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最終話 銀の髪飾り
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その後カントローサ国はシュガルト国の属国となった。
カントローサ国内で反発はあったようだが、シュガルト国王夫妻の件を公表し、国そのものがなくなるのとどちらがよいかと、問われれば反論の声は小さくなっていった。
そしてシュガルト国では――
「なんとか収まったからいいものの、思い付きで行動されるのは止めていただきたいのですが」
今日もリヨンの苦言が飛ぶがベリルはいつも通りに受け流す。
「結局なんの問題も起きなかっただろう」
「それはたまたまであって」
いつもそうとは限らないんですよ、と続ける側近にベリルが口を開いた。
「だがそろそろ動きがありそうだな」
属国となったカントローサ国だが、先のシュガルト国王夫妻の件等を鑑みると見る者が見ると緩い措置に見える。
「不満を持った者達が始めそうだな」
「ですから、楽しそうに待ち構えるのは止めて下さい!!」
ローズは自室でギルと話し合っていた。
「ではこの銀の髪飾りに魔法を付与すれば他の平行世界へ送ることができるのね」
ギルが持ち掛けたのはこの銀の髪飾りにこれまでの記憶と例の魔法薬のレシピを付与して他の平行世界へ送れないかということだった。
「ええ。この場合ですと王妃様より私の方に届いた方がやり易いと思うのでそのように調整してみます」
かつてもう一人の『私』がしていたことの応用らしい。
恐らく個人特有の魔術なのだろうがそれをいとも簡単に模倣するなんて。
――才能があるってことなのかしら。
いや平行世界の自分もあれほどのことをしてのけたのだ。
きっと私だって。
「王妃様?」
心の綾を感じ取ったようにアンヌが声を掛けるが、軽く首を振った。
「なんでもないわ。それでは他の平行世界のベリルと貴方の番は助かるのね」
ローズの言葉に対してどこか憂いのあるような表情でギルが答える。
「ですが全ての平行世界の者を救えるかは未知数です」
それはそうだろう。
ひと言に『平行世界』といってもちょっとした分岐で増えていくのだから、数は無限と言っても過言ではない。
「それでも凄いわ。あれほどあの平行世界の『私』が頑張ってもできなかったのに」
記憶を共有したローズは知っていた。
彼女がどれほどの絶望を味わい、それでも諦めきれずに足掻いていたことを。
だがそれにもようやく終止符が打たれる。
ほっと息をついたローズだったがそこではたと気付く。
「ギル様はサンダース様と婚約が決まったそうですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
どことなく浮かない顔でギルが答える。
――どうしたのかしら?
「いえ、ちょっと、……なんでもありません」
なんでもない、という表情ではなさそうなので更に聞くと意外な言葉がギルから零れ出て来た。
「その、なんというか彼女のような素敵な方には自分は不釣り合いな気がして」
運命の番としての本能は彼女しかいない、と告げている。
だがこうして彼女の命が延命されてから見て見ると、魔術しか能のない自分よりももっと相応しい相手がいるのではないか、と思う時があるという。
「俺は昔から本を読むくらいしかなくて、女性としても騎士としても一流なのだから、彼女にはもっと相応しい相手がいるのでは、と思ってしまうんです」
もしかして彼女が自分に向ける想いは『運命の番』の本能によるもののみ、ではないのか。
それは時折りローズも思ったことがあった。
だが、それだけで番を決めるような相手ではないことは今ではローズも知っている。
それにどれだけ強い想いをこちらが向けても負担に思うどころから同等以上の想いを返してくれる。
これ以上の喜びがあるだろうか。
今のローズから見るとギルの思考は現実を捕らえていないと思った。
それに、とローズの内に疑問が生じた。
番とは例の薬でお互いの記憶(黒歴史含む)を共有したばかりである。
互いの想いを確信しているはずなのにどうしてそんなふうになるのだろうか。
ローズがそう問うとギルは複雑そうな表情をした。
「まあその一種の現実逃避と思って下さって結構です」
そう言えば、とローズには思い当たることがあった。
カントローサ国とのことがひと段落してからローズはベリルとの時間を持った。
その際に露呈した黒歴史のことで羞恥の沼に沈むローズに対し、情熱的な告白と根気強い説得をされ、ローズが気付いたときには離縁の話はかき消えていたのだが、ギルは違った。
筆頭魔術師という職のこともあり、あちこちの後始末やら職務に追われ、ギルはまだ自分の番との時間を持っていなかったのだ。
これからだったのね。
ローズの視線を受けたギルが動揺を見せる。
「どうされたんですか? というかなぜアンヌ殿まで生温い視線を!?」
