私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

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55.特別じゃなかった〜フランチェスカ視点〜

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 王太子レオナルド様に、第二王子アスラン。

 本当は、同い年のアスランと婚約する予定だったと聞いた。

 でも王太子妃になるのある令嬢はわたくしだけだから、レオナルド様の婚約者になるべくなったって。

 ふふん。
当然よね。わたくしはアイボリー公爵令嬢で、自分で言うのもなんだけど、容姿だって家格だって淑女としての能力だってダントツだもの。

 アスランはきっと残念がってると思ってた。

 なのにレオナルド様が言うには、アスランは幼い頃の初恋の相手をいまだに密かに想っているって。

 信じられない。

 幼い頃って、そんなカビの生えたような思い出にわたくしが負けたって言うの?

 子供の頃にどんなに可愛くても、今綺麗だとは限らないわ。

 マデリーン王国の王太子殿下の生まれた時からの婚約者?

 フローレンス公爵家の令嬢?

 銀髪に銀の瞳で・・・すごく綺麗な子だと噂に聞いたわ。

 た、確かに綺麗かもしれないけど!で、でも、わたくしは王太子妃にと望まれて王太子殿下の婚約者になったのよ。

 逃した魚は大きかったのよ!悔しいでしょう?

 王太子殿下のレオナルド様は、とてもお優しい。

 婚約者として贈り物もエスコートも、ちゃんとしてくださる。

 でも、物足りなかった。

 わたくしを好きだと、わたくしに自分だけを見ていろと、もっと求めて欲しい。

 だから、アスランと親しくした。

 わざとアスランと様もつけずに呼び捨てにして、アスランにもフランと呼ばせた。

 王妃様には眉を顰められたけど、レオナルド様がかまわないと言ったことで、私は気を良くした。

 わたくしに
だから、嫉妬したのを気取られないようにしてるんだわ。

 それでも不貞だと言われることがないように、侍女は側においたし、疑われるような触れ合いはしないようにした。

 そんなある日。

「え?アスランが?」

「ああ。フローレンス公爵令嬢が婚約解消された。だから急いで婚約の申し込みにマデリーン王国に向かったんだよ」

 レオナルド様から聞いた内容に、驚きを隠せない。

 男爵令嬢に恋した?嘘でしょ。男爵令嬢が王太子妃になれるわけがないじゃない。

 えっ!マデリーン王国の王太子殿下って、馬鹿なの?

 しかも、アスランもアスランよ。
相手が馬鹿とはいえ、王太子殿下との婚約を解消キズモノの令嬢に婚約の申し込みって。

 ああ。分かったわ。
わたくしを手に入れられないから、仕方なくマデリーン王国の公爵家という地位を欲することにしたのね?

 そんな馬鹿な王太子のいる国だけど、アスランは第二王子だから、婿入り先がいるものね。
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