え?後悔している?それで?

みおな

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新たな王太子が戸惑いを隠せない件

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「は?姉上、今なんと?」

 ゼルビア辺境伯であったラインハルトは、従姉である王妃キャスリーンに尋ねずにいられなかった。

 ラインハルトの母親は、八歳年上の従姉である現王妃の父親、つまり前国王陛下の妹だ。

 女性が王位を継ぐことが出来ないために婿を取ったが、直系の王族である。

 そのせいか、国王陛下よりも発言力があり、国王の名で発表されたことも最終的に決定したのは王妃であった。

「あら?もう耳が遠くなったの?いつまでも婚約者も作らずに独り身でいるからよ」

「・・・姉上は相変わらずのようで安心しました」

 言葉ではそう言ったものの、ラインハルトはこの従姉が息子のやらかしで憔悴していることを理解している。

 従甥であるダミアンが、自身の誕生日パーティーで、婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を宣言した。

 本人はアレは冗談だと言っていたそうだが、二人きりの時ならともかく、多くの貴族のいる場での発言だ。

 なんちゃって!で済むわけがない。

 しかも平民の、おまけに罪人の娘を傍に抱き寄せてのことだ。

 当然のことながら、従姉の逆鱗に触れた。

 相手は筆頭公爵家の一人娘。
王家から頭を下げて婚約者になってもらったご令嬢である。

 ラインハルトは後悔していた。
婚約者との顔合わせの際に、こともあろうに蛙を投げつけたダミアン。

 その場に居合わせ、ダミアンを叱り令嬢に謝罪をしたが、あの時ちゃんと従姉に伝えておくべきだった。

 子供だからと甘く見てしまった。

 母親に言わないでくれと言うから、ちゃんと婚約者に優しくするだろうと思っていたのに。

 従甥は、ラインハルトの考えの斜め上を行っていた。

 王位に固執していないと示すためにも、早々にゼルビア辺境伯の地位に就いたこともあって、王都のことが耳に入らなかった。

 従姉は王妃として、唯一の息子の廃籍を決めた。

 そして、王太子になるためにラインハルトが呼び寄せられた。

 王位に興味はなかったが、従姉の子供がダミアンだけだった為に、王位継承権の放棄は認められなかった。

 ラインハルトが継がないのなら、王家は取り潰して民主国家になると言われれば、嫌だとゴネるわけにもいかない。

 いずれ民主国家になることがあるとしても、今突然そうなれば他国の侵略や、貴族同士の争いなど、民衆にも混乱を招く。

 だから、辺境伯の地位を一旦父親に戻し王都へとやって来た。

 年齢的にはキツイものがあるが、王太子教育も必死でこなす覚悟も決めて来た。

 だが。

 まさか、立太子と共に婚約者が決まるとは思っていなかった。

 しかもそれが、従甥の元婚約者で十一歳も年下のご令嬢だとは。

 
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