転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

５歳

１ページ目：転生したら幼女とか何の冗談？

「シエル様。そろそろお目覚め下さいませ。シエル様」

　ううーん。うるさい。シエルって人、呼んでるよ。

　うん？シエル？何でここでそんなカタカナ名前が？外人？

　うっすらと目を開けると、天蓋付きのベッドが目に映った。

「なに、ここ・・・」

　倒れたまでは覚えてる。だけど、天蓋付きベッドの病院なんて聞いたことがない。
っていうか、めちゃくちゃ天井遠く感じるな・・・

　何気なく右手を伸ばした私は、その手が妙に小さいことに気づいた。

　あれ？私まだ寝惚けてる？
もぞもぞと動くと、先程の声が聞こえてきた。

「あ。起きられましたか、シエル様」

　だーかーらー、私はシエルなんていう名前じゃ・・・

　目の焦点が合ってきて、自分の手が妙に小さいこと、自分の寝ていたベッドが天蓋付きのおしゃれなベッドであること、私に声をかけて来た女性が、ラノベでよく見るメイドというか侍女みたいな格好をしていることに気付く。

　は？なにこれ。
まるでこれって、ラノベでよく見る転生したら乙女ゲームの悪役令嬢だったみたいな感じじゃない？

　もしかして、私まだ寝てんの？
これ、夢？

「さあ、起きてくださいませ。今日はどのお洋服になさいますか？」

「う・・・ん」

「まだ寝惚けてらっしゃるんですか？ほらほら、お顔を洗いましょうね」

　小さな子供をあやすように、女の人に抱き上げられ、ベッドに座らされる。
　洗面器？みたいなタライに入ったお湯で顔を洗う。

　洗い終えた私の顔を、侍女？さんみたいな女性がふわふわのタオルで拭ってくれた。

　ていうか、やっぱり手が小さい。
そして、気付いた。
　手だけじゃなくて、全部小さい。足だってベッドの下に届かないし、洗面器に溜まった水に映った顔が、どう見ても子供・・・というか幼女だった。

　ええと・・・
何これ？マジでラノベの転生モノを地で行ってんの？

　小さな両手を、ぼんやりと眺める。
これが転生モノだというのなら、多分彼女はメイドさんなのだろう。

　私に、可愛らしいエプロンドレスを着せ終えると、髪をツインテールにしてくれている。

　まさか、この歳でツインテールにする日が来るとは思わなかった。

　いや。見た目は幼女だけど。しかも、結構可愛い。
　10人いれば10人全員が可愛いというだろうレベル。

　ツインテールにされた髪も、そのくりくりっとした瞳も、アメジスト色で、はっきり言って、ビスクドールレベルの可憐な美少女だと思う。

　これだけ可愛い上に、見る限りいいとこのお嬢様っぽいから、乙女ゲームでいうところの悪役令嬢とかかな？

　でも、シエルなんて名前の悪役令嬢が出る乙女ゲーム、知らないんだけど！