虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

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やり直しの人生

優しい家族

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 私が記憶喪失と判断されてから・・・
数日はベッドから出ることすら許可されなかった。

 国王陛下も王妃殿下も王太子殿下も、毎日部屋を訪れてくれ、記憶がないことに寂しそうにしながら目覚めたことを心から喜んでくれた。

「レティーナ、本当に大丈夫?もう少し休んでいたほうが・・・」

「大丈夫です、ラウルお兄様。少しお庭を歩くだけですわ」

 私に日傘をさして、心配そうに声をかけてくるのは、ラウル・ファンブルク王太子殿下。
 レティーナの五歳年上の兄である。

 父親であるジーク・ファンブルク国王陛下の青い瞳と、母親であるセリーナ・ファンブルク王妃殿下の金色の髪を持った、優しい兄だ。

 両親にも兄にも可愛がられていた様子のレティーナが何故倒れたのか、今のところ全くわからない。

 家族や使用人に問題があるようには見えないから、予想としては原因は婚約者だろうか。

 公爵令嬢だった時も、家族には大切にしてもらっていたけど、婚約者が残念だった。

 いや、まぁ、最終的には婚約者のアズリル殿下も、そのお相手のキャス様も、良い方だとは思えたけど。

 私が死んでしまったことで、彼らの幸せな未来に影が差さなければいいのに、と思う程度には彼らに好意を持てていた。

 今回のレティーナは王女だし、齢十歳となれば、婚約者がいる可能性は高い。

 まさか王女を邪険にするようなのがいるということ?

 うーん。
まぁ、世の中には妙な勘違いというか、馬鹿な人間がいることは間違いないし、可能性はなくもない。

 でも、この家族がそんな相手をレティーナの婚約者にしたりするかしら?

「レティーナ?大丈夫かい?やっぱり部屋で休んだほうが・・・」

「あ、ごめんなさい、ラウルお兄様。少し考え事をしていただけですの」

「考え事?」

「ええ。どうして私は倒れたのかと」

 どうやら私は立ち止まっていたらしい。

 心配そうに私の顔を覗き込んでいたラウルお兄様が、なるほどと頷く。

 後ろからはちゃんと護衛と侍女が付いてきていて、侍女のセレナなどは日傘が傾くたびにアワアワとしている。

「僕も詳しくはわからないけど、レティーナは父上から婚約の話を聞いて、そのあと倒れたらしい」

「え?そうなのですか?」

「うん。でも、相手の名前も何もまだ言う前だったらしい。だから、どうしてレティーナが倒れたのかははっきりは分からないんだ」

「婚約・・・」

 名前を聞く前だったというなら、相手が嫌だったというわけではないだろう。
 ならば考えられるのは、他に好きな相手でもいた?
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