え?後悔している?それで?

みおな

文字の大きさ
上 下
15 / 43

息子が廃籍を受け入れたくない件

しおりを挟む
「え、あ、ちょっ、ちょっと待って下さい!阿呆って。いや、僕が廃籍されたとしたら、後継はどうするんですか!僕には兄弟はいない。たった一人の嫡子ですよ!」

 父親からの阿呆呼ばわりに戸惑いながらも、ダミアンは自分しか王家の後継はいないと訴える。

 そんな息子を、国王陛下も王妃殿下も半ば冷めた目で見つめた。

 昔から、少し考えの浅い子供だった。

 婚約者にルーナ・ヴァレリア公爵令嬢に蛙を投げつけたと聞いた時は、我が息子ながら二、三発張り飛ばそうとすら思った。

 たまたま来ていた従弟のラインハルトがダミアンを叱責し、ルーナ嬢に詫びてくれたと聞いて、ホッとした。

 浅慮な息子であるものの、唯一の嫡子であることは事実。

 他に王太子候補がいないわけではないが、嫡子がいながら他の候補を挙げればお家騒動に発展してしまう。

 まだ子供だから・・・
そう思って、それから教育を厳しくした。

 王族である限り、愚かなままでいるわけにはいかないから。

 ダミアンは、どこか子供じみた言動をするもののそれはルーナ絡みだけで、国王夫妻はルーナに謝罪と詫びを差し出すことで、ルーナに我慢してもらっていた。

 ルーナは、政略結婚の意味をキチンと理解していて、ヴァレリア公爵家に利を与えれば、不満も飲み込んでくれた。

 それが、こともあろうに自身の誕生日パーティーでダミアンはやらかした。

 多くの貴族たちの前で、ルーナを見下して婚約破棄など宣言した。

 しかも腕にまとわりつかせていたのは、ヴァレリア公爵家の居候。

 庇い切れるものではない。

 それでも心から反省し、ルーナに詫びたなら・・・万にひとつ程度の可能性はあったかもしれないが、ダミアンは謹慎させた部屋から逃げ出す始末。

 だから国王夫妻は諦めた。
ダミアンは自分以外に継げる人間がいないと思っているようだが、もしも本当にそうなら、どんな無理をしても王妃はもう一人産んでいただろう。

 男性でなければ王位を継ぐことができないから、夫となったセルジオが国王となっているが、王家の正統な血筋はキャスリーンである。

 キャスリーンにも他に兄弟はなかったが、父である前国王には妹がいた。

 キャスリーンからすれば叔母であるその人は、辺境伯の嫡男と結婚して一人の息子と三人の娘を授かった。

 その辺境伯当主は息子ラインハルトが二十歳になった時、早々に息子に爵位を譲った。

 王位の簒奪を狙っていないと示すためだ。

 王家の嫡子がダミアンしかいないことと、従弟がダミアンより十歳年上で優秀なことから、周囲から担ぎ上げられないように爵位を継がせたのだと、王妃キャスリーンは思っている。

 キャスリーンはその従弟を呼び出すことにした。

 叔母には悪いが、王家の血筋の従弟に委ねるしかないと判断したのだ。
 


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私が王女です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:20,861pt お気に入り:234

百年の恋も冷めるというもの

恋愛 / 完結 24h.ポイント:724pt お気に入り:21

短編エロ

BL / 連載中 24h.ポイント:1,498pt お気に入り:2,140

処理中です...