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俺様は、自由を謳歌する宣言をした(テオドール・フェナジン視点)
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「いいか、良く聞けリーゼ。一度しか言わないぞ。俺は学園に入ったら、青春を謳歌する。その為には、お前との婚約が邪魔になる。故に正式な婚約は、学園を卒業してから結ぶ事にした。しかし借りとはいえ、お前は俺の婚約者に違いはない。俺は遊ぶが、お前は遊ぶ事を許さない。いいか、他の男と親しくする事は、絶対に許さないからな」
リーゼとは学園へ入る前に正式な婚約を結ぶ予定だったが、親父に頼み込んで卒業後にして貰ったんだ。
俺だって男だ、一人の女に縛られず、ハーレムというものを経験してみたい気持ちがある。
そして、男としての経験を積み上げたい、ただそれだけだ。
目の前で言葉を失っている彼女の事が、気に入らない訳ではない。
むしろリーゼは、初対面の時から俺の好みなんだ。
幼い頃に参加した花祭りで、一緒に踊ったあの日に俺は、彼女に一目惚れをした。
また会える日が来るとは思っていなかったから、随分と大人っぽくなったリーゼと再会をした時に、これは神様が与えてくれた運命だと天にも昇る気持ちだったんだ。
それなのにリーゼは、俺の事など覚えてもいなかったから、悔しくてちょっと意地悪をしたくなったのもある。
将来結婚する事は決定事項なのだから、婚約期間が少し短くなるくらい、何の問題もないだろう。
気掛かりなのは、学園生活でのリーゼの行動だ。
儚い見た目は男の庇護欲をそそり、伯爵家の跡取りとしての教育もきちんと施された、立派な淑女でもある。
成績も良いからな、ほっとけば婿養子の座を狙ったハイエナの様な奴らが、群がってくる事は簡単に想像が付く。
悪い虫が付いて万が一の事があっては大変だと思うが、結婚して自分の物になる事が分かっているのに、今から四六時中一緒に過ごす事もないだろう。
リーゼには浮気をしない様にしっかりと釘を刺し、毎日学園での報告をするように言っておけば、俺に逆らえない事も知っている。
弱みに付け込んでいると思われるだろうが、嫡男の俺が伯爵家の婿養子に入ってやるのだから、この程度のわがままくらいは許されるだろう。
だから俺は、我慢はしないで、自由に学園生活を楽しむ事にした。
リーゼは、どんな表情も可愛い。
本人は上手く笑顔を作っているつもりなんだろうが、相当驚いているのが手に取るように分かる。
「どうしたリーゼ。驚き過ぎて、返事も出来ないのか?それとも、俺の意見に不満でもあるのか?」
「いえ………その、テオドール様。私は…」
言いかけたまま、黙ってしまった。
そんなに驚く事でもないだろう、それとも何か、理由があるのか?
「黙っていないで、ハッキリ言ったらどうだ」
「いえ、何でもありません。この事は、男爵様も了承済なのですよね?お父様には、お話されたのでしょうか」
「当然だろう。家同士の決め事を、俺の独断で変えられる筈がない」
「そうですか。では、学園でテオドール様にお会いした時は、どう対応したら良いのでしょうか?私たちの関係を知っている方もおりますし、見知らぬ者として過ごす事は、難しいと思います」
やっぱりリーゼは、賢くて可愛いな。
文句を言いたい様だが、淑女としての矜持が許さないのだろう。
貴族というのは、本当に面倒くさい生き物だな…
平民として自由に生きてきた俺にとっては、社交界なんて窮屈な世界にしか思えない。
「別に隠す必要はないだろう。卒業したら、直ぐに結婚をするのだからな。だが、態々広める必要もない。俺が話しかけない限り、お前からは声を掛けに来るな。鬱陶しく付き纏ったりされるのも不愉快だ。しかし学園内で会う事があれば、避ける必要はない。そうだな、挨拶くらいなら許してやるぞ」
「承知致しました」
文句を言いたそうにしている表情も、大人しく従う姿も本当に可愛いと思う。
こんなに可愛く愛おしいと思っているのに、結婚まで指一本触れられないのが辛い。
リーゼは、俺とは政略結婚だと思っているみたいだが、俺にとっては恋愛結婚なんだ。
