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第三章 近づく心
章閑話—7 アズベルトの考察
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『カナ』という女性は興味が尽きない。
側に置くと決めた途端に、側にいるのが当たり前になった。
カナリアもそうだったが、カナもまたころころと表情が変化し、よく笑った。
そんな愛らしい表情をよく見せて欲しくて覗くのだが、頬を染めて視線を外されてしまう。が、そんな姿もまた可愛らしい。
料理が、特にお菓子を作るのが好きなようで、外でお茶をしたいと提案されその茶菓子を作りたいと言った為に、作っている様子を見せてもらった。
慣れない器具に戸惑う様子も見られたが、使う材料全てを計量し作業にも無駄が無かった。改めてプレゼントしたエプロンは気に入ってもらえただろうか。本宅の女性達に聞いて選んだが、カナはフリルが多い事を気にしているようだ。似合っているのだから気にする事など何も無いというのに。
「見られると恥ずかしい」と言って恥じらう彼女に、見惚れてしまったと言ったが、本当だ。
わざわざ丁寧に計量していた理由を問うと、それが当たり前なのだという答えが返って来た。カナの世界ではそれが常識だったのだ。
確かに分量を決め、きちんと計り、それを記録しておけば、何度でも同じ味で作る事が出来る。料理はその道に精通している者が作るものだという頭しかなかった我々にとっては、目から鱗の話だった。この方法ならばその限りではないし、量産しても口伝よりは誤差が少なく済むだろう。その手法は大いに使えるなと考えた。
新しく領地となるオラシオン。カナリアの故郷だが、そこでは農業が盛んに行われており、良質な作物が良く収穫出来る。しかし、その殆どを輸出品として出荷に回してしまう為、現地はおろか隣であるフォーミリオでもあまり出回る事がない。
これらの事案について頭を悩ませていたところだったが、カナのおかげで漠然とだが何かが掴めた気がした。統合にあたって何か目玉となる取り組みを、と考えていたが、今度の視察には里帰りも兼ねて同行してもらおうか。
突然、別荘にゲネシスが訪れた。
王室付魔導師は多忙だ。会う為の約束を取り付けるだけでも多大な時間を要する事もある。
しかも訪れた際、これから遠出するところなのだと話していた。朝の早い時間での訪問だった事は驚いたが、時間の無い中わざわざ足を運んでくれたというのだ。随分と心配を掛けてしまった事に申し訳ない気持ちと、カナの事も含め気に掛けてくれていた喜びに拝謝の気持ちが湧き起こる。
カナとの雑談の中で、探究心を大いに刺激される話を聞けたと喜んでいた事も、わざわざ時間を作ってくれた甲斐があったというところだろうか。時間が足りず、王室付魔導師に改めて機会を設けるとまで言わしめた日本と言う国は、なかなかに興味の尽きない場所のようだ。是非とも一度訪れてみたいものだ。
それにしても、何故こんな朝早く、わざわざ時間を作ってまで……と思っていたら、彼から魔道具を渡された。カナの前では『婚約の祝い』などと言っていたが、見据えた先の彼の瞳の奥が揺らいだ。
『何か見た』らしい。しかも、『気を付けてやって欲しい』なんて、よりによってカナに関する事のようだ。
何と言う事だ……
近々王城で晩餐会が開かれる。先触れも出さずに訪れたと言うことは、その『何か』が近い将来であることがわかる。今の時点で可能性として考えられるのはこれだ。……確かに、可能性は高い。
もしもカナにまで何かあったら……そんな事は考えられないし、考えたくもない。
もう二度とあんな思いはしたくない。……カナにも、させたくない。
魔道具の事もあり、夜会へは一人で参加する事にした。婚約者がいる場合はパートナー同伴が望ましいが、今回ばかりは何を言われようともカナを連れていく訳にはいかない。
元々体調が悪かった事もあり、ここ数年は俺自身が顔を出していなかった。
しかし結婚が本決まりになり、領地の統合の事もある。今回は出席しなければならないだろう。
カナには申し訳なかったが、適当な理由をつけて今回は留守番を頼んだ。念には念を入れ、普段は呼ばない執事を三人、護衛として泊まらせる事にする。心配でならなかったが、くれぐれも頼むと念を押して屋敷を出た。
