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1章 幼少期編
モブストーカー、ジョブチェンを決める
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「済まない、スカーレット。兄上とジュリアン殿下に押し切られた」
ジュリアン殿下の拘束から逃れ、転移でブルームフィールド邸に逃げ帰った私。
たまたま邸で執務中だったお父様にジュリアン殿下が言った事を確かめると絶望的な気持ちになった。
「ほ、本当なんですね……」
そのまま膝から崩れ落ち床にへたり込みながら私はボロボロと溢れる涙が止まらない。
どうして?なんで?なんでモブと王太子様がこ、婚約なんかするの?
私は名もなきモブじゃない?
ヒロインでも悪役令嬢でも名のあるモブでもないんだよ?
訳がわからないよ。
グズグズと鼻をならしながらお父様の方を向くと、お父様も非常に複雑そうな顔をしていた。
分かってる。私は腐っても公爵令嬢。国の王族を除く貴族で一番の地位に居る家系の中の令嬢だもん。
政略結婚は貴族の義務だって事も。
それでも甘いと思われるかもしれないけれど、どうせ結婚するなら好きな人と結婚したかった。
フリードリヒ様に会いたい。
恋愛的な意味で好きなのとは違うけれど、唯一私の心に住み着いている人だから。
直接会うなんて出来ないのに、彼は私の物にはなってくれないのに諦めきれないなんて私は浅ましい女だ。
「お兄様出奔したいです」
グズグズと泣き崩れながらたまたま家に帰ってきていたお兄様に泣きつく。
「え?スーどうしたの?何があったの?」
大泣きしてボロボロの顔のまま、お兄様に今日私がジュリアン様から聞いた内容とお父様からの話をするとお兄様は大激怒した。
お父様の書斎へ突撃するお兄様に慌ててついて行くと、書斎の中で目を真っ赤にしたお父様が悲し気に執務机で執務をしていた。
私やお兄様の言いたい事がわかったのか小さくため息を吐くお父様が不憫だった。
「父上、どういう事ですか?スーの婚約はスーが成人するまでは認めないとおっしゃっていたではありませんか?なのに突然どうして……なぜリアンのボケの我儘が通ったのですか?」
「落ち着きなさいアスター確かにジュリアン様の強い希望もあったけれど、半分はスカーレットの自業自得なんだよ」
は?どういう事なのお父様?
「どういう事なんですか父上」
「まずは王都で始めたカフェとスイーツ店。これは今までこの国になかった販売方法が受け入れられて今も国中に支店が増えている事。そのお金を元に始めた商会で独占販売する質の良いマジックアイテムが騎士団や軍に好評でバカ売れしている事。他の治療薬やポーション類の質の高さに国が買い取りをしてるくらいだ。そんな国に有益な令嬢を王家が見逃すわけないんだよ」
うえぇぇ。私が公爵家に寄生する為に稼ごうと始めた事が仇になった!!
「そ、そうなんですね父上。スー的にはお嫁に行かなくていいように自分の食い扶持を稼いだだけみたいなんですけど……」
「お兄様の言う通りです。国の事なんか考えてないですよ結婚しないでもいいように自分の生活費ぐらい稼ごうと思っただけです」
「あぁ、私も分かっているよ。大体スーをどこにも嫁にやる予定はなかったんだ。特に王家になんて……しかもあの腹黒ジュリアン様になんかどうして私の可愛いスーを……うっ。でも最終的に決定打はスーが決めてしまったんだよ。王家がコッソリとスーに施していた王妃教育だけど、優秀すぎるスーが10年計画の王妃教育を2年で終わらせてしまったのが決め手になったんだ。スーを王妃にする事を認めなかった反対派の貴族もスーが自分の実力でねじ伏せてしまったんだよ」
「は?王妃教育終わった?どういう事ですか?」
いや、王妃教育を受けさせられていたのは知っていたけれど、終わっていたのは初耳だわ。
それよりも10年計画が2年で終わったってどういう事?
「スー……。王妃教育は8歳までには完了していたんだよ。スーの教育を担当した侯爵夫人も大変良い生徒だったとほめてくれていた。その事自体はスーが褒められて嬉しかったんだよ。でもそれが決め手になるとは思わなかったんだよ。やっぱりあの時会わせるんじゃなかった」
酷く落ち込むお父様だんだん可哀相になってきた。
お父様が悪い訳じゃないんですもの。悪いのは私の無駄なチート能力ぅぅぅ。
「もういいですわ。どうせ政略結婚が避けられないのなら全く知らない人と結婚するよりジュリアン様の方が……いくらか……多分……マシですわ」
「「スー」」
「ごめんなさい今日は疲れました下がらせていただきます」
本当になんでこんな事になったんだろう。
私はモブだから楽しく推しを愛でる生活がしたかっただけなのに。
こうなったらヒロインにジュリアン様をおしつけてやる。
王太子×ヒロイン推進派にジョブチェンだわ!!
