はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな

文字の大きさ
97 / 126

第七十六話

しおりを挟む
「それで、皇帝陛下が謝罪されたということは、この件は片付いたということですか?」

 あら?でもお父様は、商会の知り合いに会いに行っているのでは?

「あら、エリザベス。謝罪とお詫びは別物なのよ。当然のことだけど、ちゃんとお詫びはしてもらうわ。それに、公爵家の方も片付けないといけないし」

「・・・私は二度と関わって来なければそれで良いのですけど」

「そうねぇ。なら、二度とクシュリナ王国に立ち入らないって約束させましょうか。あとは、公爵家の方ね。娘が馬鹿なだけなのか、親も馬鹿なのか。旦那様が情報を取ってくるはずよ」

 別にバルトフェルド帝国に嫌悪感があるわけではありませんけど、何でも力で解決されても困りますし、不可侵な状態がベストな気がします。

 それに、公爵令嬢が個人で暴走しているのか、それともご両親もそのつもりなのか、そこはちゃんと調べてから対処はなくてはいけませんね。

 どちらにしろ、他国の、しかも既婚者に求婚しているのです。

 お咎めなしというわけにはいきません。

「家ごと潰すか、本人だけ罰するか。知ってるかどうかで話は変わるわね」

「そうですね。どんな罰をお考えですの?」

「そんな面倒な令嬢は、さっさと嫁にやることにしたのよ」

 はい?
本人も嫌がるでしょうが、そもそもそのような方を嫁にしたい方なんていないのでは?

 アルバート様の隣を譲るつもりはありませんが、だからといって他人に押し付けるというのも・・・

「ふふふっ。それがちょうどいい相手がいるのよ。相手も是非にって言ってくれているし」

「え?そんな方がいらっしゃるのですか?」

「ええ。常識はなくても身分は公爵令嬢だし、それなりの教育は受けているみたいだから、最適なのよ。その相手にも、旦那様に会いに行ってもらっているの」

 お相手の方が望んでくださるのなら、いいの、かしら?

 お母様が勧めるということは、その婚姻は罰になるのでしょうし。

「理解りましたわ。お父様とお母様にお任せします。私はアルバート様に二度と関わって来ず、クシュリナ王国に害にならなければ、それでかまいませんから」

「仲良くやっているようで、安心したわ。世継ぎを授かるまでは周囲も煩いかもしれないけど、また何かあればいつでも相談してちょうだい」

「ふふっ。ありがとうございます。でも、こんなことしょっちゅうあっては困りますわ」

「それもそうね」

 やっぱり、お父様とお母様に相談して良かったですわ。

 クシュリナ王国としては、バルトフェルド帝国と揉めたいわけじゃありませんしね。
しおりを挟む
感想 383

あなたにおすすめの小説

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】伯爵令嬢の責務

ごろごろみかん。
恋愛
見てしまった。聞いてしまった。 婚約者が、王女に愛を囁くところを。 だけど、彼は私との婚約を解消するつもりは無いみたい。 貴族の責務だから政略結婚に甘んじるのですって。 それなら、私は私で貴族令嬢としての責務を果たすまで。

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。 ☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

氷の貴婦人

恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。 呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。 感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。 毒の強めなお話で、大人向けテイストです。

処理中です...