9 / 9
【完結】最終話
しおりを挟む
相変わらず、ロイド殿下は、私の帰りを待ち伏せて来た。
「不思議な事に、書庫へは顔を出さないのよね…」
「それは、僕が結界を張っていますから、兄上は入って来る事が出来ないのです」
「そうだったの?」
「はい。僕達の会話は、外部には漏れない方が良いと思ったのですが…余計な事をしてしまったのでしょうか?」
「そんな事ないわ、凄く助かるもの。知られたら、実験体にされそうだし…」
「僕が実験体にしているとは、思わないのでしょうか?」
「え?」
「冗談ですよ、そんなに真面目な顔をされると、困ります」
フフッと、エド君は笑ったけれど、私には本気の発言に聞こえてしまった。
「あははは。そうだよね、ビックリした」
ちょっと気になったけれど、エド君がそんな酷い事をする訳無いもんね。
「そう言えば、最近ロイド殿下が鬱陶しい程付き纏って来るんだけれど、ミーシャとは上手く行ってないのかな?」
「聞いておりませんでしたか?彼女は学園を退学しましたよ」
「えっ?聞いて無いよ。退学になったの?」
「はい。彼女は魅了魔法を使って、兄上だけではなく、高位貴族の子息達迄陥落していた事が分かりました。これは重罪になりますから、全ての魔力を封印し、投獄されました。二度と日の目を見る事は無いでしょうね」
「そうなんだ…魅了魔法って、どうして分かったの?」
「思い出したくは無いでしょうが…貴方が彼女を噴水に落とそうとした時、駆け付けた教師が異変に気付きました。本来ならば止めるべきであろう側近達迄が、一人の女生徒を守ろうとしていたのですから。周りで見ていた生徒達からも、苦情が出ていた様です」
「魅了魔法に掛けられた人達は、どうなったの?」
「全員元に戻りましたが、婚約者との仲迄は戻せなく、破棄された者もおりましたよ。兄上の側近からも外されましたから、輝かしい将来は閉ざされましたね」
「ええ~それは…お気の毒って言うべきなの?」
「いいえ。信頼関係が揺ぎ無い物であれば、そもそも魅了等されないのですよ。心に隙を持っているから、入り込まれるのです。兄上も、未来の国王としての資質を疑われていますから…貴方…いえ、ローゼからの信頼を取り戻そうと、必死なのですよ」
「そうなんだ…もしもローゼが彼を見限ったら、どうなるの?」
「僕が王太子になります」
「だから、最近やたらとローゼの機嫌を、取りに来ているのね」
「遅いと思いますがね…兄上にとってローゼは、単なるコマにしか過ぎなかったのですよ」
そう言って、エド君は何処か遠い空を眺めていた。
それから少しして、王太子が交代すると言う噂を聞いた。
「ローゼ!お前はそれで良いのか。俺の事をずっと慕っていただろう。何故裏切った!」
「裏切ってはおりませんわ。不貞をしていたのは、ロイド殿下ではありませんか。人前であんな酷い事をされて、それでも貴方を慕い続けられると、何故その様に思われるのです?」
「あれは、魅了魔法に掛かっていて、俺の意思では無い」
「確かに、魅了魔法に掛かっていた事は聞きました。ですが、水を掛けたのは、紛れもなく殿下の意思ですわ。例え魅了されていたとしても、些かやり過ぎではございませんか?それとも、ローゼならば許してくれると、本気で思っておりましたか」
「それは…」
「これ以上お話する事はありませんので、私は失礼いたします」
確かに彼では、将来の事を考えたら不安になるわね。
王宮内ではロイドがローゼの機嫌を損ねたと、大きな噂になっていたから時間の問題だったようね。