その時扉が叩かれ、ローズが応じると入室してきたのは――
「失礼いたします。こちらに……ああ、居ましたか。王妃様非常に申し訳ありませんが番との大事な話があるのでこれにて失礼させていただきます」
「かまわなくてよ」
ローズの了承を得たサンダースがギルを捕獲した。
「え、ちょっ」
「言い訳は聞かない。もし本当に逃げたいのならあらゆる術を使って逃げようとするだろう。それと番休暇は出しておいた」
「え、」
「それでは王妃様、失礼いたします」
ギルが非常に情けない表情をして助けを求めるようにこちらを見たが、番の執着心と諦めの悪さについてじっくりと教えられたローズにはなにもできない。
静かに扉が閉まるとローズはふと机上に置き忘れられた銀のそれに目をやった。
平行世界へ送るといっても時間軸はある程度調整できるとのことだから、もう少し後でもいいだろう。
それにしても、とローズは思う。
この銀の髪飾りが『私』との記憶を繋ぎ、今度は番を助けるために再び平行世界へ送られることになる。
できれば最初の『私』に、と思うがもしそうなったら辻褄が合わなくなる気がしてならない。
「王妃様?」
「なんでもないわ。アンヌ。ただ、そうね。縁とはなんて不可思議なものか、と思っただけよ」
今の心情を正確に表したものではなかったが、他に言いようがなかった。
「左様でございますね。初めにあの婚約破棄が合った時はどうなることかと思ったものですが」
アンヌは上手い具合に誤解してくれたようだ。
婚約破棄。そんなこともあったわね。
今となっては遠い昔の話のようだ。
ベリルと出会ってからは怒濤といっていい展開だったため、追憶の彼方にある。
だからだろう。彼の『運命の番』にこの国で顔を合わせた時もそれほど衝撃は受けなかった。
最も後の調査で彼女は詐欺師だと判明したらしいが。
現在彼女は矯正施設へ入れられているらしい。
本来なら相応しい刑罰を、といったところなのだが彼女の知己である獣人から助命が入ったらしい。
その知己は獣人でありながらカントローサ国の間諜もしているというややこしい立場にいて、シュガルト国人でありながら、と処罰対象にもなりかけたのだが、カントローサ国王がシュガルト国へも情報を流す、ということでなあなあにしたらしい。
縁なんて分からないものだわ。
「そうね」
視線の先の銀の髪飾りはただ繊細な細工に硝子越しの陽光を受けて佇んでいる。
それはこの先の未来に光をこぼすようだった。
カントローサ国内で反発はあったようだが、シュガルト国王夫妻の件を公表し、国そのものがなくなるのとどちらがよいかと、問われれば反論の声は小さくなっていった。
そしてシュガルト国では――
「なんとか収まったからいいものの、思い付きで行動されるのは止めていただきたいのですが」
今日もリヨンの苦言が飛ぶがベリルはいつも通りに受け流す。
「結局なんの問題も起きなかっただろう」
「それはたまたまであって」
いつもそうとは限らないんですよ、と続ける側近にベリルが口を開いた。
「だがそろそろ動きがありそうだな」
属国となったカントローサ国だが、先のシュガルト国王夫妻の件等を鑑みると見る者が見ると緩い措置に見える。
「不満を持った者達が始めそうだな」
「ですから、楽しそうに待ち構えるのは止めて下さい!!」
ローズは自室でギルと話し合っていた。
「ではこの銀の髪飾りに魔法を付与すれば他の平行世界へ送ることができるのね」
ギルが持ち掛けたのはこの銀の髪飾りにこれまでの記憶と例の魔法薬のレシピを付与して他の平行世界へ送れないかということだった。
「ええ。この場合ですと王妃様より私の方に届いた方がやり易いと思うのでそのように調整してみます」
かつてもう一人の『私』がしていたことの応用らしい。
恐らく個人特有の魔術なのだろうがそれをいとも簡単に模倣するなんて。
――才能があるってことなのかしら。
いや平行世界の自分もあれほどのことをしてのけたのだ。
きっと私だって。
「王妃様?」
心の綾を感じ取ったようにアンヌが声を掛けるが、軽く首を振った。
「なんでもないわ。それでは他の平行世界のベリルと貴方の番は助かるのね」
ローズの言葉に対してどこか憂いのあるような表情でギルが答える。
「ですが全ての平行世界の者を救えるかは未知数です」
それはそうだろう。
ひと言に『平行世界』といってもちょっとした分岐で増えていくのだから、数は無限と言っても過言ではない。
「それでも凄いわ。あれほどあの平行世界の『私』が頑張ってもできなかったのに」
記憶を共有したローズは知っていた。
彼女がどれほどの絶望を味わい、それでも諦めきれずに足掻いていたことを。
だがそれにもようやく終止符が打たれる。
ほっと息をついたローズだったがそこではたと気付く。
「ギル様はサンダース様と婚約が決まったそうですね。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
どことなく浮かない顔でギルが答える。
――どうしたのかしら?