ジュリアン殿下の拘束から逃れ、転移でブルームフィールド邸に逃げ帰った私。
たまたま邸で執務中だったお父様にジュリアン殿下が言った事を確かめると絶望的な気持ちになった。
「ほ、本当なんですね……」
そのまま膝から崩れ落ち床にへたり込みながら私はボロボロと溢れる涙が止まらない。
どうして?なんで?なんでモブと王太子様がこ、婚約なんかするの?
私は名もなきモブじゃない?
ヒロインでも悪役令嬢でも名のあるモブでもないんだよ?
訳がわからないよ。
グズグズと鼻をならしながらお父様の方を向くと、お父様も非常に複雑そうな顔をしていた。
分かってる。私は腐っても公爵令嬢。国の王族を除く貴族で一番の地位に居る家系の中の令嬢だもん。
政略結婚は貴族の義務だって事も。
それでも甘いと思われるかもしれないけれど、どうせ結婚するなら好きな人と結婚したかった。
フリードリヒ様に会いたい。
恋愛的な意味で好きなのとは違うけれど、唯一私の心に住み着いている人だから。
直接会うなんて出来ないのに、彼は私の物にはなってくれないのに諦めきれないなんて私は浅ましい女だ。
「お兄様出奔したいです」
グズグズと泣き崩れながらたまたま家に帰ってきていたお兄様に泣きつく。
「え?スーどうしたの?何があったの?」
大泣きしてボロボロの顔のまま、お兄様に今日私がジュリアン様から聞いた内容とお父様からの話をするとお兄様は大激怒した。
お父様の書斎へ突撃するお兄様に慌ててついて行くと、書斎の中で目を真っ赤にしたお父様が悲し気に執務机で執務をしていた。
私やお兄様の言いたい事がわかったのか小さくため息を吐くお父様が不憫だった。
「父上、どういう事ですか?スーの婚約はスーが成人するまでは認めないとおっしゃっていたではありませんか?なのに突然どうして……なぜリアンのボケの我儘が通ったのですか?」
「落ち着きなさいアスター確かにジュリアン様の強い希望もあったけれど、半分はスカーレットの自業自得なんだよ」
は?どういう事なのお父様?
「どういう事なんですか父上」
「まずは王都で始めたカフェとスイーツ店。これは今までこの国になかった販売方法が受け入れられて今も国中に支店が増えている事。そのお金を元に始めた商会で独占販売する質の良いマジックアイテムが騎士団や軍に好評でバカ売れしている事。他の治療薬やポーション類の質の高さに国が買い取りをしてるくらいだ。そんな国に有益な令嬢を王家が見逃すわけないんだよ」
うえぇぇ。私が公爵家に寄生する為に稼ごうと始めた事が仇になった!!
「そ、そうなんですね父上。スー的にはお嫁に行かなくていいように自分の食い扶持を稼いだだけみたいなんですけど……」
「お兄様の言う通りです。国の事なんか考えてないですよ結婚しないでもいいように自分の生活費ぐらい稼ごうと思っただけです」
「あぁ、私も分かっているよ。大体スーをどこにも嫁にやる予定はなかったんだ。特に王家になんて……しかもあの腹黒ジュリアン様になんかどうして私の可愛いスーを……うっ。でも最終的に決定打はスーが決めてしまったんだよ。王家がコッソリとスーに施していた王妃教育だけど、優秀すぎるスーが10年計画の王妃教育を2年で終わらせてしまったのが決め手になったんだ。スーを王妃にする事を認めなかった反対派の貴族もスーが自分の実力でねじ伏せてしまったんだよ」
「は?王妃教育終わった?どういう事ですか?」
いや、王妃教育を受けさせられていたのは知っていたけれど、終わっていたのは初耳だわ。
それよりも10年計画が2年で終わったってどういう事?
「スー……。王妃教育は8歳までには完了していたんだよ。スーの教育を担当した侯爵夫人も大変良い生徒だったとほめてくれていた。その事自体はスーが褒められて嬉しかったんだよ。でもそれが決め手になるとは思わなかったんだよ。やっぱりあの時会わせるんじゃなかった」
酷く落ち込むお父様だんだん可哀相になってきた。
お父様が悪い訳じゃないんですもの。悪いのは私の無駄なチート能力ぅぅぅ。
「もういいですわ。どうせ政略結婚が避けられないのなら全く知らない人と結婚するよりジュリアン様の方が……いくらか……多分……マシですわ」
「「スー」」
「ごめんなさい今日は疲れました下がらせていただきます」
本当になんでこんな事になったんだろう。
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