者であるニコルソン王太子殿下に好きな令嬢がいることを知っている。
これまで二度、婚約解消を申し入れても国王夫妻に許してもらえなかったが、王子と隣国の皇女の婚約話を知り、三度目に婚約解消が許された。
実家からも逃げたいシャーロットは平民になりたいと願い、学園を卒業と同時に一人暮らしをするはずが、実家に知られて連れ戻されないよう、結婚することになってしまう。
自由を手に入れて、幸せな結婚まで手にするシャーロットのお話です。
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。
ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。
事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる