暴走娘×ど天然？－六花の恋４－【完】

三 考えてなかった……！

side羽咲４

「由羽くんも羽咲ちゃんもいい子だよ」

にこっとして話す天使の笑顔の水都ちゃんに、毒気が抜かれていく。

唯浜も同じなのか、トゲトゲ感がなくなっていくように見えた。苦笑しながら水都ちゃんに言う。

「先輩を『いい子』って言い方していいのか？」

「由羽くんも赤ちゃんの頃から一緒だから、年上とかってあまり意味ないんだよねえ」

そうなんだよねえ。

嬉しいことに両親の友達が近いところにいるから、同じ年代の子供たち同士、幼馴染になれたんだ。

総真くんと出会えたのも、お父さんとお母さんが、想さんと美結さんと仲良しだったからだ。

……お父さんと美結さんの間には黒いものが漂うんだけど……。

お父さんの敵って女性が多いんだよね。謎。

「ま、藤沢。司が暴走しねーように頼むわ」

「はいはい。ユイはクラスのことで忙しいもんね」

「そうだよ。唯浜忙しいんだから私のことなんて放っておいていいんだよ」

「………」

唯浜は無言で離れていった。

そんな唯浜を優しい目で迎え入れる男子たち。

「ユイ、お前同情しちゃうよ……」

「いい子いい子してやるから」

「な？　ユイ、元気出せ」

……慰められている雰囲気の唯浜。

背の高い唯浜が頭撫でられている。落ち込むことでもあったのかな。

「話が思いっきり！　それてしまったけど。羽咲ちゃん」

「は、はいっ！」

急に声を張った水都ちゃんにびっくりして向き直った。

「総真くんに告白しようって思った？」