婚約はロイドの有責で破棄になったから、彼の私財から公爵家に、多大な慰謝料が支払われた。
そして学園を卒業したら、魔法師として国に仕えるそうよ。
国王として輝かしい未来を歩む筈だった彼は、天地が一変してしまった事に項垂れてたようだけれど、陛下からの進言を素直に受け入れたみたい。
いくら魅了されていたからと言っても、婚約者に対してやり過ぎたのよ。
貴族令嬢と言うかご婦人達にもだけれど、女性に水を掛けた行為は、相当な不興を買ったわ。
男性陣からも白い目で見られたのだから、廃太子されて当然だったのね。
私を嘲笑していた貴族達も、気付いたら居なくなっていたから、何かしらのお咎めを受けたのだと思うわ。
そんな私は、新たにエド君と婚約を結び直す事になった。
「エド君、いるかしら?」
「ごきげんよう。婚約者になったのだから、エドと呼んではくれませんか?」
「それは私にではなく、本当のローゼちゃんに頼んで欲しいわ」
「そうですね」
「もう終わったのでしょう、私を元の世界に帰してくれる?」
「やはり、気が付いていたのですね」
「そうね…エド君には言いたい事が沢山あるけれど、私が居た元の時間に戻してくれるのなら、何も無かった事にするわ」
「そうですか、分かりました。本当に何も聞く事は無いのですか?」
「聞かなくても分かるもの」
「やはり、貴方は賢い方ですね。一年間、お付き合い下さり、ありがとうございました。そして身勝手な行動に付き合わせてしまった事も、深くお詫び致します。明日目覚めたら、必ず彼の元に戻って居ると、約束致しましょう。どうか、末永くお幸せに」
「貴方もね、エド君。ローゼちゃんを泣かせたら、今度は私が勝手にエド君を、引き寄せるわよ」
「ハハッ。貴方なら、やりかねませんね。肝に銘じておきます」
「ごきげんよう、さようならエド君。幸せになってね」
「ごきげんよう。貴方の幸福を、心から願っております」
そして私はローゼの自室に戻って、異世界での生活を振り返っていた。
ここでの持ち物は、何も持ち帰る事は出来ないけれど、置いて行く事は出来ると思う。
私はローゼ宛に、ずっと日記を書いていたの。
これを読んで、彼女が何を思うのかは、分からないけれど…
エド君の考えている事が、少しでも理解して貰えたらといいなと思うから。
だって、私をこの世界に呼んだのは、彼だったから。
きっと国をロイドに任せられないと言うのは建前で、ローゼちゃんの不幸を、見過ごす事が出来なかったんだろうね。
あのまま魅了魔法を解いて、二人が無事結婚したとしても、ロイドは多分同じ過ちを繰り返すと思う。
王太子では無くなったとしても、ローゼは迷う事無く、ロイドに付いて行く事も予想できる。
どうしてそこまで彼に執着しているのかは、分からないけれど…
優秀なローゼを、王妃に据えたいと思っていたのは、エド君だけじゃ無かったって事ね。
可哀想だけれど…
この世界の事に、これ以上私が干渉する事は出来ない。
ロイドから受けた仕打ちの数々を日記に残し、エド君に助けられた事もしっかり書いた。
最後に、彼女の幸せを心から願っている事も、忘れずにね。
そして、思い残す事もなく、私はこの世界に別れを告げて眠りに付いた。
「起きて、正弘起きて!」
「何、どうしたの?まだ四時だよ…」
「正弘、私を見て」
涙が溢れて来る。
「ん?怖い夢でも見たのか?大丈夫だから泣くなよ、これからも俺がずっと側に居るから、心配するな」
正弘がギュッと抱きしめてくれた、私は戻って来る事が出来たのよね?
