97 / 105
97.全て今更だ〜マデリーン王国国王視点〜
「・・・」
言葉が出なかった、
書き置きひとつ残して、王女と・・・そして側妃が国から出て行った。
ついでに言えば、王女の婚約者であるシェリエメール帝国の皇子から「ミリア様が王女である必要はない」という手紙まで残されていた。
挙句に側妃が・・・
「ミリアが王女でなくなるのなら私のいる意味はありませんので、離縁させていただきます」
そう言って、離縁状を書いて出て行った。
確かに側妃を娶ったのは、正妃がウィリアムを産んだ後に子を成せなくなったからだ。
ウィリアムに何かあった時のスペアが必要だったから、側妃を娶った。
ミリアは王女だったが、我が国は女性でも爵位を継げるため、問題がなかった。
ミリアも側妃も、自分の立ち位置を良く理解していて「正妃様」「王太子殿下」と呼ぶものの、仲が決して悪いわけでもなく良好な関係だった。
だが今思えば、その良好な関係もフローレンス公爵令嬢がいたからなのかもしれない。
ミリアは彼女を慕っているようだったから。
そうか。
あの再婚約の件が・・・全てを壊してしまったのだな。
目の前の数枚の釣書に目を落とす。
王太子であるウィリアムの婚約者に相応しい令嬢・・・
伯爵家以上を集めても、だったの四人か。
この中で、何人が無事に教育を終えるのか。そもそも、王太子の婚約者を受け入れてくれるのか。
できる限り、王命は使いたくない。
フローレンス公爵家が亡命したことで、貴族のパワーバランスが崩れている。
もしも婚約を無理強いして反感を買えば、国の存続自体が危ぶまれる。
この危機を・・・ウィリアムと王妃は理解しているのだろうか?
私は王妃のこともウィリアムのことも、決して愚か者ではないと思っている。
いや、いたと言うべきか。
浮気をしたこともそうだが、相手が悪すぎた。
マトモな淑女教育も終えていない令嬢を、王太子という身分で相手をしてどうするのだ。
私とて人を好きになる気持ちがわからないわけではない。
だがウィリアムは、王太子だ。
その利を今まで受けて来たのだから、義務も果たさなければならないことくらい理解るだろう。
フローレンス公爵令嬢と婚姻後、子を授かったあと三年も待てば、愛妾として召し上げることもできたというのに。
いや。
今更なにを言ったところで、どうしようもない。
この四人には、王太子妃教育を受けてもらおう。
ウィリアムの卒業までもう僅かだ。
それまでに、この中の何人が教育を終えることが出来るのか。
もっと早く、王太子の座をミリアに移すべきだった。
全て・・・今更だ。
言葉が出なかった、
書き置きひとつ残して、王女と・・・そして側妃が国から出て行った。
ついでに言えば、王女の婚約者であるシェリエメール帝国の皇子から「ミリア様が王女である必要はない」という手紙まで残されていた。
挙句に側妃が・・・
「ミリアが王女でなくなるのなら私のいる意味はありませんので、離縁させていただきます」
そう言って、離縁状を書いて出て行った。
確かに側妃を娶ったのは、正妃がウィリアムを産んだ後に子を成せなくなったからだ。
ウィリアムに何かあった時のスペアが必要だったから、側妃を娶った。
ミリアは王女だったが、我が国は女性でも爵位を継げるため、問題がなかった。
ミリアも側妃も、自分の立ち位置を良く理解していて「正妃様」「王太子殿下」と呼ぶものの、仲が決して悪いわけでもなく良好な関係だった。
だが今思えば、その良好な関係もフローレンス公爵令嬢がいたからなのかもしれない。
ミリアは彼女を慕っているようだったから。
そうか。
あの再婚約の件が・・・全てを壊してしまったのだな。
目の前の数枚の釣書に目を落とす。
王太子であるウィリアムの婚約者に相応しい令嬢・・・
伯爵家以上を集めても、だったの四人か。
この中で、何人が無事に教育を終えるのか。そもそも、王太子の婚約者を受け入れてくれるのか。
できる限り、王命は使いたくない。
フローレンス公爵家が亡命したことで、貴族のパワーバランスが崩れている。
もしも婚約を無理強いして反感を買えば、国の存続自体が危ぶまれる。
この危機を・・・ウィリアムと王妃は理解しているのだろうか?
私は王妃のこともウィリアムのことも、決して愚か者ではないと思っている。
いや、いたと言うべきか。
浮気をしたこともそうだが、相手が悪すぎた。
マトモな淑女教育も終えていない令嬢を、王太子という身分で相手をしてどうするのだ。
私とて人を好きになる気持ちがわからないわけではない。
だがウィリアムは、王太子だ。
その利を今まで受けて来たのだから、義務も果たさなければならないことくらい理解るだろう。
フローレンス公爵令嬢と婚姻後、子を授かったあと三年も待てば、愛妾として召し上げることもできたというのに。
いや。
今更なにを言ったところで、どうしようもない。
この四人には、王太子妃教育を受けてもらおう。
ウィリアムの卒業までもう僅かだ。
それまでに、この中の何人が教育を終えることが出来るのか。
もっと早く、王太子の座をミリアに移すべきだった。
全て・・・今更だ。
あなたにおすすめの小説
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
嘘つきな貴方を捨てさせていただきます
梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。
「さっさと死んでくれ」
フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。
愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。
嘘つきな貴方なんて、要らない。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
11/27HOTランキング5位ありがとうございます。
※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。
1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。
完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。
彼女の離縁とその波紋
豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
あなただけが私を信じてくれたから
樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。
一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。
しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。
処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
もうあなた達を愛する心はありません
佐藤 美奈
恋愛
セラフィーナ・リヒテンベルクは、公爵家の長女として王立学園の寮で生活している。ある午後、届いた手紙が彼女の世界を揺るがす。
差出人は兄ジョージで、内容は母イリスが兄の妻エレーヌをいびっているというものだった。最初は信じられなかったが、手紙の中で兄は母の嫉妬に苦しむエレーヌを心配し、セラフィーナに助けを求めていた。
理知的で優しい公爵夫人の母が信じられなかったが、兄の必死な頼みに胸が痛む。
セラフィーナは、一年ぶりに実家に帰ると、母が物置に閉じ込められていた。幸せだった家族の日常が壊れていく。魔法やファンタジー異世界系は、途中からあるかもしれません。