だから学園を卒園して結婚したら、思う存分リーゼを溺愛してやろうと考えている。
こう見えて俺は一途だからな、それで学園時代のお遊びは、チャラだ。
「心配するなって。遊ぶといっても、上辺だけだからな。子供が出来ない様に気を付けるが、出来たとしても認知はしない。それだけは約束してやる」
「はい…?」
今度は疑問形か?目を見開いて、驚いている姿も可愛いな。
抱き締められないのが唯一の不満だが、由緒正しい伯爵家の令嬢なのだから、結婚するまでは我慢してやる。
その為には、欲求不満を他で発散させる必要があるんだ。
男の都合という奴だが、それを女性に理解しろとは言わない。
しつこいくらい何度も言うが、貴族という奴等は、相当面倒臭い生き物だ。
平民たちは、好みの相手と触れ合う事を、当たり前の様にやっているというのに…
元々住む世界が違うからな、文句を言っても仕方がないか。
俺の親父は、一代で王国でも屈指の富豪と呼ばれる富を築いた大商人だ。
商売の為に、男爵位を金で買ったので貴族になりたてだが、だいたいの常識くらいは弁えているつもりだ。
平民として生きてきた俺が、ある日突然貴族になった事には驚いたが、特に生活が変る事もないと思っていた。
しかし、親父が決めた伯爵家の令嬢の元へ婿に行けと言われた時は、俺の人生お先真っ暗だと嘆いたな。
相手がリーゼだったから、ここまで譲歩してやる事が出来たんだ、有難く思うべきだろう。
伯爵家の婿として、本格的に生きる前のちょっとした火遊びくらい、楽しむ権利が俺にはある。
貴族として学園に通わなくてはならなくなったのは憂鬱でしかなかったが、少しずつ慣れていけばいいだろう。
学園には優秀な平民も入って来ると聞いているし、貴族令嬢と違って平民の女の子が相手なら遊び放題だ。
明日の入園式が、楽しみになってきた。
どんな女の子が居るのだろう?考えただけで胸が躍る。
しかし、浮かれてばかりもいられないだろう。
リーゼに限って浮気などしないとは思うが、もう一度釘を刺しておくか。
用心に越した事は、ないからな。
「もう一度確認しておく、お前が俺以外の男と親しくする事は、絶対に許さない。分かっているな」
「………はい」
不満そうだな、当たり前か。
そうだ、良い事を思いついたぞ。
「お前には、監視を付ける事にした。明日から、伯爵邸に俺のところの護衛を一人送るから、勝手に出かけたりするなよ。分かったか」
「え?」
「聞こえなかったのか?」
「監視とは、何の為のでしょうか?」
「お前に、変な虫が付かない様にする為だ」
「それは、通園時のみと、いう事でしょうか?」
「何を言っている。それでは、意味がないだろう。学園内にいる時が、一番怪しいのだからな」
「テオドール様。学園に部外者を連れて行くのは、禁止されておりますわ。学年は違いますが、王太子殿下も通われているのです。伯爵家の娘如きに護衛などを付けては、謀反を疑われてしまいます」
「謀反?王族と縁戚である伯爵家が、そんな事をする筈がないだろう」
「縁戚といっても、王家に嫁いだ娘がいたのは、百年以上も前の事ですわ。今は、何の関係もないに等しいと、何度もお話をしたではありませんか」
「それでも、王妃になった娘がいた事に、変わりはないだろう。小難しく考えるな」
「建国当初から続く貴族家ならば、ご先祖様の中に王家と係わりがある者の一人や二人はいるものです。そんな事など、今はどうでも宜しいですわね。問題は、周りの方がどう噂をするかなのですよ」
「また噂かよ。貴族とは、本当に面倒臭い生き物だな」
「私が、連れて来た護衛に命令をして、王太子殿下に害を及ぼす事を企てていると考える方もいるのです。何処で足元を掬われるか分からないのですから、常に行動には細心の注意を………」
「分かった、分かった。そんなに言うなら護衛は止めてやるが、同じクラスの奴に見張らせるからな」
「分かりました。テオドール様の気が済むのでしたら、ご自由になさって下さい。ですが見られては恥ずかしい事もありますので、女性しか入れない場所への見張りは、殿方には頼まぬ様お願い致します」
「当たり前だろう!男に見張りなど頼む訳がない。お前…勉強は得意なのに、頭は賢くないのだな」