左手の薬指には、正弘がくれた婚約指輪が輝いている。
一年振りに会う彼は、やっぱり優しくて、嬉しくて…
だけど、日付はちゃんと、私が異世界に行った日に戻っていた。
不思議な魔法を使うエド君が、約束をきちんと守ってくれたのね。
彼の暖かい腕の中で、私は無事に戻れた安堵感で涙が止まらなかった。
やっぱり、私の婚約者は、正弘じゃないと駄目なのよ。
おしまい
ここまで読んでくださり、ありがとうございました<(_ _)>感謝
「不思議な事に、書庫へは顔を出さないのよね…」
「それは、僕が結界を張っていますから、兄上は入って来る事が出来ないのです」
「そうだったの?」
「はい。僕達の会話は、外部には漏れない方が良いと思ったのですが…余計な事をしてしまったのでしょうか?」
「そんな事ないわ、凄く助かるもの。知られたら、実験体にされそうだし…」
「僕が実験体にしているとは、思わないのでしょうか?」
「え?」
「冗談ですよ、そんなに真面目な顔をされると、困ります」
フフッと、エド君は笑ったけれど、私には本気の発言に聞こえてしまった。
「あははは。そうだよね、ビックリした」
ちょっと気になったけれど、エド君がそんな酷い事をする訳無いもんね。
「そう言えば、最近ロイド殿下が鬱陶しい程付き纏って来るんだけれど、ミーシャとは上手く行ってないのかな?」
「聞いておりませんでしたか?彼女は学園を退学しましたよ」
「えっ?聞いて無いよ。退学になったの?」
「はい。彼女は魅了魔法を使って、兄上だけではなく、高位貴族の子息達迄陥落していた事が分かりました。これは重罪になりますから、全ての魔力を封印し、投獄されました。二度と日の目を見る事は無いでしょうね」
「そうなんだ…魅了魔法って、どうして分かったの?」
「思い出したくは無いでしょうが…貴方が彼女を噴水に落とそうとした時、駆け付けた教師が異変に気付きました。本来ならば止めるべきであろう側近達迄が、一人の女生徒を守ろうとしていたのですから。周りで見ていた生徒達からも、苦情が出ていた様です」
「魅了魔法に掛けられた人達は、どうなったの?」
「全員元に戻りましたが、婚約者との仲迄は戻せなく、破棄された者もおりましたよ。兄上の側近からも外されましたから、輝かしい将来は閉ざされましたね」
「ええ~それは…お気の毒って言うべきなの?」
「いいえ。信頼関係が揺ぎ無い物であれば、そもそも魅了等されないのですよ。心に隙を持っているから、入り込まれるのです。兄上も、未来の国王としての資質を疑われていますから…貴方…いえ、ローゼからの信頼を取り戻そうと、必死なのですよ」
「そうなんだ…もしもローゼが彼を見限ったら、どうなるの?」
「僕が王太子になります」
「だから、最近やたらとローゼの機嫌を、取りに来ているのね」
「遅いと思いますがね…兄上にとってローゼは、単なるコマにしか過ぎなかったのですよ」
そう言って、エド君は何処か遠い空を眺めていた。
それから少しして、王太子が交代すると言う噂を聞いた。
「ローゼ!お前はそれで良いのか。俺の事をずっと慕っていただろう。何故裏切った!」
「裏切ってはおりませんわ。不貞をしていたのは、ロイド殿下ではありませんか。人前であんな酷い事をされて、それでも貴方を慕い続けられると、何故その様に思われるのです?」
「あれは、魅了魔法に掛かっていて、俺の意思では無い」
「確かに、魅了魔法に掛かっていた事は聞きました。ですが、水を掛けたのは、紛れもなく殿下の意思ですわ。例え魅了されていたとしても、些かやり過ぎではございませんか?それとも、ローゼならば許してくれると、本気で思っておりましたか」
「それは…」
「これ以上お話する事はありませんので、私は失礼いたします」
確かに彼では、将来の事を考えたら不安になるわね。
王宮内ではロイドがローゼの機嫌を損ねたと、大きな噂になっていたから時間の問題だったようね。
婚約はロイドの有責で破棄になったから、彼の私財から公爵家に、多大な慰謝料が支払われた。
そして学園を卒業したら、魔法師として国に仕えるそうよ。
国王として輝かしい未来を歩む筈だった彼は、天地が一変してしまった事に項垂れてたようだけれど、陛下からの進言を素直に受け入れたみたい。
いくら魅了されていたからと言っても、婚約者に対してやり過ぎたのよ。
