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10歳

77ページ:行き着く答え

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『本人を見ればわかるだろうが、今の時点では何とも言えない』

 お母様の問いかけに、アポステリオリは生真面目な顔でそう答えた。

 それもそうか。
精霊王といえど、万能なわけじゃないんだ。会ってもいない人のことまでわからないよね。

「お母様。ロイおじ様のことは、会ってからにしましょう。ここで話しても結論は出ないと思います。後で、ノワールたちと一緒に行って来ます」

『マスター。そのロイとかいうのはどういう人間ですか?』

「お母様の弟よ。教皇で教会のトップ」

『私とアポステリオリで見てきましょう。我らなら、その教皇とやらに近づいたとて操られることはありませんから。その教皇、マスターに害を及ぼす可能性があるのでしょう?』

 どうやら、私に害が及ぶ可能性を排除したいらしい。
 お母様やお父様の表情で、察知したのかもしれない。

 ノワールとかなら操られない?精霊王だし。イービルみたいなことにはならないかな。

『ご心配には及びません。我ら精霊王には人の魔法は効きません。魔王相手ならまだしも。人間で我らに敵うものがいるとするならば、マスターだけでしょう』

「もし、ロイおじ様が私並みだったら?」

『そうですね。その場合は潔くマスターに粛正されましょう。マスターに牙剥くくらいなら、消滅を望みます』

 ノワールの隣で、アポステリオリも頷いている。

 契約しているわけでもないのに。
私相手にそこまで、忠誠を誓ってくれるんだ。

「ありがとう、ノワール。アポステリオリ」

『我らだけではありません。セイクレッドもイフリートもジンも皆同じ気持ちです』

 私はイフリートたちを喚んだことはないけど、皆そうだと言ってくれるノワールの言葉は信じられる。

 そんな風に私に力を貸してくれるみんなの為に、私もできることをちゃんとやろう。

『さあ!マスター、ご命令下さい』

「うん。ノワール、アポステリオリ。お願い」

『お任せください』

 ノワールたちの姿がかき消えた。
ふぅと息を吐いて、お母様やお父様と向き合う。

「ノワールたちの返答を待ちましょう。で、アル兄様。いつまで項垂れているつもりです?」

「僕は・・・王太子に相応しくない。呪具を埋め込まれ、操られ、国王陛下に攻撃を加えるなんて」

「まだそんなことを言ってるんですか?どうしようもないことでしょう。まぁ、少々警戒心が足りないと思いますが、操られていた闇の精霊を知っていて、対策を怠った私にも責任はあります。相応しくないとおっしゃるなら、相応しくなるようにこれから努力されたらいかがですか?」

 落ち込んでいても仕方ないのに。
それに、マズルたちへの処分の話もしなくては。


 

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