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10歳

32ページ:入学式は波瀾万丈

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 クラウディア王国の魔法学園は、王都の東のはずれに位置している。

 王宮並みの巨大な敷地には、魔法の訓練場や、研究棟などがある。
 何かあっても外に影響を出さないための、広大な敷地らしい。

 入学式は講堂で行われるそうだ。
私は、レノアと一緒に並ぶことにした。
 遠くに酢昆布の姿がチラリと見えたけど、多分あのあたりは貴族が集まっているんだろう。

「レノア、同じクラスになれると良いですね」

「うん。そうだね、シエルちゃん」

 クラス分けは、入学試験で決まるらしい。入学式の後で講堂に貼り出されるそうだ。

 せっかく仲良くなれたので、同じクラスがいいなぁと思う。

 そんなことを思いながら、開会の挨拶を待っていると・・・
 見知った顔が、壇上に上がった。

「理事長のシャンティーヌです。皆様の入学を心から歓迎いたします。これから、共に助け合い、競い合い、お互い高みを目指して、有意義な学生生活を送ることを望みます」

 緩やかに波を描く金髪に、金の瞳。
ブルーのシンプルなドレス姿の、年の頃なら20歳過ぎの女性。

 何で王太子妃殿下が、学園の理事長なんかやってるの?

 私は心の中で、盛大にツッコミを入れる。

 そう。
シャンティーヌ・クラウディア様は、この国の王太子であるジョシュア様のお妃様、つまり王太子妃である。

 いやいやいや。
確かこの学園の理事長って、違う人だったはず。入学のパンフレットに載ってたのだって、シャンティーヌ様じゃなかったわよ。

 壇上のシャンティーヌ様を見つめていると、離れているのに目が合った気がした。

 にこやかに微笑みを浮かべたシャンティーヌ様。

 まさか、私が入学するから理事長になったとか言わないわよね。

 うちのお父様やお母様、アル兄様じゃあるまいし、それはさすがにないわよね。

 そんなことを考えているうちに、入学式は無事に終わった。

 レノアと共に、クラスの貼り出しを見に行く。

 えーと。
あ。Aクラスだ。良かった。レノアも一緒だわ。

「やった!シエルちゃん、同じクラスだね」

「はい。良かったです」

 レノアと同じクラスなのは良かった。
良かったのだけど、酢昆布も同じクラスだった。

 少し離れた場所で、私たちを睨んでいる酢昆布に、神様って、こういう悪戯好きだよね~と思う。

 ちなみに、魔法学園のクラス分けは、入学試験の成績順に、AクラスからDクラスまでに分かれる。

 そういう意味では、酢昆布も優秀なのだろう。
 人間としてマトモかどうかは別として。

 何事もなく学園生活を謳歌したかったけど、どうやら私の人生は波瀾万丈のようだ。



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