貴族令嬢と言うかご婦人達にもだけれど、女性に水を掛けた行為は、相当な不興を買ったわ。
男性陣からも白い目で見られたのだから、廃太子されて当然だったのね。
私を嘲笑していた貴族達も、気付いたら居なくなっていたから、何かしらのお咎めを受けたのだと思うわ。
そんな私は、新たにエド君と婚約を結び直す事になった。
「エド君、いるかしら?」
「ごきげんよう。婚約者になったのだから、エドと呼んではくれませんか?」
「それは私にではなく、本当のローゼちゃんに頼んで欲しいわ」
「そうですね」
「もう終わったのでしょう、私を元の世界に帰してくれる?」
「やはり、気が付いていたのですね」
「そうね…エド君には言いたい事が沢山あるけれど、私が居た元の時間に戻してくれるのなら、何も無かった事にするわ」
「そうですか、分かりました。本当に何も聞く事は無いのですか?」
「聞かなくても分かるもの」
「やはり、貴方は賢い方ですね。一年間、お付き合い下さり、ありがとうございました。そして身勝手な行動に付き合わせてしまった事も、深くお詫び致します。明日目覚めたら、必ず彼の元に戻って居ると、約束致しましょう。どうか、末永くお幸せに」
「貴方もね、エド君。ローゼちゃんを泣かせたら、今度は私が勝手にエド君を、引き寄せるわよ」
「ハハッ。貴方なら、やりかねませんね。肝に銘じておきます」
「ごきげんよう、さようならエド君。幸せになってね」
「ごきげんよう。貴方の幸福を、心から願っております」
そして私はローゼの自室に戻って、異世界での生活を振り返っていた。
ここでの持ち物は、何も持ち帰る事は出来ないけれど、置いて行く事は出来ると思う。
私はローゼ宛に、ずっと日記を書いていたの。
これを読んで、彼女が何を思うのかは、分からないけれど…
エド君の考えている事が、少しでも理解して貰えたらといいなと思うから。
だって、私をこの世界に呼んだのは、彼だったから。
きっと国をロイドに任せられないと言うのは建前で、ローゼちゃんの不幸を、見過ごす事が出来なかったんだろうね。
あのまま魅了魔法を解いて、二人が無事結婚したとしても、ロイドは多分同じ過ちを繰り返すと思う。
王太子では無くなったとしても、ローゼは迷う事無く、ロイドに付いて行く事も予想できる。
どうしてそこまで彼に執着しているのかは、分からないけれど…
優秀なローゼを、王妃に据えたいと思っていたのは、エド君だけじゃ無かったって事ね。
可哀想だけれど…
この世界の事に、これ以上私が干渉する事は出来ない。
ロイドから受けた仕打ちの数々を日記に残し、エド君に助けられた事もしっかり書いた。
最後に、彼女の幸せを心から願っている事も、忘れずにね。
そして、思い残す事もなく、私はこの世界に別れを告げて眠りに付いた。
「起きて、正弘起きて!」
「何、どうしたの?まだ四時だよ…」
「正弘、私を見て」
涙が溢れて来る。
「ん?怖い夢でも見たのか?大丈夫だから泣くなよ、これからも俺がずっと側に居るから、心配するな」
正弘がギュッと抱きしめてくれた、私は戻って来る事が出来たのよね?
左手の薬指には、正弘がくれた婚約指輪が輝いている。
一年振りに会う彼は、やっぱり優しくて、嬉しくて…
だけど、日付はちゃんと、私が異世界に行った日に戻っていた。
不思議な魔法を使うエド君が、約束をきちんと守ってくれたのね。
彼の暖かい腕の中で、私は無事に戻れた安堵感で涙が止まらなかった。
やっぱり、私の婚約者は、正弘じゃないと駄目なのよ。
おしまい
ここまで読んでくださり、ありがとうございました<(_ _)>感謝
364
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
婚約者は嘘つき!私から捨ててあげますわ
あんり
恋愛
「マーティン様、今、わたくしと婚約破棄をなさりたいと、そうおっしゃいましたの?」
私は今何を言われてるのでしょう。
「ああ、もう2度と君の顔も見たくない、声も聞きたくない。君との婚約は僕の中では無駄な時間だったよ」
苦痛に歪むマーティン様のお顔は今まで見たことのない憎しみのこもった目で私を睨みつけておりました。
ほんの1ヶ月前まで「愛してる」と言ってくださったのに。
わたしの何が悪かったのかしら?
