私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

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94.あんな人だったのね

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 ウィリアム殿下は、レブン男爵令嬢に無理やり別れを告げたそうだ。

 自分には無理な王太子妃教育に、そのことを理解してくれないウィリアム殿下。

 彼女は、そんなウィリアム殿下を恨まなかったのかしら。

 殿下はこともあろうに、生まれた時から王太子の婚約者で公爵令嬢としての教育を受けて育った私が出来たのだから、自分を愛しているのなら出来るだろうと言ったらしい。

 馬鹿なのかしら。

 レブン男爵令嬢は、王宮侍女ですらなかったのよ?

 一般メイドでしかない彼女が、淑女教育すらマトモに受けていない彼女が、厳しい王太子妃教育に耐えられるわけがないじゃない。

 愛情があるからって、何でもかんでもできるわけじゃないのよ?

 それでも長い時間をかければ、愛情があれば頑張ってくれたでしょうけど。

 支えて欲しい人にそんなことを言われた上に、出来なかったからって無理矢理別れを告げて実家に戻らされた?

 ハァ。
婚約している時、ウィリアム殿下は頑張り屋で優しい人だと思っていたけど、そんな思慮が足りない人だとは知らなかったわ。

 真実の愛のお相手を気遣うこともできないなんて。

 そう考えると、婚約を解消して正解だったわね。

 でも、それで納得したわ。
レブン男爵令嬢がから、私と再婚約しようとか言い出したのね。

 元々、王妃様はウィリアム殿下の恋愛に目を瞑れっておっしゃってたくらいだから理解るけど、国王陛下までお認めになるなんて。

 でも陛下からすれば、私が再婚約を受け入れたらウィリアム殿下の治世は安泰だろうから、叶うならそうしたかったんでしょうね。

 でもそのせいで、フローレンス公爵家自体を失うことになったのだから、陛下の判断ミスだわ。

 ウィリアム殿下をレブン男爵家か、そうね、伯爵位くらいを与えて王太子からおろし、ミリア王女殿下に立太子して貰えば良かったのに。

 そうすれば、私がフローレンス公爵家を継いで、王家をお支えしたのよ。

 私たちは現在、クライゼン王国の王宮に滞在している。

 婚約者であるアンブレラ王国王女殿下を連れて、帰国した王太子殿下。

 彼らと共にクライゼン王国入りし、王宮に滞在するように言われたのよ。

 まさか国王陛下が、王太子殿下の手紙を受け取ってすぐに、爵位や屋敷の準備まで始めてくれているなんて、ね。

 お父様は、侯爵になるらしい。

 アイボリー公爵家の代わりに公爵にするか迷ってらしたらしいけど、さすがに他国から来て公爵は無理がありすぎるわ。

 アイボリー公爵家が降爵されて侯爵になったから、公爵家を一つ減らして侯爵家を増やした形ね。

 何だかそのうち公爵にされそうだけど。
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