【完結済み】私の婚約者は、貴方ではありません。必ず元の世界に帰ります

鈴蘭

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【完結】最終話

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 相変わらず、ロイド殿下は、私の帰りを待ち伏せて来た。
 
 「不思議な事に、書庫へは顔を出さないのよね…」
 「それは、僕が結界を張っていますから、兄上は入って来る事が出来ないのです」
 「そうだったの?」
 「はい。僕達の会話は、外部には漏れない方が良いと思ったのですが…余計な事をしてしまったのでしょうか?」

 「そんな事ないわ、凄く助かるもの。知られたら、実験体にされそうだし…」
 「僕が実験体にしているとは、思わないのでしょうか?」
 「え?」
 「冗談ですよ、そんなに真面目な顔をされると、困ります」
 フフッと、エド君は笑ったけれど、私には本気の発言に聞こえてしまった。

 「あははは。そうだよね、ビックリした」
 ちょっと気になったけれど、エド君がそんな酷い事をする訳無いもんね。
 「そう言えば、最近ロイド殿下が鬱陶しい程付き纏って来るんだけれど、ミーシャとは上手く行ってないのかな?」

 「聞いておりませんでしたか?彼女は学園を退学しましたよ」
 「えっ?聞いて無いよ。退学になったの?」
 「はい。彼女は魅了魔法を使って、兄上だけではなく、高位貴族の子息達迄陥落していた事が分かりました。これは重罪になりますから、全ての魔力を封印し、投獄されました。二度と日の目を見る事は無いでしょうね」

 「そうなんだ…魅了魔法って、どうして分かったの?」
 「思い出したくは無いでしょうが…貴方が彼女を噴水に落とそうとした時、駆け付けた教師が異変に気付きました。本来ならば止めるべきであろう側近達迄が、一人の女生徒を守ろうとしていたのですから。周りで見ていた生徒達からも、苦情が出ていた様です」

 「魅了魔法に掛けられた人達は、どうなったの?」
 「全員元に戻りましたが、婚約者との仲迄は戻せなく、破棄された者もおりましたよ。兄上の側近からも外されましたから、輝かしい将来は閉ざされましたね」
 「ええ~それは…お気の毒って言うべきなの?」

 「いいえ。信頼関係が揺ぎ無い物であれば、そもそも魅了等されないのですよ。心に隙を持っているから、入り込まれるのです。兄上も、未来の国王としての資質を疑われていますから…貴方…いえ、ローゼからの信頼を取り戻そうと、必死なのですよ」

 「そうなんだ…もしもローゼが彼を見限ったら、どうなるの?」
 「僕が王太子になります」
 「だから、最近やたらとローゼの機嫌を、取りに来ているのね」
 「遅いと思いますがね…兄上にとってローゼは、単なるコマにしか過ぎなかったのですよ」
 そう言って、エド君は何処か遠い空を眺めていた。

 それから少しして、王太子が交代すると言う噂を聞いた。
 「ローゼ!お前はそれで良いのか。俺の事をずっと慕っていただろう。何故裏切った!」
 「裏切ってはおりませんわ。不貞をしていたのは、ロイド殿下ではありませんか。人前であんな酷い事をされて、それでも貴方を慕い続けられると、何故その様に思われるのです?」

 「あれは、魅了魔法に掛かっていて、俺の意思では無い」
 「確かに、魅了魔法に掛かっていた事は聞きました。ですが、水を掛けたのは、紛れもなく殿下の意思ですわ。例え魅了されていたとしても、些かやり過ぎではございませんか?それとも、ローゼならば許してくれると、本気で思っておりましたか」

 「それは…」
 「これ以上お話する事はありませんので、私は失礼いたします」
 確かに彼では、将来の事を考えたら不安になるわね。
 王宮内ではロイドがローゼの機嫌を損ねたと、大きな噂になっていたから時間の問題だったようね。
 
 婚約はロイドの有責で破棄になったから、彼の私財から公爵家に、多大な慰謝料が支払われた。
 そして学園を卒業したら、魔法師として国に仕えるそうよ。
 国王として輝かしい未来を歩む筈だった彼は、天地が一変してしまった事に項垂れてたようだけれど、陛下からの進言を素直に受け入れたみたい。