城で開かれる夜会には久しぶりの参加となった。絢爛豪華な催しも、今日はいつもに増して苦痛でしかなかった。
その理由はわかりきっている。
国中から集まっているのか、紳士も淑女も各々が派手に着飾り王族主催の煌びやかな夜会に華を添えている。あちこちで咽せ返るような高価な香水を振り撒き、色鮮やかで豪華なドレスに身を包んだ令嬢に声を掛けられたが、誰一人として視界にも記憶にも残らなかった。行き遅れた侯爵が嫁探しに来たとでも思っているのだろう。やはりカナを連れて来なかったのは正解だった。
いや……もしもここに彼女がいたらどうだっただろう。
彼女が隣で琥珀色のドレスや装飾品に身を包み、自分の腕にその手を絡めて微笑んでくれたら……
ただの想像だ。それなのに身体中の血が沸くようで、気を付けていなければ口元が緩んでしまいそうだった。
いつも隣にいる筈の人がいないと言うのは、それだけで気分が沈んでしまう。少し離れただけなのに、国が誇る絢爛豪華な夜会ですら虚しく感じた。
必要な挨拶だけ済ませて早々に帰ろう。
そう思うのに、何でこいつらの話はこんなに長いんだ……
やっと声を掛けておきたい人物に接触し、ジルとも顔を合わせる事が出来たところで会場を後にしようとした時だ。
「アズ様!!」
早くカナのところへ帰りたいと言うのに、馴れ馴れしく愛称で呼び止める令嬢に足を止めた。
「どちらへ行かれるのですか? よければご一緒しても……」
「いえ。もう帰るところですので」
先程言葉を交えた令嬢の一人だったか。大きな瞳に真っ赤な紅が映えた若い令嬢だった。
「そんな!! 私アズ様ともっとお話ししたくて」
「ご令嬢」
彼女を振り返り、目を合わせた事で興味を示したと思われたのか、彼女がさらに距離を詰めてくる。
「ラフィカ・ビエントですわ。ビエント辺境伯の娘にございます。どうぞラフィカとお呼びください」
「ビエント令嬢。私は近しい者以外に愛称で呼ぶ事を許した事はありません。周りに誤解されるような言動は謹んで頂けますか?」
「っ! ……ごめんなさい、そんなつもりでは……」
あからさまに肩を落とし、今にも涙を落としそうな瞳が見上げてくる。この令嬢も可愛らしい人だとは思うが、普段から本物の天使を目にしているからだろうか。あざとさが見え透いてしまい、眼前の令嬢の言動を素直に受け取る事が出来なかった。
「ご理解頂けたなら結構。では、帰りを待っている人がおりますので」
「……それって、ベッドから起き上がる事も出来なくなったという婚約者の事ですの?」
「……」
一度外した視線を、ゆっくりと彼女へ戻した。ついつい冷ややかな眼差しを送ってしまったが、令嬢にはそれは意にも介さない事のようだ。
「アズ、ベルト様。侯爵領はここ数年で軌道に乗ってきていると伺いました。地位を盤石なものにする為にも、一刻も早く身を固めた方がよろしいかと思います」
若い令嬢と思いきや、他の領地の事もよく勉強しているようだ。それに関しては評価しよう。だが……
「耳の痛いお話しです。ですが心配には及ばない。近々式を挙げる予定なので」
「え……? だって、もうすぐ」
「何か勘違いされているようだが、カナリアはもうすっかり回復しております。今夜連れて来なかったのは、式の為に万全を期しての事です」
「っ……だとしても、そのように身体の弱い方では——」
「カナは……十分やってくれていますよ。彼女の代わりなんて、世界中探してもどこにもいないでしょう。……どこにも、ね」
時計の針が真夜中を指し示す前に屋敷へと辿り着く。
先に休んでいいと言ったのだ。カナはさすがに眠ってしまっただろう。
直ぐにでも顔を見に行きたかったが、こんなに酒と香水の匂いをさせていたら、きっと不快な思いをさせるだろう。そう考えて手早く湯浴みを済ませた。
寝室に向かうと、広いベッドの端の方で彼女が眠っているのが目に入る。広いベッドを広々と使わないところも何だか彼女らしくて、思わず笑みが零れた。おでこに口づけようとして涙の跡を見つけた。何かあっただろうかと心がざわめく。起こすだろうと分かって顔に触れた。
案の定目を覚ましたカナは、自分が涙を流していた事に気が付いていないようだった。
「アズが居なくて、寂しかった……」
そう言って、頬に触れた手に擦り寄った彼女に、理性なんて吹き飛んでしまった。
今夜は酒のせいにしてしまおう。
全部酒のせいにして、溶けてしまいそうな程熱くなった彼女の身体を抱き締めた。
この世でたった一人のかけがえのない人
どうか溶けて無くならないで
