転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな

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モブ、拗ねる。

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「そういえば、シキ。殿下たちと何をしていたの?」

 お茶会の最中だから、2時間くらいは男性陣は戻ってこなかった。
 彼らだけでお茶をしてるってイメージでもないのよね。

 エリルへのお土産を片付けていた(さすがに今日はお菓子は駄目なので、片付けてもらった。苺はデザートで出るだろう)シキは、顔を上げるとゆっくりと首を振った。

「アイル様が、お気になさるような事ではございません。少々、害虫対策についてフェルゼン様よりご教授いただいておりました」

「害虫?まぁ、今から暖かくなったら虫も出てくるでしょうけど、フェルゼン様ってそんな事に詳しいの」

 初耳である。そんな設定、作った覚えはない。
 まぁ、彼らもこの世界で生きているわけだから、私の設定外なことも多くあって当たり前だ。

 しかし、害虫。
その対策を公爵家嫡男のエドワードや、王太子のヴェルハルトが聞いても仕方ないと思うんだけど。

 単に追い払われたから、一緒にいただけなのかな。
 でも2時間も害虫対策の話だけなわけないわよね。

「あとは?」

「そうですね。少々、手合わせなどを」

「そう・・・」

 なんだか嘘くさい。
確かにイレーヌには4歳年上の公爵家嫡男がいるから、屋敷に鍛錬場もあるだろう。
 彼らが手合わせするのも、違和感はない。

 だけど、戻って来た時、誰も汗ひとつかいてなかった。
 髪型ひとつ、崩れてなかった。
なのに、手合わせ?

 でも、私はそれ以上聞くのをやめた。
聞いたところで、シキが答えてくれるとは思えない。

 シキは、私やエリルのことを大切にしてくれるけど、必要ないと判断したことは、絶対教えてくれない。

「ちょっと買い物に行くわ」

「どちらへ?」

「イレーヌ様に、お礼のためにハンカチに刺繍をするの。そのハンカチを買いに行くわ」

 ちなみに、現在エリルはお昼寝中である。

「すぐに準備いたします」

「それから、クッキーとかお菓子を作るから、その材料の準備をお願い。馬車だけ出してくれれば、買い物は侍女と一緒に行くわ」

「アイル様?」

「ハンカチを買いに行くだけだから。すぐに戻るわ」

 私が立ち上がると、シキは私の手を引き寄せた。

「私がお送りします」

「・・・シキはお菓子作りの準備をしておいて」

「アイル様!」

 そのまま腕の中に抱き込まれた。
シキの腕が、キツく私を抱きしめて、身動きできないほどだ。

「シキ、苦しい」

「私・・・俺のことが嫌いになりましたか?」

「シキ、腕、緩めて?」

「嫌です。絶対に離しません。俺は、俺は・・・」

 腕の力が強くて、ちょっと苦しいんだけど、シキの切なそうな声に抵抗するのをやめた。

 ちょっと拗ねすぎたかな。
私が転生のことを言えないように、シキにだって言えないこともあるだろう。

 大人げなかったかもしれない。

「馬車を出して?早く行かないとエリルが起きちゃうから」
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