 いくら魅了されていたからと言っても、婚約者ローゼに対してやり過ぎたのよ。
 貴族令嬢と言うかご婦人達にもだけれど、女性に水を掛けた行為は、相当な不興を買ったわ。
 男性陣からも白い目で見られたのだから、廃太子されて当然だったのね。
 私を嘲笑していた貴族達も、気付いたら居なくなっていたから、何かしらのお咎めを受けたのだと思うわ。


 そんなローゼは、新たにエド君と婚約を結び直す事になった。
 「エド君、いるかしら?」
 「ごきげんよう。婚約者になったのだから、エドと呼んではくれませんか?」
 「それは私にではなく、本当のローゼちゃんに頼んで欲しいわ」
 「そうですね」

 「もう終わったのでしょう、私を元の世界に帰してくれる?」
 「やはり、気が付いていたのですね」
 「そうね…エド君には言いたい事が沢山あるけれど、私が居た元の時間に戻してくれるのなら、何も無かった事にするわ」

 「そうですか、分かりました。本当に何も聞く事は無いのですか?」
 「聞かなくても分かるもの」
 「やはり、貴方は賢い方ですね。一年間、お付き合い下さり、ありがとうございました。そして身勝手な行動に付き合わせてしまった事も、深くお詫び致します。明日目覚めたら、必ず彼の元に戻って居ると、約束致しましょう。どうか、末永くお幸せに」

 「貴方もね、エド君。ローゼちゃんを泣かせたら、今度は私が勝手にエド君を、引き寄せるわよ」
 「ハハッ。貴方なら、やりかねませんね。肝に銘じておきます」
 「ごきげんよう、さようならエド君。幸せになってね」
 「ごきげんよう。貴方の幸福を、心から願っております」


 そして私はローゼの自室に戻って、異世界での生活を振り返っていた。
 ここでの持ち物は、何も持ち帰る事は出来ないけれど、置いて行く事は出来ると思う。
 私はローゼ宛に、ずっと日記を書いていたの。
 これを読んで、彼女が何を思うのかは、分からないけれど…
 エド君の考えている事が、少しでも理解して貰えたらといいなと思うから。

 だって、私をこの世界に呼んだのは、彼だったから。
 きっと国をロイドに任せられないと言うのは建前で、ローゼちゃんの不幸を、見過ごす事が出来なかったんだろうね。

 あのまま魅了魔法を解いて、二人が無事結婚したとしても、ロイドは多分同じ過ちを繰り返すと思う。
 王太子では無くなったとしても、ローゼは迷う事無く、ロイドに付いて行く事も予想できる。
 どうしてそこまで彼に執着しているのかは、分からないけれど…

 優秀なローゼを、王妃に据えたいと思っていたのは、エド君だけじゃ無かったって事ね。
 可哀想だけれど…
 この世界の事に、これ以上私が干渉する事は出来ない。

 ロイドから受けた仕打ちの数々を日記に残し、エド君に助けられた事もしっかり書いた。
 最後に、彼女の幸せを心から願っている事も、忘れずにね。
 そして、思い残す事もなく、私はこの世界に別れを告げて眠りに付いた。


 「起きて、正弘起きて!」
 「何、どうしたの?まだ四時だよ…」

 「正弘、私を見て」
 涙が溢れて来る。
 「ん?怖い夢でも見たのか?大丈夫だから泣くなよ、これからも俺がずっと側に居るから、心配するな」

 正弘がギュッと抱きしめてくれた、私は戻って来る事が出来たのよね?
 左手の薬指には、正弘がくれた婚約指輪が輝いている。
 一年振りに会う彼は、やっぱり優しくて、嬉しくて…
 だけど、日付はちゃんと、私が異世界に行った日に戻っていた。
 不思議な魔法を使うエド君が、約束をきちんと守ってくれたのね。

 彼の暖かい腕の中で、私は無事に戻れた安堵感で涙が止まらなかった。
 やっぱり、私の婚約者は、正弘じゃないと駄目なのよ。

 おしまい

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました<(_ _)>感謝
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感想 1

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みんなの感想(1件)

こいぬ
2025.03.17 こいぬ
ネタバレ含む
2025.03.17 鈴蘭

ありがとうございます!
行きっぱなしだと、残された家族とかどうしているのだろうと、何気に気になっていたので、戻って来るお話を書いてみたくなりました😃

解除

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