俺の前から消えて無くならないで
どうやら俺は……君無しではとても生きていけそうにないんだ
側に置くと決めた途端に、側にいるのが当たり前になった。
カナリアもそうだったが、カナもまたころころと表情が変化し、よく笑った。
そんな愛らしい表情をよく見せて欲しくて覗くのだが、頬を染めて視線を外されてしまう。が、そんな姿もまた可愛らしい。
料理が、特にお菓子を作るのが好きなようで、外でお茶をしたいと提案されその茶菓子を作りたいと言った為に、作っている様子を見せてもらった。
慣れない器具に戸惑う様子も見られたが、使う材料全てを計量し作業にも無駄が無かった。改めてプレゼントしたエプロンは気に入ってもらえただろうか。本宅の女性達に聞いて選んだが、カナはフリルが多い事を気にしているようだ。似合っているのだから気にする事など何も無いというのに。
「見られると恥ずかしい」と言って恥じらう彼女に、見惚れてしまったと言ったが、本当だ。
わざわざ丁寧に計量していた理由を問うと、それが当たり前なのだという答えが返って来た。カナの世界ではそれが常識だったのだ。
確かに分量を決め、きちんと計り、それを記録しておけば、何度でも同じ味で作る事が出来る。料理はその道に精通している者が作るものだという頭しかなかった我々にとっては、目から鱗の話だった。この方法ならばその限りではないし、量産しても口伝よりは誤差が少なく済むだろう。その手法は大いに使えるなと考えた。
新しく領地となるオラシオン。カナリアの故郷だが、そこでは農業が盛んに行われており、良質な作物が良く収穫出来る。しかし、その殆どを輸出品として出荷に回してしまう為、現地はおろか隣であるフォーミリオでもあまり出回る事がない。
これらの事案について頭を悩ませていたところだったが、カナのおかげで漠然とだが何かが掴めた気がした。統合にあたって何か目玉となる取り組みを、と考えていたが、今度の視察には里帰りも兼ねて同行してもらおうか。
突然、別荘にゲネシスが訪れた。
王室付魔導師は多忙だ。会う為の約束を取り付けるだけでも多大な時間を要する事もある。
しかも訪れた際、これから遠出するところなのだと話していた。朝の早い時間での訪問だった事は驚いたが、時間の無い中わざわざ足を運んでくれたというのだ。随分と心配を掛けてしまった事に申し訳ない気持ちと、カナの事も含め気に掛けてくれていた喜びに拝謝の気持ちが湧き起こる。
カナとの雑談の中で、探究心を大いに刺激される話を聞けたと喜んでいた事も、わざわざ時間を作ってくれた甲斐があったというところだろうか。時間が足りず、王室付魔導師に改めて機会を設けるとまで言わしめた日本と言う国は、なかなかに興味の尽きない場所のようだ。是非とも一度訪れてみたいものだ。
それにしても、何故こんな朝早く、わざわざ時間を作ってまで……と思っていたら、彼から魔道具を渡された。カナの前では『婚約の祝い』などと言っていたが、見据えた先の彼の瞳の奥が揺らいだ。
『何か見た』らしい。しかも、『気を付けてやって欲しい』なんて、よりによってカナに関する事のようだ。
何と言う事だ……
近々王城で晩餐会が開かれる。先触れも出さずに訪れたと言うことは、その『何か』が近い将来であることがわかる。今の時点で可能性として考えられるのはこれだ。……確かに、可能性は高い。
もしもカナにまで何かあったら……そんな事は考えられないし、考えたくもない。
もう二度とあんな思いはしたくない。……カナにも、させたくない。
魔道具の事もあり、夜会へは一人で参加する事にした。婚約者がいる場合はパートナー同伴が望ましいが、今回ばかりは何を言われようともカナを連れていく訳にはいかない。
元々体調が悪かった事もあり、ここ数年は俺自身が顔を出していなかった。
しかし結婚が本決まりになり、領地の統合の事もある。今回は出席しなければならないだろう。
カナには申し訳なかったが、適当な理由をつけて今回は留守番を頼んだ。念には念を入れ、普段は呼ばない執事を三人、護衛として泊まらせる事にする。心配でならなかったが、くれぐれも頼むと念を押して屋敷を出た。
城で開かれる夜会には久しぶりの参加となった。絢爛豪華な催しも、今日はいつもに増して苦痛でしかなかった。
その理由はわかりきっている。
