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1章 幼少期編
筆頭婚約者候補?そんなの知りません。それよりも推しを愛でさせてください
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この度、第1王子ことジュリアン様が王太子として立太子される事になった。
正式に次の王にジュリアン様が選ばれた事で、今まで水面下で進められていた婚約者選びが激化していた。
そのせいで王宮もてんやわんやで色々危険との事で暫くジュリアン様にもフレディ様にもお会いしていない。
正直私には関係ない話なので「へーほーん大変ですねジュリアン様」なんて思っていたのだけど……。
立太子式をひと月後に控えたある日、呼び出されたお父様の書斎でこの世で一番聞きたくない言葉を聞いてしまった。
「スー。非常に我が家としても不本意だが、ジュリアン殿下の強い希望でスーが筆頭婚約者候補に名前が挙がっている。決定した訳ではないが覚悟はしておいて欲しい」
苦々しい表情と、この世の終わりのような絶望を全身で表現するお父様。
「あー。正確にはフレデリク殿下の筆頭婚約者候補にもなってるよ。残念だけど」
ヤレヤレという表情だけれど、かなり怒ってますわねお兄様。
は?
どういう事ですの?なぜあの二人の婚約者候補に名前が挙がってますの?私お断りしましたわよね?しかも私モブですよ?なぜモブにそんな大役を望むのだあの王子様方は!!静かに不機嫌になる私。
「2人とも、スーの気持ちを優先したいからスーが成人するまで待つと言っていたから考えるだけ考えてくれないか?本来なら打診が来た時点で断る事が難しい事なんだ。それに王命にしようと思えば出来た事をしなかった……そこを考慮してやって欲しい。2人ともスーに嫌われるのはイヤらしいからね」
お兄様がこの件に対してのフォローを入れる。
公爵家の娘として生まれてしまった私には避けては通れない道なんだろう。
「わかりました。ですが私の気持ちは変わらない事をお伝えください」
頑なに首を縦に振らない私にお兄さまも何か言いたげだったけれど、私は見ないフリをした。
分かっている。貴族の女子が家の為に嫁ぐのは当たり前の事。
私の我儘で拒否できる事でない事はわかっている。
それでも、私にはやらねばならない事がある。
と、言う訳でやってきたのは第三騎士団の訓練所。
今日は堂々と見学するのではなく、気配の遮断と私のチートスキルの一つのオート転移で騎士団の訓練所が見渡せる大きな木の上に転移してきた。
前々から調べておいたフリードリヒ様の本日の予定。
午前中は騎士団の訓練所での訓練。これは今日こそは覆らないはずだ。その為にも側近を務めるジュリアン様のご予定まで調べ上げたのだから。
今日こそは、今日こそはフリードリヒ様をこの目に見るんだ。私がこの世界に転生してから5年。一度も彼に会えないと言う理不尽を今日こそ抜け出してやる。
私は並々ならぬ気迫と執念を持って、木の上でフリードリヒ様を待った。
いつも通り第3騎士団の訓練の時間が近づくとわらわらと団員の皆さんが騎士団の建物から出て来た。
あ、エドガー様ですわ。
今日もお耳がふっかふかでモフモフし甲斐がありそうですわ。
なんてモフモフに想いを馳せていると……。
次の瞬間、私は覗いていた防振望遠鏡越しに緊張が走る。
望遠鏡越しに見える景色に、映ってきたのは美しく綺麗な銀髪。隣に居るエドガー様の頭を撫でて談笑している。
横顔ですら美しい事が分かるラインに私は心が震える。
訓練が始まり、剣を奮う姿も美しすぎる。動きに合わせて束ねられた美しい銀髪がキラキラと光り私の心は高揚する。
そして遂に、会いたくて会いたくて震えるほど会いたくて仕方なかった彼のご尊顔がこちらへ向いた。
アイスブルーの瞳が特徴的な彼は画面越しのゲームの時と変わらず美しく誰もが見惚れるような人物がそこにいた。
フリードリヒ・アンブロジオ様。
前世の私、茅ケ崎緋彩の最推しで前世も今世も私が愛している唯一の人。
「尊い」
防振望遠鏡越しの推しの姿だけど、本当に生きている推しを見れた私は崩れ落ちた。
フリードリヒ様……。
ようやく貴方の生存確認が出来ました。
ありがとう。ありがとう。
推しを愛でさせてくれてありがとうございます。
正式に次の王にジュリアン様が選ばれた事で、今まで水面下で進められていた婚約者選びが激化していた。
そのせいで王宮もてんやわんやで色々危険との事で暫くジュリアン様にもフレディ様にもお会いしていない。
正直私には関係ない話なので「へーほーん大変ですねジュリアン様」なんて思っていたのだけど……。
立太子式をひと月後に控えたある日、呼び出されたお父様の書斎でこの世で一番聞きたくない言葉を聞いてしまった。
「スー。非常に我が家としても不本意だが、ジュリアン殿下の強い希望でスーが筆頭婚約者候補に名前が挙がっている。決定した訳ではないが覚悟はしておいて欲しい」
苦々しい表情と、この世の終わりのような絶望を全身で表現するお父様。
「あー。正確にはフレデリク殿下の筆頭婚約者候補にもなってるよ。残念だけど」
ヤレヤレという表情だけれど、かなり怒ってますわねお兄様。
は?