泣き腫らしたまま、待たせておいた馬車に乗り、何も分からないまま屋敷へもどるしかなかった。
―――別れの理由も、真実も、何一つ知らないまま。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
勘違いから始まるキャラ文系寄りのラブストーリー。
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
妻よりも幼馴染が大事? なら、家と慰謝料はいただきます
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢セリーヌは、隣国の王子ブラッドと政略結婚を果たし、幼い娘クロエを授かる。結婚後は夫の王領の離宮で暮らし、義王家とも程よい関係を保ち、領民に親しまれながら穏やかな日々を送っていた。
しかし数ヶ月前、ブラッドの幼馴染である伯爵令嬢エミリーが離縁され、娘アリスを連れて実家に戻ってきた。元は豊かな家柄だが、母子は生活に困っていた。
ブラッドは「昔から家族同然だ」として、エミリー母子を城に招き、衣装や馬車を手配し、催しにも同席させ、クロエとアリスを遊ばせるように勧めた。
セリーヌは王太子妃として堪えようとしたが、だんだんと不満が高まる。
彼女よりも幼馴染を溺愛して優先の彼と結婚するか悩む
佐藤 美奈
恋愛
公爵家の広大な庭園。その奥まった一角に佇む白いガゼボで、私はひとり思い悩んでいた。
私の名はニーナ・フォン・ローゼンベルク。名門ローゼンベルク家の令嬢として、若き騎士アンドレ・フォン・ヴァルシュタインとの婚約がすでに決まっている。けれど、その婚約に心からの喜びを感じることができずにいた。
理由はただ一つ。彼の幼馴染であるキャンディ・フォン・リエーヌ子爵令嬢の存在。
アンドレは、彼女がすべてであるかのように振る舞い、いついかなる時も彼女の望みを最優先にする。婚約者である私の気持ちなど、まるで見えていないかのように。
そして、アンドレはようやく自分の至らなさに気づくこととなった。
失われたニーナの心を取り戻すため、彼は様々なイベントであらゆる方法を試みることを決意する。その思いは、ただ一つ、彼女の笑顔を再び見ることに他ならなかった。
【完結】魅了魔法のその後で──その魅了魔法は誰のため? 婚約破棄した悪役令嬢ですが、王太子が逃がしてくれません
瀬里@SMARTOON8/31公開予定
恋愛
その魅了魔法は誰のため?
一年前、聖女に婚約者である王太子を奪われ、婚約破棄された悪役令嬢リシェル・ノクティア・エルグレイン。
それが私だ。
彼と聖女との婚約披露パーティの噂が流れてきた頃、私の元に王太子が訪れた。
彼がここに来た理由は──。
(全四話の短編です。数日以内に完結させます)
好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」
佐藤 美奈
恋愛
好きじゃない人と結婚した。子爵令嬢アイラは公爵家の令息ロバートと結婚した。そんなに好きじゃないけど両親に言われて会って見合いして結婚した。
「結婚してほしい。君は家にいるだけで何もしなくてもいいから」と言われてアイラは結婚を決めた。義母と義父も優しく満たされていた。アイラの生活の日常。
公爵家に嫁いだアイラに、親友の男爵令嬢クレアは羨ましがった。
そんな平穏な日常が、一変するような出来事が起こった。ロバートの幼馴染のレイラという伯爵令嬢が、家族を連れて公爵家に怒鳴り込んできたのだ。
「きみ」を愛する王太子殿下、婚約者のわたくしは邪魔者として潔く退場しますわ
間瀬
恋愛
わたくしの愛おしい婚約者には、一つだけ欠点があるのです。
どうやら彼、『きみ』が大好きすぎるそうですの。
わたくしとのデートでも、そのことばかり話すのですわ。
美辞麗句を並べ立てて。
もしや、卵の黄身のことでして?
そう存じ上げておりましたけど……どうやら、違うようですわね。
わたくしの愛は、永遠に報われないのですわ。
それならば、いっそ――愛し合うお二人を結びつけて差し上げましょう。
そして、わたくしはどこかでひっそりと暮らそうかと存じますわ。
※この作品はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ありがとうございます!
行きっぱなしだと、残された家族とかどうしているのだろうと、何気に気になっていたので、戻って来るお話を書いてみたくなりました😃