国中から集まっているのか、紳士も淑女も各々が派手に着飾り王族主催の煌びやかな夜会に華を添えている。あちこちで咽せ返るような高価な香水を振り撒き、色鮮やかで豪華なドレスに身を包んだ令嬢に声を掛けられたが、誰一人として視界にも記憶にも残らなかった。行き遅れた侯爵が嫁探しに来たとでも思っているのだろう。やはりカナを連れて来なかったのは正解だった。
いや……もしもここに彼女がいたらどうだっただろう。
彼女が隣で琥珀色のドレスや装飾品に身を包み、自分の腕にその手を絡めて微笑んでくれたら……
ただの想像だ。それなのに身体中の血が沸くようで、気を付けていなければ口元が緩んでしまいそうだった。
いつも隣にいる筈の人がいないと言うのは、それだけで気分が沈んでしまう。少し離れただけなのに、国が誇る絢爛豪華な夜会ですら虚しく感じた。
必要な挨拶だけ済ませて早々に帰ろう。
そう思うのに、何でこいつらの話はこんなに長いんだ……
やっと声を掛けておきたい人物に接触し、ジルとも顔を合わせる事が出来たところで会場を後にしようとした時だ。
「アズ様!!」
早くカナのところへ帰りたいと言うのに、馴れ馴れしく愛称で呼び止める令嬢に足を止めた。
「どちらへ行かれるのですか? よければご一緒しても……」
「いえ。もう帰るところですので」
先程言葉を交えた令嬢の一人だったか。大きな瞳に真っ赤な紅が映えた若い令嬢だった。
「そんな!! 私アズ様ともっとお話ししたくて」
「ご令嬢」
彼女を振り返り、目を合わせた事で興味を示したと思われたのか、彼女がさらに距離を詰めてくる。
「ラフィカ・ビエントですわ。ビエント辺境伯の娘にございます。どうぞラフィカとお呼びください」
「ビエント令嬢。私は近しい者以外に愛称で呼ぶ事を許した事はありません。周りに誤解されるような言動は謹んで頂けますか?」
「っ! ……ごめんなさい、そんなつもりでは……」
あからさまに肩を落とし、今にも涙を落としそうな瞳が見上げてくる。この令嬢も可愛らしい人だとは思うが、普段から本物の天使を目にしているからだろうか。あざとさが見え透いてしまい、眼前の令嬢の言動を素直に受け取る事が出来なかった。
「ご理解頂けたなら結構。では、帰りを待っている人がおりますので」
「……それって、ベッドから起き上がる事も出来なくなったという婚約者の事ですの?」
「……」
一度外した視線を、ゆっくりと彼女へ戻した。ついつい冷ややかな眼差しを送ってしまったが、令嬢にはそれは意にも介さない事のようだ。
「アズ、ベルト様。侯爵領はここ数年で軌道に乗ってきていると伺いました。地位を盤石なものにする為にも、一刻も早く身を固めた方がよろしいかと思います」
若い令嬢と思いきや、他の領地の事もよく勉強しているようだ。それに関しては評価しよう。だが……
「耳の痛いお話しです。ですが心配には及ばない。近々式を挙げる予定なので」
「え……? だって、もうすぐ」
「何か勘違いされているようだが、カナリアはもうすっかり回復しております。今夜連れて来なかったのは、式の為に万全を期しての事です」
「っ……だとしても、そのように身体の弱い方では——」
「カナは……十分やってくれていますよ。彼女の代わりなんて、世界中探してもどこにもいないでしょう。……どこにも、ね」
時計の針が真夜中を指し示す前に屋敷へと辿り着く。
先に休んでいいと言ったのだ。カナはさすがに眠ってしまっただろう。
直ぐにでも顔を見に行きたかったが、こんなに酒と香水の匂いをさせていたら、きっと不快な思いをさせるだろう。そう考えて手早く湯浴みを済ませた。
寝室に向かうと、広いベッドの端の方で彼女が眠っているのが目に入る。広いベッドを広々と使わないところも何だか彼女らしくて、思わず笑みが零れた。おでこに口づけようとして涙の跡を見つけた。何かあっただろうかと心がざわめく。起こすだろうと分かって顔に触れた。
案の定目を覚ましたカナは、自分が涙を流していた事に気が付いていないようだった。
「アズが居なくて、寂しかった……」
そう言って、頬に触れた手に擦り寄った彼女に、理性なんて吹き飛んでしまった。
今夜は酒のせいにしてしまおう。
全部酒のせいにして、溶けてしまいそうな程熱くなった彼女の身体を抱き締めた。
この世でたった一人のかけがえのない人
どうか溶けて無くならないで
俺の前から消えて無くならないで
どうやら俺は……君無しではとても生きていけそうにないんだ
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