どういう事ですの?なぜあの二人の婚約者候補に名前が挙がってますの?私お断りしましたわよね?しかも私モブですよ?なぜモブにそんな大役を望むのだあの王子様方は!!静かに不機嫌になる私。
「2人とも、スーの気持ちを優先したいからスーが成人するまで待つと言っていたから考えるだけ考えてくれないか?本来なら打診が来た時点で断る事が難しい事なんだ。それに王命にしようと思えば出来た事をしなかった……そこを考慮してやって欲しい。2人ともスーに嫌われるのはイヤらしいからね」
お兄様がこの件に対してのフォローを入れる。
公爵家の娘として生まれてしまった私には避けては通れない道なんだろう。
「わかりました。ですが私の気持ちは変わらない事をお伝えください」
頑なに首を縦に振らない私にお兄さまも何か言いたげだったけれど、私は見ないフリをした。
分かっている。貴族の女子が家の為に嫁ぐのは当たり前の事。
私の我儘で拒否できる事でない事はわかっている。
それでも、私にはやらねばならない事がある。
と、言う訳でやってきたのは第三騎士団の訓練所。
今日は堂々と見学するのではなく、気配の遮断と私のチートスキルの一つのオート転移で騎士団の訓練所が見渡せる大きな木の上に転移してきた。
前々から調べておいたフリードリヒ様の本日の予定。
午前中は騎士団の訓練所での訓練。これは今日こそは覆らないはずだ。その為にも側近を務めるジュリアン様のご予定まで調べ上げたのだから。
今日こそは、今日こそはフリードリヒ様をこの目に見るんだ。私がこの世界に転生してから5年。一度も彼に会えないと言う理不尽を今日こそ抜け出してやる。
私は並々ならぬ気迫と執念を持って、木の上でフリードリヒ様を待った。
いつも通り第3騎士団の訓練の時間が近づくとわらわらと団員の皆さんが騎士団の建物から出て来た。
あ、エドガー様ですわ。
今日もお耳がふっかふかでモフモフし甲斐がありそうですわ。
なんてモフモフに想いを馳せていると……。
次の瞬間、私は覗いていた防振望遠鏡越しに緊張が走る。
望遠鏡越しに見える景色に、映ってきたのは美しく綺麗な銀髪。隣に居るエドガー様の頭を撫でて談笑している。
横顔ですら美しい事が分かるラインに私は心が震える。
訓練が始まり、剣を奮う姿も美しすぎる。動きに合わせて束ねられた美しい銀髪がキラキラと光り私の心は高揚する。
そして遂に、会いたくて会いたくて震えるほど会いたくて仕方なかった彼のご尊顔がこちらへ向いた。
アイスブルーの瞳が特徴的な彼は画面越しのゲームの時と変わらず美しく誰もが見惚れるような人物がそこにいた。
フリードリヒ・アンブロジオ様。
前世の私、茅ケ崎緋彩の最推しで前世も今世も私が愛している唯一の人。
「尊い」
防振望遠鏡越しの推しの姿だけど、本当に生きている推しを見れた私は崩れ落ちた。
フリードリヒ様……。
ようやく貴方の生存確認が出来ました。
ありがとう。ありがとう。
推しを愛でさせてくれてありがとうございます。
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