【完結済み】妹の婚約者に、恋をした

鈴蘭

文字の大きさ
1 / 16

溺愛される妹と、毛嫌いされる姉

しおりを挟む
 「本当に貴方は取り柄のない、つまらない子。どうしてもっと愛想良く出来ないの?父親にそっくりで、気持ち悪いわ」
 若干6歳の娘に対して実母が放った言葉は、深い傷となって私の心に突き刺さる。

 「お母様、そんな本当の事を言っては、お姉様が可哀想だわ」
 「可哀想なのは私です、こんな陰気臭い子が娘だなんて…デイジーは賢くて、愛らしいのに。姉妹でどうしてこんなに違うのかしら?」
 母の後ろで舌を出している2歳下の妹を見つめて、私は泣きそうになったのを我慢した。

 母は侯爵家の娘で、将来は格上の貴族へ嫁ぎたいと思っていた。
 当時思いを寄せていた、公爵令息も居たと、お婆様から聞いていたの。
 だけど、公爵夫人になる為の素養が身についていないと言われ、縁談は進まなかった。
 それどころか、格下になる伯爵令息だったお父様に嫁がされたわ。
 望まぬ結婚だった事もあり、お母様はお父様の何もかもが気に入らなく、夫婦仲は冷え切っているの。
 貴族の夫婦なんて、何処も似た様な物だけれど、父親に良く似た私まで毛嫌いされるなんて…
 それでも私は愛されたい一心で、母のご機嫌を取ろうとしていたわね。

 「お母様、ハンカチ…」
 「わたし、お母様の為に、一生懸命刺繍したのよ。まだまだ下手くそだけれど」
 「そんな事はないわ、デイジー、とても素敵なハンカチよ。一生の宝物にするわね、ご婦人達にも自慢しなくては」
 そう言って、私が母にプレゼントしようとしていたハンカチは、妹からのプレゼントだと誤解された。

 「お母様…」
 「レースでショールを編んだの。とても恥ずかしいのだけれど、お母様に似合うと思って…」
 モジモジしながら母に甘えた目を向ける妹を抱きしめて、私の手から奪ったショールを肩に掛け、満足そうに笑い合って居る母娘を眺めていた。

 「お母様、絵を描いたので、見て頂けませんか?コンテ…」
 何時も、何処で見ているのかと思う位素早く妹が割り込んできて、言葉を遮ってしまった。
 「私が描いたのよ、凄いでしょう。コンテストに応募したいの」
 母は目を輝かせて、妹の頭を撫でながら、絶賛している。
 「デイジー、とても素晴らしいわ、貴方は私の自慢よ。早速応募しましょう」
 その絵は、見事、最優秀賞に輝いた。
 私は複雑な心境で、豪華な額縁に入れられ、玄関ホールに飾られた絵を見ている。

 「描いたのは、私なのに…」
 そんな呟き等、誰も聞いてはくれない。

 こんな事は、日常茶飯事だ。

 この家は母を中心に回っているのだから、父親に似てしまって毛嫌いされた私を、気に留める者なんて居ないわね。

 母は、自分にそっくりな妹を溺愛している。
 その為か、妹の言葉は全て真実で、私の言葉は全て偽りとされた。

 初めのうちは反論もしていたけれど、無駄な事だと分かってからは、只我慢する事しか出来なかった。
 私が刺した刺繍も、編んだレースも、描いた絵も全てが妹の作品になってしまった。
 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

貴方でなくても良いのです。

豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。

愛する義兄に憎まれています

ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。 義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。 許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。 2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。 ふわっと設定でサクっと終わります。 他サイトにも投稿。

貴方の運命になれなくて

豆狸
恋愛
運命の相手を見つめ続ける王太子ヨアニスの姿に、彼の婚約者であるスクリヴァ公爵令嬢リディアは身を引くことを決めた。 ところが婚約を解消した後で、ヨアニスの運命の相手プセマが毒に倒れ── 「……君がそんなに私を愛していたとは知らなかったよ」 「え?」 「プセマは毒で死んだよ。ああ、驚いたような顔をしなくてもいい。君は知っていたんだろう? プセマに毒を飲ませたのは君なんだから!」

