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10歳
76ページ:真意は
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ここで、ロイおじ様の名前が出てくるのかと、お父様たちと顔を合わせる。
『お呼びですか、マスター』
「ノワール。何らかの道具を介して、人の心を憎しみに染めるというか・・・いや、ちょっと待って。アル兄様にも呪具が埋め込まれてたよね?もしかして、マズルも同じだったんじゃ・・・」
『アポステリオリを呼びましょう。その類の気配は、アポステリオリならたとえ呪具を外された後でも痕跡を追えます』
ノワールに尋ねていた途中で、あることに気がつく。
そうだ。呪法で操られていたと思っていたアル兄様も、呪具を埋め込まれていたとアポステリオリが言っていたじゃないか。
なら、マズルに渡されたというお守りがその呪具だったら?
ゆっくり時間をかけて、マズルの中に吸収されていったら?
教皇で、叔父であるロイおじ様が、そんなことをするわけがないという思い込みが、私にも、マズルにも、そしてみんなにもあった。
もちろん、ロイおじ様自身も操られている可能性は消せない。
「ノワールお願い」
『アポステリオリ。マスターがお聞きしたいことがあるそうだ』
『何なりと、マスター』
現れたアポステリオリに、マズルに視線を向けながら尋ねる。
「マズル・・・彼に呪具の使用の形跡を感じませんか?人の憎しみや悲しみを増幅させるような」
『・・・その人間に使われていた呪具と、同じ気配を感じます。使われていた期間の差があるために、単に攻撃的になっただけなのと、その精神まで乗っ取られていたのとの差はありますが』
アル兄様を指しながら、アポステリオリが語る。
私は頷いて、続きを促した。
『魔王の覚醒に関しては、偶然かと思われます。人間の中に魔王の核があることを知っている人間はいても、どの人間の中にいるのかまでは我々でも分かりません。呪具が取り込まれてしまったのは、魔王の核があったからです。普通ならば、期間が長くなれば精神が破壊されます。そして、単なる傀儡となりますから』
「精霊王様。シエルの母のシルフィールと申します。お聞きしたいのですが、では、呪具を与えた人間は、傀儡にするつもりで与えたということでしょうか?」
お母様が綺麗にカーテシーをしながら、アポステリオリに尋ねてきた。
そうだよね。お母様にとったら、ロイおじ様は血のつながった弟。
悪意を持って、マズルに呪具を与えたのなら、それが身内でも断罪しないわけにはいかない。
いや。むしろ身内だからこそ、未来の国王陛下になるアル兄様に被害を及ぼしたことを許せないのかもしれない。
『お呼びですか、マスター』
「ノワール。何らかの道具を介して、人の心を憎しみに染めるというか・・・いや、ちょっと待って。アル兄様にも呪具が埋め込まれてたよね?もしかして、マズルも同じだったんじゃ・・・」
『アポステリオリを呼びましょう。その類の気配は、アポステリオリならたとえ呪具を外された後でも痕跡を追えます』
ノワールに尋ねていた途中で、あることに気がつく。
そうだ。呪法で操られていたと思っていたアル兄様も、呪具を埋め込まれていたとアポステリオリが言っていたじゃないか。
なら、マズルに渡されたというお守りがその呪具だったら?
ゆっくり時間をかけて、マズルの中に吸収されていったら?
教皇で、叔父であるロイおじ様が、そんなことをするわけがないという思い込みが、私にも、マズルにも、そしてみんなにもあった。
もちろん、ロイおじ様自身も操られている可能性は消せない。
「ノワールお願い」
『アポステリオリ。マスターがお聞きしたいことがあるそうだ』
『何なりと、マスター』
現れたアポステリオリに、マズルに視線を向けながら尋ねる。
「マズル・・・彼に呪具の使用の形跡を感じませんか?人の憎しみや悲しみを増幅させるような」
『・・・その人間に使われていた呪具と、同じ気配を感じます。使われていた期間の差があるために、単に攻撃的になっただけなのと、その精神まで乗っ取られていたのとの差はありますが』
アル兄様を指しながら、アポステリオリが語る。
私は頷いて、続きを促した。
『魔王の覚醒に関しては、偶然かと思われます。人間の中に魔王の核があることを知っている人間はいても、どの人間の中にいるのかまでは我々でも分かりません。呪具が取り込まれてしまったのは、魔王の核があったからです。普通ならば、期間が長くなれば精神が破壊されます。そして、単なる傀儡となりますから』
「精霊王様。シエルの母のシルフィールと申します。お聞きしたいのですが、では、呪具を与えた人間は、傀儡にするつもりで与えたということでしょうか?」
お母様が綺麗にカーテシーをしながら、アポステリオリに尋ねてきた。
そうだよね。お母様にとったら、ロイおじ様は血のつながった弟。
悪意を持って、マズルに呪具を与えたのなら、それが身内でも断罪しないわけにはいかない。
いや。むしろ身内だからこそ、未来の国王陛下になるアル兄様に被害を及ぼしたことを許せないのかもしれない。
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