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1章 幼少期編

騎士団の訓練所はモフモフパラダイスだった 2

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 私の意識が戻るのと引き換えに、今度は泣き疲れたフレディ様が私のお膝の上でスヤスヤ眠りについた。


 第3騎士団の団長さんの話によると。
 訓練場で訓練中だった最近入団した新入りの獣人騎士さんを訓練していた所、魔術込みの打ち合いで熱くなった2人。なかなか決着がつかなくて、先輩騎士さんが魔法で身体強化をして剣に魔法を乗せてぶっ放したら、獣人騎士さんが予想より大きくフッ飛ばされてしまった。

 その飛ばされた獣人騎士さんの飛ばされた軌道上に居たのが私で、巻き込まれて一緒にフッ飛ばされた。

 と、言うのが事の顛末だった。

 その話を聞いてぼんやりしている私に団長さんが

「申し訳ありません。ブルームフィールド家のご令嬢をこのような事故に巻き込んでしまいなんとお詫びしたらよいものか……ほら、お前たちも」

「この度は誠に申し訳ありません!!」

 フルフルと震えながら謝罪を口にし、こんな幼女相手に必死に頭を下げる団長さんと獣人騎士さん。

「お詫びなど必要ありませんわ」

「へ?」

「今日の見学は私がお願いしたことですし、私の事はこの方が守ってくださりましたので心配ご無用ですわ」

 そう言い団長さんと一緒に謝っている獣人騎士さんの手を取ると。

「こちらこそ咄嗟の事とは言え守っていただきありがとうございます。おかげで怪我の一つもありません」

 ニコっと笑い獣人騎士さんを見ると……あら?白い猫に近いお耳と縞々の長く程よいモフモフのしっぽ。
 ホワイトタイガーの獣人さんかしら?それにお顔がとても綺麗。

 獣人騎士さんを思わずじーっと凝視していたら。

「あ、あの。そ、そんなに見ないで……恥ずかしいです」

 そう言うと、獣人騎士さんの頬がピンクに染まる。

「ご、ごめんなさい」

 私まで恥ずかしくなってしまった。

「ほ、本当に申し訳ありません。私が未熟なせいで巻き込んでしまいまして」

 シュンとする人相手にこれ以上の事を求めるのは酷よ。

「あの、私はブルームフィールド公爵が娘、スカーレット・ブルームフィールドといいます。貴方のお名前を教えていただいてもいいかしら?」

 突然の私の自己紹介に驚きながらも獣人騎士の彼は名前を教えてくれた。

「エドガー。エドガーアンブロジオです」

 え?アンブロジオ?アンブロジオって言った?

「お前か!最近アンブロジオ侯爵家の養子になった、フリードリヒの義弟のホワイトタイガーの獣人とは」

 驚きながらそう言うフレディ様……いつの間に目が醒めてらしたのかしら?

 と、そうじゃない。

 どういう事?フリードリヒ様の義弟って?


 
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