さよなら初恋。私をふったあなたが、後悔するまで

ミカン♬
恋愛
2025.10.11ホットランキング1位になりました。夢のようでとても嬉しいです! 読んでくださって、本当にありがとうございました😊 前世の記憶を持つオーレリアは可愛いものが大好き。 婚約者(内定)のメルキオは子供の頃結婚を約束した相手。彼は可愛い男の子でオーレリアの初恋の人だった。 一方メルキオの初恋の相手はオーレリアの従姉妹であるティオラ。ずっとオーレリアを悩ませる種だったのだが1年前に侯爵家の令息と婚約を果たし、オーレリアは安心していたのだが…… ティオラは婚約を解消されて、再びオーレリア達の仲に割り込んできた。 ★補足:ティオラは王都の学園に通うため、祖父が預かっている孫。養子ではありません。 ★補足:全ての嫡出子が爵位を受け継ぎ、次男でも爵位を名乗れる、緩い世界です。 2万字程度。なろう様にも投稿しています。 オーレリア・マイケント 伯爵令嬢(ヒロイン) レイン・ダーナン 男爵令嬢(親友) ティオラ (ヒロインの従姉妹) メルキオ・サーカズ 伯爵令息(ヒロインの恋人) マーキス・ガルシオ 侯爵令息(ティオラの元婚約者) ジークス・ガルシオ 侯爵令息(マーキスの兄)

「庶子」と私を馬鹿にする姉の婚約者はザマァされました~「え?!」

ミカン♬
恋愛
コレットは庶子である。12歳の時にやっと母娘で父の伯爵家に迎え入れられた。 姉のロザリンは戸惑いながらもコレットを受け入れて幸せになれると思えたのだが、姉の婚約者セオドアはコレットを「庶子」とバカにしてうざい。 ロザリンとセオドア18歳、コレット16歳の時に大事件が起こる。ロザリンが婚約破棄をセオドアに突き付けたのだ。対して姉を溺愛するセオドアは簡単に受け入れなかった。 姉妹の運命は?庶子のコレットはどうなる? 姉の婚約者はオレ様のキモくて嫌なヤツです。不快に思われたらブラウザーバックをお願いします。 世界観はフワッとしたありふれたお話ですが、ヒマつぶしに読んでいただけると嬉しいです。 他サイトにも掲載。 完結後に手直しした部分があります。内容に変化はありません。

【完結】消えた姉の婚約者と結婚しました。愛し愛されたかったけどどうやら無理みたいです

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベアトリーチェは消えた姉の代わりに、姉の婚約者だった公爵家の子息ランスロットと結婚した。 夫とは愛し愛されたいと夢みていたベアトリーチェだったが、夫を見ていてやっぱり無理かもと思いはじめている。 ベアトリーチェはランスロットと愛し愛される夫婦になることを諦め、楽しい次期公爵夫人生活を過ごそうと決めた。 一方夫のランスロットは……。 作者の頭の中の異世界が舞台の緩い設定のお話です。 ご都合主義です。 以前公開していた『政略結婚して次期侯爵夫人になりました。愛し愛されたかったのにどうやら無理みたいです』の改訂版です。少し内容を変更して書き直しています。前のを読んだ方にも楽しんでいただけると嬉しいです。

【完結】氷の令嬢は愛を請わない - 捨て子の『義妹』に愛も家族も奪われたマリーローズの逆襲

恋せよ恋
恋愛
銀髪紫眼の美貌の侯爵令嬢、マリーローズ。 完璧な淑女に育った彼女だったが、母は捨て子ジュリエットを寵愛。 婚約者の公爵家嫡男アレックスも、友人も、次々に奪われる――。 家族に裏切られ、すべてを失った彼女が下した決断は、 家族を見かぎり、国を捨て、自らの人生を取り戻すこと。 理不尽な悲恋を力に変え、運命をひっくり返す令嬢の逆転劇! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました

つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。 けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。 会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……

処理中です...