乙女ゲームの世界に転生したら、モブだったので神様に貰ったチートな力を駆使して前世の最推しをストーキングしますっ!

支倉りおと

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1章 幼少期編

モブストーカー、思わぬ接触イベントにあたふたする

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 結局あれから私はジュリアン様からの呼び出しに完全無視を決め込んだ。

 理由が理由なだけに家族も私の味方となり、あれ以来私は王宮へ行く事を拒絶した。


 そんな日々を過ごし、私は明日遂に王立学園へ入学する。

 私の入学と入れ替わりにフリードリヒ様はご卒業されていて、ジュリアン様が卒業するまでは騎士団の第三部隊での任務をされるはず。
 
 王立学園は全寮制だから長期休暇以外で私は明日から学園から出る事はなかなか難しくなる。

 暫くフリードリヒ様の観察を我慢しないといけないから今日は絶対にフリードリヒ様をこの目に焼き付けるんだ!

 と、意気揚々と私はいつもの木の上に転移し、顔パスで堂々と騎士団の中に入ると訓練所の近くに来ると気配遮断と認識阻害の魔法を掛けフリードリヒ様が訓練をしている訓練所を隅の方で見学する。

 いつもは遠くから見つめる事しかできなかったけれど、無理矢理婚約を決められフリードリヒ様との接点を完全に断たれた私は半分自棄になっていた。

 彼の瞳に映りたいなんてそんな贅沢な事は思わないから、少なくとも私の肉眼でフリードリヒ様を見て見たかった。

 これからはそのチャンスすら失ってしまうのだから。

 モブなのになんでこんなに現実は厳しいのかしら?

 モブの私に婚約者など必要ないのに、どうして国の最高峰の婚約者が出来てしまうのよ意味がわからない。


 はぁ……とため息をついている間にフリードリヒ様達の訓練が始まった。



 いつも通りとても美しい剣筋に思わず見惚れてしまう。

 普段は木の上から双眼鏡越しでしか見た事のない姿だっただけに、肉眼で見るフリードリヒ様の美しさに思わず涙が溢れる。

 瞬きすら忘れるくらいにこの雄姿を網膜に焼き付ける。

 好きです。

 あなたが幸せになってくれるのが私の幸せです。

 

 私がフリードリヒ様に持つ感情は恋ではなくあくまでも推しへの愛だ。

 
 だから彼が一番幸せになってくれるのが一番の望み。

 モブの私が推しとどうにかなりたいなんて思うのは烏滸がましい事。

 あくまで私は彼の観察が出来ればいいんだ。

 改めて私はその想いを心に決めて訓練所を去ろうとした時だった。


 あまりに泣きすぎて私は自分が掛けていた魔法が中途半端に解けている事に気が付いていなかった。

 グイっと手を引っ張られ、驚いた私が振り向くとそこには今まで訓練をしていたフリードリヒ様が……。

「え?」


 気配遮断と認識阻害の魔法がかかっているはずだから今の私に気が付くのは魔力の強い人かまたは……

 それなのに手を掴まれた事に驚く私が固まっていると。

「君、大丈夫かい?泣いているがどうした?何があったんだ?」

 この世界ではじめて聞くフリードリヒ様の声に私は混乱しながらも感極まり更に号泣してしまった。

「な、泣かないでくれ。泣かれるとどうしていいかわからない」

 フリードリヒ様の美しい顔が歪む。その原因を作ってしまった事に私は申し訳なさでいっぱいになる。

「だ、大丈夫です」

 想定外の出来事に私はパニックになっていた。

「だが、泣いているんだ何かあったんだろう?誰かに何かされたのか?」

 何故か明後日の方向に勘違いして心配してくれるフリードリヒ様に正直私もどうしていいかわからなくなっていた。

 とにかく掴まれた手を離し手欲しい。恥ずかしくてたまらないよぉ。

「な、なにもされてません。だ、大丈夫ですので……手、手を離してください」

 自分の推しに腕を掴まれ、嬉しいのと恥ずかしいのがごちゃごちゃになって逃げたくてたまらない。

「あ、済まない。何もないのならよかった。とりあえず涙を拭いてくれ」

 そう言うとフリードリヒ様は私の腕から手を離すと、ご自分のハンカチを私に渡してくれた。

「騎士団の敷地内は危険な所ではないけれど、令嬢が1人でウロウロしていて良い場所ではないから気をつけなさい。危ないから君の家の馬車の前まで送ろう」

 ひぃ、フリードリヒ様やさしぃぃぃぃ。

「いえ、そんな滅相もないです。だ、大丈夫です。1人で帰れます。騎士様のお手を煩わせる事は出来ません。し、失礼いたします」

 送ってくれるという推しの優しさを無碍にするのは忍びないが、これ以上の接触イベントは壁女子には毒にしかならぬ。

 慌てた私は思わず後ずさったまま転移の魔法で邸へ戻ってしまった。

 私に逃走されその場に残ったフリードリヒ様の事など考える頭すらその時の私にはなかった。

 神様、接触イベントありがとうございます。

 でも近すぎるのは壁女子の私にはキツイのでこれ以上は……。


 こうして王立学園入学前日は過ぎて行った。

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