「………申し訳ありません」
「別に構わないさ。俺の言う事を、きちんと守ってくれるなら、文句は言わない。分かったか」
「はい」
俺は顔が広いからな、誰か知り合いの娘がいるだろうから、そいつに見張らせるか。
リーゼとは学園へ入る前に正式な婚約を結ぶ予定だったが、親父に頼み込んで卒業後にして貰ったんだ。
俺だって男だ、一人の女に縛られず、ハーレムというものを経験してみたい気持ちがある。
そして、男としての経験を積み上げたい、ただそれだけだ。
目の前で言葉を失っている彼女の事が、気に入らない訳ではない。
むしろリーゼは、初対面の時から俺の好みなんだ。
幼い頃に参加した花祭りで、一緒に踊ったあの日に俺は、彼女に一目惚れをした。
また会える日が来るとは思っていなかったから、随分と大人っぽくなったリーゼと再会をした時に、これは神様が与えてくれた運命だと天にも昇る気持ちだったんだ。
それなのにリーゼは、俺の事など覚えてもいなかったから、悔しくてちょっと意地悪をしたくなったのもある。
将来結婚する事は決定事項なのだから、婚約期間が少し短くなるくらい、何の問題もないだろう。
気掛かりなのは、学園生活でのリーゼの行動だ。
儚い見た目は男の庇護欲をそそり、伯爵家の跡取りとしての教育もきちんと施された、立派な淑女でもある。
成績も良いからな、ほっとけば婿養子の座を狙ったハイエナの様な奴らが、群がってくる事は簡単に想像が付く。
悪い虫が付いて万が一の事があっては大変だと思うが、結婚して自分の物になる事が分かっているのに、今から四六時中一緒に過ごす事もないだろう。
リーゼには浮気をしない様にしっかりと釘を刺し、毎日学園での報告をするように言っておけば、俺に逆らえない事も知っている。
弱みに付け込んでいると思われるだろうが、嫡男の俺が伯爵家の婿養子に入ってやるのだから、この程度のわがままくらいは許されるだろう。
だから俺は、我慢はしないで、自由に学園生活を楽しむ事にした。
リーゼは、どんな表情も可愛い。
本人は上手く笑顔を作っているつもりなんだろうが、相当驚いているのが手に取るように分かる。
「どうしたリーゼ。驚き過ぎて、返事も出来ないのか?それとも、俺の意見に不満でもあるのか?」
「いえ………その、テオドール様。私は…」
言いかけたまま、黙ってしまった。
そんなに驚く事でもないだろう、それとも何か、理由があるのか?
「黙っていないで、ハッキリ言ったらどうだ」
「いえ、何でもありません。この事は、男爵様も了承済なのですよね?お父様には、お話されたのでしょうか」
「当然だろう。家同士の決め事を、俺の独断で変えられる筈がない」
「そうですか。では、学園でテオドール様にお会いした時は、どう対応したら良いのでしょうか?私たちの関係を知っている方もおりますし、見知らぬ者として過ごす事は、難しいと思います」
やっぱりリーゼは、賢くて可愛いな。
文句を言いたい様だが、淑女としての矜持が許さないのだろう。
貴族というのは、本当に面倒くさい生き物だな…
平民として自由に生きてきた俺にとっては、社交界なんて窮屈な世界にしか思えない。
「別に隠す必要はないだろう。卒業したら、直ぐに結婚をするのだからな。だが、態々広める必要もない。俺が話しかけない限り、お前からは声を掛けに来るな。鬱陶しく付き纏ったりされるのも不愉快だ。しかし学園内で会う事があれば、避ける必要はない。そうだな、挨拶くらいなら許してやるぞ」
「承知致しました」
文句を言いたそうにしている表情も、大人しく従う姿も本当に可愛いと思う。
こんなに可愛く愛おしいと思っているのに、結婚まで指一本触れられないのが辛い。
リーゼは、俺とは政略結婚だと思っているみたいだが、俺にとっては恋愛結婚なんだ。
だから学園を卒園して結婚したら、思う存分リーゼを溺愛してやろうと考えている。
こう見えて俺は一途だからな、それで学園時代のお遊びは、チャラだ。
「心配するなって。遊ぶといっても、上辺だけだからな。子供が出来ない様に気を付けるが、出来たとしても認知はしない。それだけは約束してやる」
「はい…?」