「いえ、ちょっと、……なんでもありません」
なんでもない、という表情ではなさそうなので更に聞くと意外な言葉がギルから零れ出て来た。
「その、なんというか彼女のような素敵な方には自分は不釣り合いな気がして」
運命の番としての本能は彼女しかいない、と告げている。
だがこうして彼女の命が延命されてから見て見ると、魔術しか能のない自分よりももっと相応しい相手がいるのではないか、と思う時があるという。
「俺は昔から本を読むくらいしかなくて、女性としても騎士としても一流なのだから、彼女にはもっと相応しい相手がいるのでは、と思ってしまうんです」
もしかして彼女が自分に向ける想いは『運命の番』の本能によるもののみ、ではないのか。
それは時折りローズも思ったことがあった。
だが、それだけで番を決めるような相手ではないことは今ではローズも知っている。
それにどれだけ強い想いをこちらが向けても負担に思うどころから同等以上の想いを返してくれる。
これ以上の喜びがあるだろうか。
今のローズから見るとギルの思考は現実を捕らえていないと思った。
それに、とローズの内に疑問が生じた。
番とは例の薬でお互いの記憶(黒歴史含む)を共有したばかりである。
互いの想いを確信しているはずなのにどうしてそんなふうになるのだろうか。
ローズがそう問うとギルは複雑そうな表情をした。
「まあその一種の現実逃避と思って下さって結構です」
そう言えば、とローズには思い当たることがあった。
カントローサ国とのことがひと段落してからローズはベリルとの時間を持った。
その際に露呈した黒歴史のことで羞恥の沼に沈むローズに対し、情熱的な告白と根気強い説得をされ、ローズが気付いたときには離縁の話はかき消えていたのだが、ギルは違った。
筆頭魔術師という職のこともあり、あちこちの後始末やら職務に追われ、ギルはまだ自分の番との時間を持っていなかったのだ。
これからだったのね。
ローズの視線を受けたギルが動揺を見せる。
「どうされたんですか? というかなぜアンヌ殿まで生温い視線を!?」
その時扉が叩かれ、ローズが応じると入室してきたのは――
「失礼いたします。こちらに……ああ、居ましたか。王妃様非常に申し訳ありませんが番との大事な話があるのでこれにて失礼させていただきます」
「かまわなくてよ」
ローズの了承を得たサンダースがギルを捕獲した。
「え、ちょっ」
「言い訳は聞かない。もし本当に逃げたいのならあらゆる術を使って逃げようとするだろう。それと番休暇は出しておいた」
「え、」
「それでは王妃様、失礼いたします」
ギルが非常に情けない表情をして助けを求めるようにこちらを見たが、番の執着心と諦めの悪さについてじっくりと教えられたローズにはなにもできない。
静かに扉が閉まるとローズはふと机上に置き忘れられた銀のそれに目をやった。
平行世界へ送るといっても時間軸はある程度調整できるとのことだから、もう少し後でもいいだろう。
それにしても、とローズは思う。
この銀の髪飾りが『私』との記憶を繋ぎ、今度は番を助けるために再び平行世界へ送られることになる。
できれば最初の『私』に、と思うがもしそうなったら辻褄が合わなくなる気がしてならない。
「王妃様?」
「なんでもないわ。アンヌ。ただ、そうね。縁とはなんて不可思議なものか、と思っただけよ」
今の心情を正確に表したものではなかったが、他に言いようがなかった。
「左様でございますね。初めにあの婚約破棄が合った時はどうなることかと思ったものですが」
アンヌは上手い具合に誤解してくれたようだ。
婚約破棄。そんなこともあったわね。
今となっては遠い昔の話のようだ。
ベリルと出会ってからは怒濤といっていい展開だったため、追憶の彼方にある。
だからだろう。彼の『運命の番』にこの国で顔を合わせた時もそれほど衝撃は受けなかった。
最も後の調査で彼女は詐欺師だと判明したらしいが。
現在彼女は矯正施設へ入れられているらしい。
本来なら相応しい刑罰を、といったところなのだが彼女の知己である獣人から助命が入ったらしい。
その知己は獣人でありながらカントローサ国の間諜もしているというややこしい立場にいて、シュガルト国人でありながら、と処罰対象にもなりかけたのだが、カントローサ国王がシュガルト国へも情報を流す、ということでなあなあにしたらしい。
縁なんて分からないものだわ。
「そうね」
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