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第60話 運命を交える薬
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転移陣にてベリルが現れた瞬間からその場は異常なほどの緊張感に包まれていたが、沈黙を破ったのはベリルだった。
「体は大丈夫か?」
「はい」
うなずいたローズだったがアンヌがすかさず口を挟む。
「いえ。王妃様には休養が必要です。ご自愛のほどお願いいたします」
「アンヌ!!」
「それから王妃様はお疲れのご様子ですので気が弱くなられているかと思われます。どうぞ別室にて休養を取られるようお願いいたします」
アンヌの言葉にベリルがなるほど、とうなずく。
「それもそうだな。やはり休養は大事だ。ああ、それと」
ベリルが振り返る先には一緒に来たカントローサ国の者と思われる人間が二人いた。
「こちらはカントローサ国王の側近とその護衛の者だ」
ベリルが顔を向けた先には少し顔色の悪い青年と、均整の取れた体躯の男性がいた。
「皆様方には初めてお目に掛けます。ルイス・サーペントと申します。この度新王のお言葉により貴国との国交安定のためはせ参じました次第にございます」
軽く拝礼されたがその所作はかなり洗練されたものが感じられた。
「そしてこちらは騎士団から護衛としてハイマイト・フリークを連れて参りました」
こちらも黙礼をしたがその雰囲気から上流階級の貴族であることとと騎士団でも上位に属するものではないかと察せられるものが含まれていた。
「俺の妻だ」
今度はベリルがシュガルト国側の者の紹介をした。
「カントローサ国の方にはお初にお目に掛けます。シュガルト国王妃ローズ・シュガルトです。どうぞごゆるりと滞在して行ってくださいね」
公式の場ではないので比較的簡単な言葉に収める。
その場にいた者の紹介がそつなく終わるとおもむろにベリルが口を開いた。
「それでどうすれば運命とやらを変えられるんだ?」
もしここに側近であるリヨンが居たらなら『カントローサ国側の主賓を持て成すのが先でしょう!!』と突っ込みが入っていただろう。
「場所を移しませんか?」
そう告げたローズを見てベリルが眉を上げた。
「ほう? そこで離縁などというバカげたことを言わないならな」
「陛下!!」
傍らからギルが声を上げるがベリルは頓着していないようだった。
「俺の寿命を延ばすために離縁するなど本末転倒だと思わないか?」
鋭い視線を叩きつけられたローズは一歩も引く気はないようだった。
「思いません」
「話にならんな。ギル、どうすればいいんだ?」
ローズが制止を掛けるより早くギルが小瓶を取り出した。
「この薬をおふたりで同時に飲み干してください。それで術が発動します」
思わずという体で一歩下がったローズの腕をベリル掴む。
「どこへ行く気だ?」
「……いえ」
ローズの顔を覗き込んでベリルが問い掛けた。
「そう言えば体調が今ひとつだったのだな。ギル、本当にこの薬で体調を崩すということはないんだな?」
「ええ。そこは保証します」
ギルがうなずくのを認めてベリルが小瓶を催促した。
「ではとっとと始めるぞ。逆に俺の記憶を見たらお前は見なければよかった、と思うかもしれないがな」
「そんなことはありません!!」
否定するローズに、ギルから小瓶を受け取ったベリルが唇の端を上げた。
「そうか。では飲めるな」
あ、と口を押えるローズの前でベリルが小瓶の蓋を開けた。
「どうした? 飲めないなら飲ませてやろうか?」
面白がっているような笑みにローズが反射的に答えた。
「いえ!! 間に合ってます!!」
ローズが、は、と思った時にはお互いに蓋の開いた小瓶を手にしていた。
そのようすを見ていたギルがはあ、とため息をついた。
「いいですか。もうこのタイミングでいいでしょう。カントローサ国のおふたりには申し訳ありませんが今暫くお待ち下さい」
そこではっとカントローサ国の客人の方を向いたローズだったが、ベリルの手が肩を掴んだ。
「お前の伴侶はこっちだ」
「……すみません」
微妙な空気が流れたところでギルが耐え切れないとでもいうように避けんだ。
「あー、もういいですか? 数を落としていきますから数字がなくなったら同時に飲んで下さいね。それから体が倒れるのでそこの長椅子に腰かけて下さい」
微調整を経てふたりが長椅子に腰かけ、小瓶を手にギルの合図を待つ。
