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77.アンブレラ王国
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たどり着いたアンブレラ王国は、一言で言うと、自然豊かな国だった。
木々が生い茂り、澄んだ川が流れ、小鳥たちが飛び交う。
絵に描いたような美しい国。
「お美しい国・・・ですわね」
「ありがとうございます。ですが、この美しい自然も猛威をふるいます。川は氾濫し木々は薙ぎ倒され、人々を飲み込みます。私がサウスフォード王国の王太子殿下と婚約を結んだのも、その災害の復興支援をしていただく為でした。後で、その復興中の地域をご案内いたしますわ」
「よろしくお願いします」
サウスフォード王国の王太子殿下との婚約解消の条件として、我がフローレンス公爵家とクライゼン王国が支援することになっている。
現状を見ておくことは大切である。
特にクライゼン王国は、国費を使うわけだからちゃんと確認しておかなければならないでしょうね。
「まずは父と母、王太子の兄を紹介します」
馬車はそのままアンブレラ王国の王城に入り、私たちはエヴァリーナ殿下の先導で謁見の間へと案内された。
私たちが部屋に入ると、壇上にいた三人がエヴァリーナ殿下に駆け寄って来て、彼女を抱きしめる。
「エヴァリーナ!すまなかった!お前と婚約しておきながら、女遊びをやめないような屑に可愛いお前を・・・!この愚かな父を許してくれっ!」
「リーナ、嫌なことはされてない?母様によく顔を見せてちょうだい」
「父上!やはり政略結婚などさせるべきではなかったのです!まだ幼いエヴァリーナに重責を背負わせるなど間違いだったのです!」
「お父様!お母様!お兄様!お客様の前ですよ!落ち着いて下さい!」
エヴァリーナ殿下は、真っ赤になってご両親である国王陛下と王妃様、王太子殿下を諌めている。
ふふっ。家族仲がいいのね。
そうよね。政略結婚といっても、そんな相手にまだ十三歳の可愛い娘を嫁がせたくないわよね。
お父様とお母様も・・・
こんな気持ちだったのかしら?
私なんて二度も婚約を解消したんだもの。
ご迷惑とご心配をおかけしてしまったわ。
なんだかすごく、お父様たちに会いたいわ。
ウィリアム殿下の件、もう片付いたかしら。
「あ、ああ!申し訳ない!アンブレラ王国国王のリグルドルフだ。そして王妃のエヴァジェリン、息子で王太子のリヴァルスだ」
「クライゼン王国王太子、レオナルドと申します。この度は、エヴァリーナ王女殿下との婚約を認めてくださり、ありがとうございます」
「マデリーン王国フローレンス公爵家が娘アイシュと申します。お会いできて光栄です」
木々が生い茂り、澄んだ川が流れ、小鳥たちが飛び交う。
絵に描いたような美しい国。
「お美しい国・・・ですわね」
「ありがとうございます。ですが、この美しい自然も猛威をふるいます。川は氾濫し木々は薙ぎ倒され、人々を飲み込みます。私がサウスフォード王国の王太子殿下と婚約を結んだのも、その災害の復興支援をしていただく為でした。後で、その復興中の地域をご案内いたしますわ」
「よろしくお願いします」
サウスフォード王国の王太子殿下との婚約解消の条件として、我がフローレンス公爵家とクライゼン王国が支援することになっている。
現状を見ておくことは大切である。
特にクライゼン王国は、国費を使うわけだからちゃんと確認しておかなければならないでしょうね。
「まずは父と母、王太子の兄を紹介します」
馬車はそのままアンブレラ王国の王城に入り、私たちはエヴァリーナ殿下の先導で謁見の間へと案内された。
私たちが部屋に入ると、壇上にいた三人がエヴァリーナ殿下に駆け寄って来て、彼女を抱きしめる。
「エヴァリーナ!すまなかった!お前と婚約しておきながら、女遊びをやめないような屑に可愛いお前を・・・!この愚かな父を許してくれっ!」
「リーナ、嫌なことはされてない?母様によく顔を見せてちょうだい」
「父上!やはり政略結婚などさせるべきではなかったのです!まだ幼いエヴァリーナに重責を背負わせるなど間違いだったのです!」
「お父様!お母様!お兄様!お客様の前ですよ!落ち着いて下さい!」
エヴァリーナ殿下は、真っ赤になってご両親である国王陛下と王妃様、王太子殿下を諌めている。
ふふっ。家族仲がいいのね。
そうよね。政略結婚といっても、そんな相手にまだ十三歳の可愛い娘を嫁がせたくないわよね。
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「マデリーン王国フローレンス公爵家が娘アイシュと申します。お会いできて光栄です」
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