虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

文字の大きさ
3 / 144
一度目の人生

妻という名の

しおりを挟む
 侯爵夫人?
私は実際に、貴族の家がどんなものなのか知らない。

 だから、侯爵家の財力とかわからないけど、どう見てもこの部屋は侯爵夫人の部屋に見えない。

 普通、その屋敷の夫人の部屋なら、夫婦の寝室?が隣にあるはず。

 それに、目の前の侍女は侯爵夫人の私がこの部屋で過ごすことの文句を言っていた。

「おはよう。灯りをつけてもらえるかしら」

「あ、すみません。すぐに灯りをつけますね」

 ラナと名乗ったメイドさんは『私』の味方みたいだけど、さすがに中身が転生者だなんて言えないし、記憶喪失とでも言えばいいかしら?

 ラナの手にした灯りから火を移され、部屋が明るくなる。

 ぼんやりとは見えていたけど、やっぱり侯爵夫人の部屋には見えない。

「旦那様のなさっていることはあんまりです。正式に婚姻されている奥様をこんな部屋で過ごさせておきながら、侯爵夫人としてお屋敷の管理はさせるなんて!」

「ねぇ。あなた、名前は?」

「は?奥様?」

「私、何だか記憶がないみたいなの。だからあなたの名前を教えて下さらない?」

「!!」

 そのメイドさんは、目を大きく見開いて・・・慌てて部屋から飛び出て行った。

 記憶喪失って無理があったかしら?
でも、旦那様はもちろん使用人の名前もわからないし。

 少しすると、バタバタと足音がした。
あら?もしかして旦那様とやらを連れてきたのかしら?

「奥様ッ!記憶がないというのは本当ですかっ?」

 三人のメイドさんと、白髪混じりの老齢の男性が現れた。

 奥様と呼んでるし、さすがに旦那様なわけはないわね。

「そうなの。それで、あなたはだぁれ?」

「奥様・・・!私はこの家で執事をしておりますバートンと申します」

「バートンね。それであなたたちは?」

 私を起こしに来たメイドさんはラナと言い、私専属の侍女だそうだ。

 ラナより少し年上の、アメリーという侍女も私専属。生家である伯爵家の時から私専属だったそうだ。

 そして母親くらいの年齢のナディアは、メイド長。

「奥様のお名前は、レティーナ様です。半年前にこのサウザンド侯爵家に嫁がれて来ました。旦那様のお名前は、ロナルド様で、王太子殿下付きの騎士をされております」

 記憶喪失作戦はいい感じで、みんな親切に色々と説明してくれた。

 結婚して半年ね。
本来なら新婚の幸せな時期だけど、新妻をこんな部屋で生活させてるなんて、私とそのロナルドさんとやらは政略結婚なのかしら。

 少なくとも、目の前の四人とはいい関係のように感じるけど、夫と微妙な関係って、本当に幸せになれるの?


 
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

【完結】一番腹黒いのはだあれ?

やまぐちこはる
恋愛
■□■ 貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。 三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。 しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。 ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。

【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。

たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。 その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。 スティーブはアルク国に留学してしまった。 セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。 本人は全く気がついていないが騎士団員の間では 『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。 そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。 お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。 本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。 そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度…… 始めの数話は幼い頃の出会い。 そして結婚1年間の話。 再会と続きます。

笑い方を忘れた令嬢

Blue
恋愛
 お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式
恋愛
「おまえは前提条件が悪すぎる。皇妃になる前に、離縁してくれ。」 新婚初夜に皇太子に告げられた言葉。 1度目の人生で聖女を害した罪により皇妃となった妹が処刑された。 2度目の人生は妹の代わりに私が皇妃候補として王宮へ行く事になった。 そんな中での離縁の申し出に喜ぶテリアだったがー… 別サイトにて、コミックアラカルト漫画原作大賞最終候補28作品ノミネート

【完結】私の初恋の人に屈辱と絶望を与えたのは、大好きなお姉様でした

迦陵 れん
恋愛
「俺は君を愛さない。この結婚は政略結婚という名の契約結婚だ」 結婚式後の初夜のベッドで、私の夫となった彼は、開口一番そう告げた。 彼は元々の婚約者であった私の姉、アンジェラを誰よりも愛していたのに、私の姉はそうではなかった……。 見た目、性格、頭脳、運動神経とすべてが完璧なヘマタイト公爵令息に、グラディスは一目惚れをする。 けれど彼は大好きな姉の婚約者であり、容姿からなにから全て姉に敵わないグラディスは、瞬時に恋心を封印した。 筈だったのに、姉がいなくなったせいで彼の新しい婚約者になってしまい──。 人生イージーモードで生きてきた公爵令息が、初めての挫折を経験し、動く人形のようになってしまう。 彼のことが大好きな主人公は、冷たくされても彼一筋で思い続ける。 たとえ彼に好かれなくてもいい。 私は彼が好きだから! 大好きな人と幸せになるべく、メイドと二人三脚で頑張る健気令嬢のお話です。 ざまあされるような悪人は出ないので、ざまあはないです。 と思ったら、微ざまぁありになりました(汗)

チョイス伯爵家のお嬢さま

cyaru
恋愛
チョイス伯爵家のご令嬢には迂闊に人に言えない加護があります。 ポンタ王国はその昔、精霊に愛されし加護の国と呼ばれておりましたがそれももう昔の話。 今では普通の王国ですが、伯爵家に生まれたご令嬢は数百年ぶりに加護持ちでした。 産まれた時は誰にも気が付かなかった【営んだ相手がタグとなって確認できる】トンデモナイ加護でした。 4歳で決まった侯爵令息との婚約は苦痛ばかり。 そんな時、令嬢の言葉が引き金になって令嬢の両親である伯爵夫妻は離婚。 婚約も解消となってしまいます。 元伯爵夫人は娘を連れて実家のある領地に引きこもりました。 5年後、王太子殿下の側近となった元婚約者の侯爵令息は視察に来た伯爵領でご令嬢とと再会します。 さて・・・どうなる? ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

政略結婚の指南書

編端みどり
恋愛
【完結しました。ありがとうございました】 貴族なのだから、政略結婚は当たり前。両親のように愛がなくても仕方ないと諦めて結婚式に臨んだマリア。母が持たせてくれたのは、政略結婚の指南書。夫に愛されなかった母は、指南書を頼りに自分の役目を果たし、マリア達を立派に育ててくれた。 母の背中を見て育ったマリアは、愛されなくても自分の役目を果たそうと覚悟を決めて嫁いだ。お相手は、女嫌いで有名な辺境伯。 愛されなくても良いと思っていたのに、マリアは結婚式で初めて会った夫に一目惚れしてしまう。 屈強な見た目で女性に怖がられる辺境伯も、小動物のようなマリアに一目惚れ。 惹かれ合うふたりを引き裂くように、結婚式直後に辺境伯は出陣する事になってしまう。 戻ってきた辺境伯は、上手く妻と距離を縮められない。みかねた使用人達の手配で、ふたりは視察という名のデートに赴く事に。そこで、事件に巻き込まれてしまい…… ※R15は保険です ※別サイトにも掲載しています

処理中です...