「……五、四、三、二、一、どうぞ」
ふたりが小瓶の中身を飲み干した。
「体は大丈夫か?」
「はい」
うなずいたローズだったがアンヌがすかさず口を挟む。
「いえ。王妃様には休養が必要です。ご自愛のほどお願いいたします」
「アンヌ!!」
「それから王妃様はお疲れのご様子ですので気が弱くなられているかと思われます。どうぞ別室にて休養を取られるようお願いいたします」
アンヌの言葉にベリルがなるほど、とうなずく。
「それもそうだな。やはり休養は大事だ。ああ、それと」
ベリルが振り返る先には一緒に来たカントローサ国の者と思われる人間が二人いた。
「こちらはカントローサ国王の側近とその護衛の者だ」
ベリルが顔を向けた先には少し顔色の悪い青年と、均整の取れた体躯の男性がいた。
「皆様方には初めてお目に掛けます。ルイス・サーペントと申します。この度新王のお言葉により貴国との国交安定のためはせ参じました次第にございます」
軽く拝礼されたがその所作はかなり洗練されたものが感じられた。
「そしてこちらは騎士団から護衛としてハイマイト・フリークを連れて参りました」
こちらも黙礼をしたがその雰囲気から上流階級の貴族であることとと騎士団でも上位に属するものではないかと察せられるものが含まれていた。
「俺の妻だ」
今度はベリルがシュガルト国側の者の紹介をした。
「カントローサ国の方にはお初にお目に掛けます。シュガルト国王妃ローズ・シュガルトです。どうぞごゆるりと滞在して行ってくださいね」
公式の場ではないので比較的簡単な言葉に収める。
その場にいた者の紹介がそつなく終わるとおもむろにベリルが口を開いた。
「それでどうすれば運命とやらを変えられるんだ?」
もしここに側近であるリヨンが居たらなら『カントローサ国側の主賓を持て成すのが先でしょう!!』と突っ込みが入っていただろう。
「場所を移しませんか?」
そう告げたローズを見てベリルが眉を上げた。
「ほう? そこで離縁などというバカげたことを言わないならな」
「陛下!!」
傍らからギルが声を上げるがベリルは頓着していないようだった。
「俺の寿命を延ばすために離縁するなど本末転倒だと思わないか?」
鋭い視線を叩きつけられたローズは一歩も引く気はないようだった。
「思いません」
「話にならんな。ギル、どうすればいいんだ?」
ローズが制止を掛けるより早くギルが小瓶を取り出した。
「この薬をおふたりで同時に飲み干してください。それで術が発動します」
思わずという体で一歩下がったローズの腕をベリル掴む。
「どこへ行く気だ?」
「……いえ」
ローズの顔を覗き込んでベリルが問い掛けた。
「そう言えば体調が今ひとつだったのだな。ギル、本当にこの薬で体調を崩すということはないんだな?」
「ええ。そこは保証します」
ギルがうなずくのを認めてベリルが小瓶を催促した。
「ではとっとと始めるぞ。逆に俺の記憶を見たらお前は見なければよかった、と思うかもしれないがな」
「そんなことはありません!!」
否定するローズに、ギルから小瓶を受け取ったベリルが唇の端を上げた。
「そうか。では飲めるな」
あ、と口を押えるローズの前でベリルが小瓶の蓋を開けた。
「どうした? 飲めないなら飲ませてやろうか?」
面白がっているような笑みにローズが反射的に答えた。
「いえ!! 間に合ってます!!」
ローズが、は、と思った時にはお互いに蓋の開いた小瓶を手にしていた。
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「いいですか。もうこのタイミングでいいでしょう。カントローサ国のおふたりには申し訳ありませんが今暫くお待ち下さい」
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「……すみません」
微妙な空気が流れたところでギルが耐え切れないとでもいうように避けんだ。
「あー、もういいですか? 数を落としていきますから数字がなくなったら同時に飲んで下さいね。それから体が倒れるのでそこの長椅子に腰かけて下さい」
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「……五、四、三、二、一、どうぞ」
ふたりが小瓶の中身を飲み干した。
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