転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな

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モブ、学習する。

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 それから、すぐに馬車を出してもらって、ハンカチを買いに出かけた。
 もちろん、シキと。
ああなったシキは、片時も私と離れようとしないのだ。

 御者台にいるときは離れるしかないわけだけど、その後は手を繋いで来るし、離れない。

 ここで恥ずかしいからと距離を取ろうとすると、横抱きにされてしまう。
 街中だろうとなんだろうと、シキには全く関係ない。

 私は学習したのである。
ここは、手を繋ぐくらい何でもない顔をしておこう。

 私たちは、婚約者である。
つまりは、手を繋いでも良い相手なのだ。

 などと、頭の中で繰り返す。
すれ違う人が、みんな微笑ましいものを見るような目をしている気がする。
 いや。気のせい。気のせいだ。
深く考えてはいけない。

「アイル様?」

「さあ!早く買い物を終わらせて帰らないと、エリルが起きてしまうわ。イレーヌ様にお似合いのハンカチだと、やっぱり王家御用達のお店かしら」

 私はシキの手を引く勢いで、歩き始めー
道路のちょっとした段差に躓いてしまった。

「あ!」

 そのまま、グイっと後ろに手を引かれ、気付いたらシキの胸に抱きつくような状態になっていた。

「!!!!」

「危ないですよ、アイル様。お店は逃げませんし、エリル様もまだお目覚めにならないと思います」

 手を繋いでいたから、シキが手を引いてくれたら躓いても倒れなかったかもしれない。
 だけど、手を引かれた勢いで、抱きついてしまうなんて。

 それを照れもせずに、淡々と。
本当、このイケメンには敵わない。

 唯一、勝てるかもしれない拗ねる攻撃も、後で私への反撃が凄すぎるし。

 シキってこんなキャラだっけ?
転生した当初から、シキは私の侍従だったけど、なんていうかもっと淡々としていたというか。

 ん?
変わってない、のかな?

 そうよね。あの頃も、婚約者になった今も、私の着替えを淡々と赤面もせずに手伝うし、姫抱きしても、こんな風に抱き合っても、顔色ひとつ変わらないわ。

 なんだか、ひとりでぐるぐるしてる自分が馬鹿に思えて来たわ。

 私の都合とはいえ、婚約者になったのだから歩み寄って、なんていうか想い思われる?関係になれたらって思ってたけど、シキは違うのかもしれない。

 私やエリルのことを大切に思ってくれてるから、さっきみたいに拗ねた態度を取ったら、ちょっと予想外の対応をして来たりするけど。

 好かれてないとは思ってないけど、特別の好きじゃないのかもしれない。

 そのことは責めれないわよね。
私だって、シキのことは好きだし、シキなら良いかなと思って婚約したけど、特別の好きかって聞かれたら、返事に困るもの。

 だって私、シキのこと何も知らない。
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