今度は疑問形か?目を見開いて、驚いている姿も可愛いな。
抱き締められないのが唯一の不満だが、由緒正しい伯爵家の令嬢なのだから、結婚するまでは我慢してやる。
その為には、欲求不満を他で発散させる必要があるんだ。
男の都合という奴だが、それを女性に理解しろとは言わない。
しつこいくらい何度も言うが、貴族という奴等は、相当面倒臭い生き物だ。
平民たちは、好みの相手と触れ合う事を、当たり前の様にやっているというのに…
元々住む世界が違うからな、文句を言っても仕方がないか。
俺の親父は、一代で王国でも屈指の富豪と呼ばれる富を築いた大商人だ。
商売の為に、男爵位を金で買ったので貴族になりたてだが、だいたいの常識くらいは弁えているつもりだ。
平民として生きてきた俺が、ある日突然貴族になった事には驚いたが、特に生活が変る事もないと思っていた。
しかし、親父が決めた伯爵家の令嬢の元へ婿に行けと言われた時は、俺の人生お先真っ暗だと嘆いたな。
相手がリーゼだったから、ここまで譲歩してやる事が出来たんだ、有難く思うべきだろう。
伯爵家の婿として、本格的に生きる前のちょっとした火遊びくらい、楽しむ権利が俺にはある。
貴族として学園に通わなくてはならなくなったのは憂鬱でしかなかったが、少しずつ慣れていけばいいだろう。
学園には優秀な平民も入って来ると聞いているし、貴族令嬢と違って平民の女の子が相手なら遊び放題だ。
明日の入園式が、楽しみになってきた。
どんな女の子が居るのだろう?考えただけで胸が躍る。
しかし、浮かれてばかりもいられないだろう。
リーゼに限って浮気などしないとは思うが、もう一度釘を刺しておくか。
用心に越した事は、ないからな。
「もう一度確認しておく、お前が俺以外の男と親しくする事は、絶対に許さない。分かっているな」
「………はい」
不満そうだな、当たり前か。
そうだ、良い事を思いついたぞ。
「お前には、監視を付ける事にした。明日から、伯爵邸に俺のところの護衛を一人送るから、勝手に出かけたりするなよ。分かったか」
「え?」
「聞こえなかったのか?」
「監視とは、何の為のでしょうか?」
「お前に、変な虫が付かない様にする為だ」
「それは、通園時のみと、いう事でしょうか?」
「何を言っている。それでは、意味がないだろう。学園内にいる時が、一番怪しいのだからな」
「テオドール様。学園に部外者を連れて行くのは、禁止されておりますわ。学年は違いますが、王太子殿下も通われているのです。伯爵家の娘如きに護衛などを付けては、謀反を疑われてしまいます」
「謀反?王族と縁戚である伯爵家が、そんな事をする筈がないだろう」
「縁戚といっても、王家に嫁いだ娘がいたのは、百年以上も前の事ですわ。今は、何の関係もないに等しいと、何度もお話をしたではありませんか」
「それでも、王妃になった娘がいた事に、変わりはないだろう。小難しく考えるな」
「建国当初から続く貴族家ならば、ご先祖様の中に王家と係わりがある者の一人や二人はいるものです。そんな事など、今はどうでも宜しいですわね。問題は、周りの方がどう噂をするかなのですよ」
「また噂かよ。貴族とは、本当に面倒臭い生き物だな」
「私が、連れて来た護衛に命令をして、王太子殿下に害を及ぼす事を企てていると考える方もいるのです。何処で足元を掬われるか分からないのですから、常に行動には細心の注意を………」
「分かった、分かった。そんなに言うなら護衛は止めてやるが、同じクラスの奴に見張らせるからな」
「分かりました。テオドール様の気が済むのでしたら、ご自由になさって下さい。ですが見られては恥ずかしい事もありますので、女性しか入れない場所への見張りは、殿方には頼まぬ様お願い致します」
「当たり前だろう!男に見張りなど頼む訳がない。お前…勉強は得意なのに、頭は賢くないのだな」
「………申し訳ありません」
「別に構わないさ。俺の言う事を、きちんと守ってくれるなら、文句は言わない。分かったか」
「はい」
俺は顔が広いからな、誰か知り合いの娘がいるだろうから、そいつに見張らせるか。
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